全印総連・出版労連 第2回共同シンポジウム
2000.11.11(土)13時〜17時/全印健保会館7階ホール
●報告 沢辺均[ポット出版]
IT革命と印刷・出版メディア●IT革命に思うこと
○e-ビジネス/e-コマースなどについて
・ネットで米が買えるようになったって、日本人が二倍の米を買うようにはならないこと(贔屓目に見たって数パーセントでしょう)
・IT革命――ネットの拡大でSOHO・在宅勤務が可能というけど、誰が米作るの? ネットで宅急便ドライバーがいらなくなるの? 意志疎通は表情・身振り手振り・表情などを含んでいると思う
○コンピュータとはなんだ
・コンピュータは道具である/コンピュータによって質が変わる
【例】「道具だ」 伝言→手紙→電話→(ファックス)→(ポケベル)→電子メール
*単に、通信の道具が変わったと見ることもできる
*一時「手紙を書かなくなった」から、電子メールで手紙(文書だ)に戻ってきている
【例】「質変わる」 電子メールであっという間に数百人に連絡可能→勝手に送りつけメール
・烏口が引けなければデザイナーじゃない/マックでだれでもDTPクリエータ
・「道具」「質変わる」のどちらの要素もあるんじゃないだろうか
●アマゾンドットコムで考えたこと
著=ロバート・スペクター 日経BP社 1,800円 ISBN4-8222-4191-2
○ネット通販(e-コマース)といっても、物流から逃れられない
○ネット特有のサービスではなく、まともなサービスをしてきた→コンピュータの能力があればこそできたサービスも多いんだが
・ワンクリック ・返品自由 ・書評スタッフ ・読者書評 ・アソシエイツプログラム ・電子メール案内
○値下げで拡大したこと
・bk1でも、送料有料化で売上げ大幅ダウン
●本のネット販売でのいくつかの数字
全体で60億円程度か?
○bk1(2000.10.10・講演 『全国書店新聞』10.18号)
・07.11からの売上げは2億2000〜3000万
・9月までの送料無料期間の一日の売上げ 平均300万円
07.11〜09.30(82日間)で、2億2〜3000万とすると一日あたり268.3万平均
・10.01〜10.09まで(送料有料化) 一日あたり174万平均
・一日200万平均として(200万×365日)年間売上げ(予想)7億3000万円
○紀伊國屋(『出版月報』 2000.09月号)
・99年度・ハイブリッド以前 年間16億6000万
・ハイブリッド以降 年間30億円
○ブックサービス(『出版月報』 2000.09月号)
・99年度 8億7000万
○三省堂(『出版月報』 2000.09月号)
・年商 2億円
○アマゾンドットコム
・99年 年間売上げ予想 143億円(1ドル=110円で計算・13億ドル)
・アメリカの書籍総売上 2兆2000億円200億ドルの7パーセント
*日本・書籍だけ 9935億円/雑誌合計2兆4607億円(99年 出版科学研究所)
○三月書房(『三月書房 販売情報(仮題)』55号 00.080.27)
・1999=10件? 2000.01=2 02=1003=10 04=12 05=28 06=30 07=42 08(23日まで)=35 人智学が増え、短歌と大差
●IT革命のなかの出版(印刷)←いまやりたいこと・やっていること
○ネットの活用で雑用をラクにこなしたい
・社内メール/スケジュール・アドレス・マニュアルの共有/制作物データの共有
・ネットワーク管理/デジタル化に負担もふえてる
○制作のデジタル化
・デジタルデータで制作→フィルム出力(CTPは重版のコストで躊躇)→データを戻してもらってる
→将来の重版のオンデマンド化のため。アプリのバージョンに悩み
・アプリバージョンに悩んでいるのでPDF化を考えている。でもPDFにもバージョンが
○ネットを出版活動に利用
・『ワタシが決めた』(編・松沢呉一 著・セックスワーカー達多数 4-939015-28-9)の原稿募集をウェブサイトでおこなう。投稿後数週間、サイトで公開→いろいろできそうな予感がしている
・紀伊國屋パブラインデータをデータベース化、サイトで公開
○デジタルでの本づくり
・『デジタル時代の出版メディア』(著・湯浅俊彦 1,800円 4-939015-27-0)
→.BOOK(ドットブック)化して1,000円で発売 索引にウェブサイトリンクをつける
ボイジャー/理想書店(http://www.voyager.co.jp/dotbook/books/)→発売3週間で9冊の販売
○流通のデジタル化――版元ドットコム(http://www.hanmoto.com/)で
小零細だから可能なのか? 送料無料と出版社からの直送
・読者に本の内容から検索できるデータベースを版元自身が提供/書協・取次・書店・ネット書店など、希望すればすべてに刊行データを自動送付(取組中)
・読者に送料無料で、書店に送料無料+80%で直送(取組中)
・新刊予定の自動公開(個人的計画)
・書店街の拡充→協力者
・書店の取次経由の注文窓口を開設(個人的計画)
・版元ドットコムの販売データの公開(個人的計画)
○流通のデジタル化――
・VANにかわってインターネットをベースにした販売・注文データの交換システムをどこかで作ってくれないだろうか
小零細の書店・出版社・取次でも可能になるとおもう
決済がネット上で可能になったら→(取次不要?)→バッタ屋サイトの例
○取次との条件改定
・簡素化/書店マージン増(正味下げ)/返品へのペナルティー増
●ネット書店の未来/紙の本が残るか、残らないのか
○自分自身はどう買っているのか
・原宿文鳥堂/あちこちの大型店/bk1(送料無料のとき)/紀伊國屋ハイブリッド
・情報はネットが増えている→メールマガジン・ウェブサイト
○考えてもわからない。たぶん明確な見通しをもっている人は少数なのではないか
わかっている人にしたって、はずれるかもしれない
○試しながら、少しずつ見えたものから取り込んでふらふらして、いつも到達点を探りながら進む
沢辺 均 kin@pot.co.jp
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