2005-01-28
ネバーランド
親子もの、少年もの好きにはたまらない!
涙・涙の『ネバーランド』
この映画、とにかく泣ける! 中盤あたりから、涙のツボを押されまくりで、ジワジワ、ジワジワと絶えず涙が流れていた。ピーターを演じるフレディ・ハイモアくんが、とにかくかわいくて、彼が親を慕う気持ちが何とも切なくて、泣けてしまうのだ。
『ネバーランド』は、あの誰もが知っている「ピーターパン」の、ほとんど知られることのなかった原作者ジェームズ・バリと、物語誕生のきっかけとなった家族との出会いと交流を描いた映画だ。
ピーターパンというと、30〜40代の人なら、新宿コマ劇場での榊原郁恵の舞台劇を思い出すだろう。当時、友人がコマ劇場に勤めていて、「リハーサルで郁恵ちゃんの代わりに空を飛んだ」と言っていたのを鮮明に思い出す。確か、1度ぐらい舞台を観た記憶があるが、当時はまだ若かったからか、ピーターパンが飛ぶシーンとマンガちっくなフック船長のみが印象に残ったくらいで、本来の物語に宿っている、「大人になりたくない子ども」というとても繊細なキーワードには、何ら心動かされることはなかった。
ピーターパンへの認識が変わったのは、物語の生誕100年を記念して作られた実写版『ピーターパン』を見てからだ。
舞台では、女性が演じることが多かった主人公ピーターパンを、まさに思春期まっただ中の少年、ジェレミー・サンプターが演じ、ウェンディとのほのかな恋の要素も絡まったこの映画は、とても新鮮な印象だった。大人への入り口に立つ思春期特有の大人っぽさ、そして子どもっぽさは、やはり大人になった女性が演じるより、そのまっただ中にある少年が演じた方がいいに決まっている。思春期の少年像で印象深いのは、『スタンド・バイ・ミー』のリバー・フェニック
ス、『誰も知らない』の柳楽優弥などだが、この映画の、ジェレミー・サンプターも美しくて、切なくて、もうお母さん世代には胸きゅんの魅力だった。
この映画を見て初めて、『ピーターパン』の奥深さに気づき、「なんだ〜、子ども向けだと思っていたけど、子どもより大人が感動する作品だったのねぇ」と感じた次第。
『ネバーランド』のフレディ・ハイモアくんは、実は思春期にはまだちょっと早い少年だ。でも、お父さんを早くに亡くし、愛するお母さんをも病に倒れてしまって、もう傷つきたくないから、もう泣きたくないからと、夢見ることや無邪気に期待することなど、子どもならではの感情を押し殺して生きようとしている少年だ。その少年が、ジョニー・デップ演じるバリと出会うことで、悲しみを乗り越えて生きる力強さや、悲しくてもなお、夢を持つことのすばらしさを教えられ、またバリも、少年や少年の家族から、ぬくもりや、人生のどうにもならない無常を受け止めて、生きることを教えられるのだ。
この作品、今年度のアカデミー賞で作品賞や主演男優賞などかなりの賞にノミネートされたようだ。個人的には、正統派ジョニー・デップより、『ショコラ』などのセクシー系ジョニー・デップが好みだが、この映画での抑えた演技も確かに良くて、主演男優賞ノミネートも納得の出来だ。そして、やっぱりうならされるのは、ピーターの母親役のケイト・ウィンスレット。監督から、だいぶ演技を抑えるように指導されたそうだが、ほんと、親子のやり取りが自然体で、しらけることなく画面に没頭して泣けてしまった。
そして、ラストシーンのフレディ・ハイモアくんの演技! うまい子役にありがちなあざとさが全然なくて、真に純粋ちっくでたまらない。
ネバーランド
DVDでジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット、ダスティン・ホフマン出演の「ネバーランド」を観ました。
●ストーリー
劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)はロ…