2009-07-06

35ブックス企画説明会+プレス発表会

今日、35ブックスの企画説明会+プレス発表会をおこなった。
35ブックスのことは、コレまでも「ポット出版社長・沢辺均の日記」に書いたり、ポットのニュースにしたんで、
ここでは、取材のみなさまの姿を発表席から撮った写真を載せておきますね。

35ブックスの企画説明会+プレス発表20090706

そして当日配ったリリースです。他に書店に配るためのリーフもあるんだけど。

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平成21年7月6日

新しい共同責任販売システム
「35(さんご)ブックス」を始動
−−−新刊・既刊含む26タイトル(47冊)、本日から受注開始、11月上旬配本予定−−−

河出書房新社+青弓社+筑摩書房+中央公論新社+二玄社+早川書房+平凡社+ポット出版

出版業界の実績が売上げ減、返品増で推移する中、今回の8社を含む出版各社では現状を打開するきっかけを模索するため、今年1月から「委託販売制」に変わる新しい販売システムを検討し、議論を重ねてきました。その結果、書店マージンを35%に上げ、書店にインセンティブを提供(現在の委託販売制によるマージンは約22~23%)する一方で、返品の引き取り額を本体価格の35%とする新しい共同責任販売システム「35ブックス」を企画し、筑摩書房を事務局として、まずは8社共同で始動することとなりました。

現状の「委託販売制」では仕入価格と同額での返品が可能なため、書店は返品することで不利益を被ることがなく、一方で出版社は大量かつ多彩に出版物を発行し、数多くの出版物を書店店頭に並べることができる、というメリットがありました。しかし近年では、不況、売上げ減少という状況にもかかわらず出版点数が増加し、大量の出版物が送品されることで、書店、販売会社、出版社ともに返品率の上昇が利益を圧迫しています。
「35ブックス」では、書店のマージンを35%とし、返品の場合は引き取り価格を仕入れ価格(本体価格の65%)ではなく、本体価格の35%とするものです。マージン拡大により本が売れた場合は書店の利益確保に貢献し、歩安入帳により返品の場合は出版社の損失を減じるという意味で“共同責任”の販売システムと考えております。
 この仕組みが上手くまわれば、出版社には返品の際のコストを低減できる、出版計画・見通しが立てやすくなるなどのメリットが、また書店には取り扱いによるマージンアップ、新刊の部数確保などのメリットが、販売会社には返品の減少による効率化や業務のスリム化などのメリットが、読者には復刊アイテムの投入により入手困難な書籍の購入機会が増える、復刊リクエストなどを実現しやすくなるなどのメリットがあるものと思います。
そしてこの企画は1社単独ではなく、8社がそれぞれ商品を持ちより共同で責任販売に取り組むというのが大きなセールスポイントになっています。多種多様なアイテムの投入が実現でき、告知や販売促進、PR活動にもスケールメリットをいかせるものと考えています。

 今回の「35ブックス」では、文庫セット物も含む26タイトル(47冊)の書籍を用意し、書店からの注文がまとまり次第、製作部数を決定してまいります。投入銘柄はお手元の注文書に記載されていますが、過去に一定の実績を有しながら、品切れ状態が長く続いていて現在では入手困難になっている書籍、中には古書価格が高騰しているものもありますが、これらを復刊してラインナップしています。また、一部新刊や既刊での可能性にもチャレンジします。これら参加8社が選択したアイテムについて、本日から受注を開始し、11月上旬から順次配本していきます。またこの反響を見ながら来春以降に第2回目の企画を予定すると同時に、今後は短期的な企画ではなく、恒常的な新しいビジネスモデルとしての定着を目指して「35ブックス」に参加する出版社を募っていきます。

 参加各社は、「35ブックス」の導入により、書店のマージンアップと返品の減少を実現することで出版社、販売会社、書店の相互の発展をめざしています。また併せて長期的な書籍流通の活性化のためのひとつのきっかけになればと期待しておりますので、関係各位の皆様のご支援を心からお願いを申し上げます。

■「35ブックス」参加出版社
㈱河出書房新社 取締役営業本部長 岡垣重男
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-32-2 TEL:03-3404-1201

㈱青弓社 代表取締役 矢野恵二
〒101-0061 東京都千代田区三崎町3-3-4 TEL:03-3265-8548

㈱筑摩書房 代表取締役社長 菊池明郎
〒111-8755 東京都台東区蔵前2-5-3 TEL:03-5687-2680

㈱中央公論新社 営業局長 吉村治
〒104-8320 東京都中央区京橋2-8-7 TEL:03-3563-1431

㈱二玄社 営業部販売促進担当課長 星野則幸
〒113-0021 東京都文京区本駒込6-2-1 TEL:03-5395-0512

㈱早川書房 営業部販売促進課課長 手塚浩正
〒101-0046 東京都千代田区神田多町2-2 TEL:03-3254-1554

㈱平凡社 執行役員 土岐和義
〒112-00001 東京都文京区白山2-29-4 泉白山ビル TEL:03-3818-0874

ポット出版(㈱スタジオ・ポット) 代表取締役 沢辺均
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-33-18 #303 TEL:03-3478-1774

■お問い合わせ先
㈱筑摩書房 営業局販売促進部 小島秀人
TEL:03-5687-2680  FAX:03-5687-2685  E-mail:kojimah@chikumashobo.co.jp

このエントリへの反応

  1. [...] 「身の丈に合わない高い本が欲しいんだったら、古本で買えばいい。アマゾンでも買えるんだからさ。今後は文庫、新書といった廉価本と、高額な単行本の二分化が進むことになると思うけど、どちらも返本が増え続けているから、ベストセラーを出すより、無駄な本を作らないようにするにはどうしたらいいかを考える時代になりつつあるってことだ。ポット出版も参加している35ブックスもそういう方向の動きだよね」 [...]

  2. [...] 書店のマージンを35%に → 35ブックス [...]

  3. [...] 帰りは、柳さんふくめ、5人で和民で飲み会。 この日は、「35ブックス」の暑気払いもあったのだけど、僕だけ欠席。残念でした。 [...]

  4. [...] 沢辺 『本の現場』を出したことで、新聞記者やテレビ局に取材されたんですけど、やっぱり「何で非再販の本を出したんですか?」って聞かれるんですよね。自分なりに理由を考えてみたけど、正直に言えば「ノリでやった」で、理屈をつけるとしたら「書店に自由を増やしたい。その自由を色々行使して、永江さんの言葉でいえば『遊べる書店』が増えていって欲しい」ということ。  メーカーである出版社として、どんな「書店の自由」が提供出来るかというと、ひとつは、「販売価格を縛っていることをやめて、自由に設定できるようにする」ということ。もうひとつは、35ブックスでやっているように、書店の取り分を増やすことで値引き原資を作ることですよ。 [...]