2003-09-01
第3回 読者向け新刊案内メール
●メールの長所・短所
長所:(他と比べて)経費がかからない。(他と比べて)手間がかからない。データ化されているため処理がラク。アドレスの収集はほったらかしでも可能。ネットとの親和性が高いため詳細情報や注文などのWebページへの誘導が簡単。←と関連して、直接的な効果測定も比較的簡単。集合ポストではなく個人のパソコンに直接届けられる。Webでの購入者へのメールは効果が特に高い。
短所:手間を減らすためにはある程度の技術力と慣れが必要(コピペではなく一括処理を実現するため)。データ化されていない情報の入力などが大変。連携性の高いWeb(アドレス収集・詳細情報・購買)を作るためにもある程度の技術力と慣れが必要。間接的な効果の測定は課題。メールの題名だけで中身を見ずに捨てられる可能性大(メールソフトを使い慣れた人間であれば自動振り分けも)。
●パソコン仕事は目的を見失いがち
メールに限らず、読者に向けて発信する新刊情報は新刊の存在を知らしめ購入へと誘導することを目的としています。ところがWebやメールなどパソコンを使う仕事の多くは「手段と目的」を見失ってしまいがちです。自分の場合で言えば「アドレスを集めること」や「アドレス管理用の凝ったデータベースを作ること」が目的にすりかわってしまわないよう、常に目的を意識しておくようにこころがけています。
●読んでもらうためのメール作り
メールの本文について心がけているのは、簡潔であること、だけです。関連の書籍なども読みましたが、文字だけのコミュニケーションにおいて「簡潔さ」を上回る要点はないように思いました。ですので、親しげ(に書かれているだけ)な呼びかけであったり、中途半端な読み物的な要素も盛り込んでいません。弊社で送っているメールの例は作例1をご覧ください。つまらないといえばつまらない気もします。また、言ってるほどには簡潔でないのも気になります。この辺はまだまだ改善の余地がありそうです。
作例1(クリックすると拡大して表示します)
●送信頻度
効果がある、となるとどうしても何度もやりたくなるのですが、送信頻度が多すぎると「送信不要」という方も増えてきます。気持ちとしては「発売前の予告」「発売当日」「発売後のフォロー」ぐらいはやりたい気もしますが、くどくならないようかなり押さえてやっています。ですので、発売になった新刊の案内メールに前後の新刊の予告やフォローを入れるようにしています。
●メールアドレスをどう集めるか
弊社では読者向けにメールを送る以前から読者ハガキに「メールアドレス」記入欄を作っていました。また、Webで読者から直接の注文を受け付けることも行なっていました。2000年の9月から読者向けに新刊案内を行う際に最初に活用したのはそれらの既に集めた約1000件程度のアドレスでした。ハガキのアドレスは入力しましたが、手書きのアルファベットは判別し難い場合も多く、かなり誤入力もありました。また、収集から時間が経てば経つほど変更などによって送信不能になるアドレスも多く、当初の送信件数は結局800件程度でした。その後、Webに新刊案内登録ページを作り、そこからも登録を受け付けるようにしました。
●使えないアドレスその一 手書きのメールアドレス
上記でも書いたように手書きのメールアドレスは判別し難い場合が多く、入力は大変な手間です。苦労して入力しても送信エラーや誤送信などは多発します。マーケティングなどの目的があって入力する(社内で行う場合も外部に委託する場合も)ならともかく、できれば避けたいのが本音です。弊社でもハガキからの入力は現在行っていません。が、注文分と登録分だけでは件数が増えないため、またハガキも入力したいと考えてはいます(手間のことを考えると躊躇しています)。
●使えないアドレスその二 携帯電話・PHSのアドレス
携帯電話のメールも画面の拡大とともに文字数が飛躍的に増え、使いやすくなっているようです。が、パソコンに送るのと同じメールを送っても読みにくいため、以前は携帯電話用に別内容のメールを送信していました。面倒なので止めてしまいましたが、もう少し送信アドレスが増えてきたら復活しようかと思っています。
