2005-05-10
発売まであと9日
旧シリーズは最初にテーマやタイトルがありきで、そこから記事を企画していくというやり方で作っていった。それに対して、今回のQJrはそもそもテーマとして何がありうるのか、を考えるところから作業がはじまった。Realitiesという言葉は最初からあったのだが、要するに、ゲイにとって何が必要なのか、ゲイたちが今どんな方向へ行こうとしているのかを探ること自体が、このvol.0の制作目的だった。
だから、記事内容も、現在ゲイの共同性の中にあるキーワードを挙げていって、そこから恐る恐る企画していくこととなった。キーワードとして考えついたのは、実にありきたりで、槇原敬之、TOOT、同性婚、サラリーマン、パレード、ゲイバー、クラブ、エイズ、キャムプ……といったお馴染みのもの。当初はアバクロもあったのだが、それはすでにゲイの中での流行は過ぎ去ったみたいだったので、企画からはずした。
そうしたキーワードをつないだところに、時代性が現れるかもしれない、と思っていたのだが、はてさて、それは可能になったのか。その判断は読者に委ねることにしよう。しかし、僕自身はこの作業を通じて、おぼろげながら時代の輪郭をなぞることはできたような気がしている。ここ数年、ゲイコミュニティに派手な動きはなかったように思うが、確実に、何かが積み重ねられている、そんな実感を得ることができた。それがどんな形に結実していくのかまだわからない。けれど、僕らが「ゲイ」という経験を共有していこうとしていることだけは、確かだろう。