2015-09-04
版元ドットコムのデータベースとサイトをリニューアルしました。
版元ドットコムのサイトをリニューアルしました。当然ですけど、その裏で動いているシステムも刷新。
版元ドットコムサイトの「お知らせ」に掲載したものですけど、こっちにも書いておきますね。
版元ドットコムサイトの「お知らせ」はコチラ http://www.hanmoto.com/pressrelease20150902
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2015年9月2日
沢辺 均(版元ドットコム組合員)
すでに8月24日(月)に新しいサイトになっていますが、遅ればせながらリニューアルのお知らせです。
移行にともなって、旧サイトからのRSSやAPIの移行に手間取ってご迷惑をかけた利用者のかたには、お詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
●システムのリニューアルについて
今回のリニューアルは、2000年3月の版元ドットコム設立時から3回目であり、最大のリニューアルになります。
2000年設立の時は開発会社に依頼してデータベースとそれに連動したサイトをつくってオープンさせました。
しかしすぐに、機動的な継続開発の必要を感じ、出版社にとって必要な機能をシステム化するために、独自の開発を最初からやりなおしました。
これが最初のリニューアルです。
次に、独自開発をMac版ファイルメーカーでおこなっていたのを、Linux・mySQLなどに変更。この時も、ほぼ一から開発しなおしをしました。
これが二回目のリニューアル。
今回は、さらにもう一度、根本から作りなおしてリニューアルさせました。
リニューアルの主な特徴は次のようになります。
・サーバーを内部サーバーから、クラウドに移行
・書誌データを、XMLとRDFのハイブリッドで管理
・会員出版社以外の書誌情報をデータベースに合体
これにより約15万2千タイトル・2,232出版社のデータを持つことになりました(20150901現在)。
なお会員出版社の書誌情報は4万7千タイトル・207出版社。
出版業界では、現在入手できる本は100万タイトルなどと言われています。毎年あらたに出版される本は7万タイトルで、これらの数字から見ればまだ収集が不足していますが、JPOの近刊収集率は70%(年間5万タイトル前後)になっていますし、すでに協議している団体などの協力で充実させる体制は整ったと思っています。
XMLでの管理に移行したのは、現在JPO出版情報登録センター(旧・近刊情報センター)が送受信に利用していることと、XMLが書誌情報管理に有意義と考えたからです。
会員出版社以外の書誌情報・書影の収集をはじめたのは、
一般の利用者にとって有意義な書誌情報は、版元ドットコム会員社「だけ」のものではなくて、出版物全体だと考えたからです。
また、すでに、JPO近刊情報センター発足時から「受信利用者」としてダウンロードして蓄積していた近刊情報と書影が存在したことも大きな理由でした。
さらに、近刊情報センター発足以前の書誌情報・書影はこのデータベースにもないので、さまざまな団体と協議してデータを補完することにしました。
●サイトのリニューアルについて
同時に、だれからも見ることのできる版元ドットコム・ウエブサイトもリニューアルを行いました。
最も大きなリニューアルは、基本的な考え方の変更です。
出版社向けのサイトから、本を探す人に情報提供するサイトに、変更しました。
従来は、出版社に書誌情報を自前で作り配信して行こう、という呼びかけに軸足がありました。むしろこうした「内幕」を本好きの人々に見せることを意識的にやろう、と考えてきたこともありました。
リニューアルでは、本を探すための機能を提供して行こうと考えています。
実はまだまだ「探すための機能」のアイデアの多くは実現出来ていないのが現状です。
今回のリニューアルで公開したのは、そのアイデアの一部に過ぎません。
「中途半端」でオープンさせたのは、これからも走りながら考えつづけよう、と思ったからです。
とはいっても、すでにオープンさせた「探すための機能」は次のようなものになります。
・書評が掲載されたという情報と、それぞれの書誌情報をつけて紹介・検索する。 →書評に載った本
・書店店で配布されているフリーペーパーを収集して紹介、あわせてそれを書評として検索する。 →本屋のフリペ
・ためし読みできる本を検索して探す。 →ためし読みできる本
・近刊情報を紹介・検索する。 →新しい本/これから出す本
・増刷した本を「売れ行き好調のもの」として紹介・検索。 →増刷した本
・本に関わるイベントをまとめて紹介する →本のイベント
・版元ドットコム会員社持ち回りで書く「日誌」で会員社の本や、会員社そのものを広く紹介。 →版元日誌
書評の掲載情報は、2010年12月から朝日・読売・日経・毎日・産經・東京中日の日曜日の書評欄に掲載された本を版元ドットコムでデータベース化してあったものを、それぞれの本の詳細情報にも引用すると同時に、掲載された情報そのものも検索することができようになっています。
書店店頭で「今週の書評の本」などとしてコーナーを作っているところもあるので、こうした書店のサポートにもなると考えています。
また、この書評掲載情報を、地方紙や雑誌の掲載情報に広げるために、他の出版社や団体とも協議をはじめています。
書店のフリペは、中小書店などのお店の販促活動のフリペを、全国どこからでも見たり、探したりできるようにしようというものです。
現在掲載しているのは以下の通りです。
・ぶんこでいず TSUTAYA 寝屋川駅前店
・往来堂書店 往来っ子新聞
・青衣茗荷の文芸通信
・大盛堂書店 2F通信
ためし読みできる本のコーナーは、大手出版社の開発したシステムを提供いただいて、版元ドットコム会員出版社の発行する本を、ネットでためし読みできるようにするこころみを、広く一般の読者に利用してもらうためのコーナーです。
このシステムの画期的なのは、そのシステムに登録することで、ネット書店の本の詳細情報に「ためし読み」ボタンが自動的に反映することです。版元ドットコムサイトでのボタンも、こうしたネット書店の一つとして自動的につけています。いわば版元ドットコムの「書誌情報を一箇所に登録して、業界各所に自動的に送られる」という目的を、ためし読みという情報で実現できる仕組みです。
ジャンル検索では、従来版元ドットコムサイトのなかにあった「近刊検索β」でおこなってきた、複数のジャンル区分やその他の情報を使ったジャンル設定で本を分類して読者からのアプローチを促進しようと考えています。
このジャンル区分はライトノベルや文庫やコミックなど、読者のイメージしやすい区分にしています。
新しい本/これから出す本は、JPO出版情報登録センターに登録される近刊情報を網羅的に掲載、検索もできます。
増刷した本は、今、版元ドットコム会員社が記録している重版の情報を掲載しています。
本のイベントは、当初の開発目的には到達出来ていませんが、会員社かどうかにかかわらず、さまざまなイベントの収集を進めていくための最初の一歩です。
さて最後に、サイトからの本の販売です。
今回、丸善&ジュンク堂のネット書店と提携を開始して、利用者への本の販売はすべて、丸善&ジュンク堂のネット書店での販売にしました。
ネットで本の販売に取組むネット書店の在庫力や配送力に任せるようにしたのです。
ですからこの販売は、会員社の本はもちろん、掲載しているすべての本の注文に対応できます。
丸善&ジュンク堂では、これまでの版元ドットコムで購入いただいた会員に、移行のためのサービスとしてポイント提供もおこなってもらいました。
これらのように、今回のリニューアルは出版業界に関わるさまざまな諸団体の協力が不可欠でした。
版元ドットコムはこれからもこうした諸団体との協力を一層すすめると同時に、より広げていき、読者に本の情報豊かに提供し、あわせて会員社出版社の出版活動が広く認知されるために書誌情報を中心とした情報の提供を進めていきたいと考えています。