●使えないアドレスその三 スパム業者のアドレス
未承諾広告を送りつけてくる業者のアドレスには弊社の新刊案内を未承諾で送り返すようにしていましたが、どうもその中にメーリングリスト(もしくは同報アドレス)的な使われ方をしているアドレスがあったようで、こちらで送っていないアドレスの方から「メールが届いている」というお叱りをいただいてしまいました。結局どのアドレスがそれに該当するのか調べることが出来ず、2002年12月の時点でそれ以前のメールアドレス(約2000件でした)への送信を取りやめることになってしまい、アドレスの収集はイチからやりなおしとなってしまいました。これについては余計な事をしてしまったと反省しています。
●メールからのアドレス抽出
注文フォームや登録フォームでお客さまが入力した項目はメールとなって弊社の該当アドレスに送信されてきます(作例2)。「手に負えないことはやらない」という考え方なので、Webもフォームも非常に簡単な仕組みになっており、データベースなどは使っていません(Webの制作や活用についてはまたあらためて触れます)。弊社の注文フォームは一括処理しにくい形になっていますが、メールアドレスと送信希望ジャンルの抽出だけであれば一括処理が可能なように作ってあります。大雑把に説明すると、テキストデータ化したメールをExcelで開き、メールアドレスそのものではなく「メールアドレス」というフィールド名が含まれている行を抽出する、という手順になります。その際「メールアドレス」というフィールド名を特定の区切り文字などに変換しておくと最終的に処理が簡単になります(この辺の詳細はあくまで弊社での特殊な処理なので、ここではこれ以上触れません)。
作例2(クリックすると拡大して表示します)
●一括処理というメリット
パソコンを使っているメリットの一つに大量のデータをより少ない手順で処理できる、という点があると思います。1件のアドレスを登録するだけなら手入力の方が早いのでそうします。数件の登録ならコピー&ペーストの方が早い場合が多いので大抵そうしています。数10件の登録は、手作業ではありますが、一括で処理するのが圧倒的に早いのでそうしています。基本的には1万件でもまったく同じ手順で一括処理できます。その手順をデータベースなどで実行可能なようにVBAなどで書いてしまえばボタンを押すだけで操作できるのかも知れませんが、残念ながらそこまでの必要は感じていません。
●メールアドレスをどう管理するか
顧客管理をデータベースで行っているのなら送信履歴を別テーブルで持つことによってメールアドレスの管理は比較的簡単だと思います。データベースであれば重複入力の消しこみも(排除)も比較的簡単です。が、弊社では個人顧客の管理を重要視していなかったため、データベースでは管理していませんでした(近々に作りたいと考えてはいます)。ですので、Excelの表で管理していたんですが、メールソフトから該当の項目を一括で書き出したり、Excelで重複入力を消し込んだりするためには少々慣れが必要なため、あまり効率的ではありませんでした。
●Excelによるアドレス管理の試み
今回この原稿を書くにあたってあらためて色々と考えた結果、Excelを使っての管理を大幅に見直し、アドレスと送信履歴だけに絞りこんで管理するように変えてみました。サンプル・ファイルはダウンロード可能にしてあります(003-sample.xls)。簡単な使用法も記載してありますので興味のある方はご覧になってみてください。
●「まぐまぐ」や「melma!」などを使わない理由
使わない理由は特にありませんが、強いてあげるとすれば、「件数が少ないと淋しい感じがするから」、といったところでしょうか。Webで掲示板などを作らないのも同様の理由(書き込みが少ないとさびれた感じになってしまうから)です。
●効果の測定
送信件数が激減してしまったため、以前のように翌日にはPubLineやWeBRAINで実売が目に見えてわかる、といった効果測定は難しくなってしまいました。が、それでもメールを送るとWebへのアクセスは必ず増えます。Webのアクセスログは媒体の効果測定方法として非常に手軽なので重宝しています。