2008-12-06

ジェフリー・F・ミラー『恋人選びの心』


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● ジェフリー・F・ミラー『恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (1)』(岩波書店)

★★ 検証できないことは想像力がふくらみます

ときどき不思議に思うことがある。どうして女の子たちはあんなに、女性雑誌を片手にファッションやメイクに関する情報収集に熱狂しているのだろうか。どうして男の子たちは車やスポーツに憧れてやまないのだろうか、と。

生きていくということだけを考えるのならば、経済問題や農業技術?について日々研究した方が有益なようにも思える。しかし実際には、私たちは、そうした生存を保障するような事柄よりも、生物としてさしたる意味をもたないような、無駄とも思える「価値」の追求に躍起になっている。そして、それらは、進化論として語られてきた、自然淘汰によって生存に有利なものだけが残されていく、という理論では説明がつかないことでもある。

『恋人選びの心』は、ダーウィンの進化論において「最適者の生存」という面に隠されて近年まであまり顧みられてこなかった「性淘汰」、「配偶者選択による淘汰」という理論を基にして書かれた研究書だ。著者のジェフリー・F・ミラーは幅広い知識とユニークな発想力で、人間の文化が発達してきた理由を、私たちが恋人を選ぶときの心に求める議論を展開している。

著者の冗舌はときに苛立ちを覚えるところでもあるが、雄クジャクの無用に派手な尾羽が、その無駄ゆえに自分の適応度を雌に宣伝するものだという仮説やら、人間の男性の精巣の大きさから「祖先の女性は、一カ月にかなりの頻度で複数の男性と交尾していたのだろう」とする推論やら、その解釈や推理は読み手を最後まで厭きさせない。

それらの説がどこまで真実に近いのかはわからない。が、一般読者にとって重要なのは、こうした日常の外側の事実を想像することで、「私」という固有な存在の「奇跡」を自覚する体験だろう。人間の起源を想像することは、「私」を取り巻く摩訶不思議な偶然の積み重ねを再認識させ、今の自分を再生する力を与えてくれる。