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[第2章●強靱なリファレンス環境の探求] 8… Macで世界大百科 |
[2004.05.06登録] |
石田豊 |
日本語による大型百科事典は平凡社と小学館から発行されています(いました)が、そのどちらもをベースにしたデジタル版が存在します。 平凡社「世界大百科事典」全35巻をベースにしたデジタル版は現在日立ビジネスアンドサービスから販売されています。価格は18,900円で、ネット販売だけになっています。代理店のひとつである日外アソシエーツのTranRadar電子辞書SHOPでの実売価格は17,010円です。かつて日立デジタル平凡社が存在していた時に販売されていたのは、これより安く、よく売れたためもあって、(いいのかどうかしりませんが)古書店などでもよく見かけます。「第2版」となっていれば、どのバージョンでも本体部分は同じです。後述しますが、デジタル版の百科事典の「おまけ」的デジタルコンテンツは、少なくとも私はほとんど使いません(使えません)。本体部分だけで十分だと思います。Windows版のみ。 小学館の「日本大百科全書」がモトになっているものは、数種類発売されています。 ひとつは前述の電子ブックプレーヤーDD-S1000。これもどうやらほそぼそと販売が継続されているようで、時々Webショップなどに出品されています。実売は7万円弱というところです。データの形式は電子ブックなので、Win/Macはじめ、各プラットフォームの電子辞書閲覧ソフトでそのまま読むことができます。 小学館からは「スーパーニッポニカ」としてCD-ROM/DVD-ROMとして発売されています。かつてはライト版(10290円)がありましたが、これは現在小学館のサイトではMac版の在庫がのこっているだけです(しかもMac OS Xではそのままでは動作しない)。ただし、流通在庫としてはWindows版Lite版はまだ残っているようです。我が家の近くの中型書店にも陳列されていますし、TranRadar電子辞書SHOPのリストにも掲載されています。現行のもの(プロフェッショナル版)はいろんなマルチメディアコンテンツがついて40,950円です。Mac版Windows版があり、どちらかを選択する必要があります。 というようなところから、これからデジタル百科事典を導入する場合のもっとも一般的なチョイスは平凡社のそれ、ということになりそうです。これは製品としてはWindows版しかありませんが、Macで読む方法もあります。 世界大百科事典(スーパーニッポニカでも同じですが)は、たしかにそのコンテンツはいいのですが、そのままでは正直言って、あまり使い勝手がいいとは私には思えません。 その最大の要因は「独自アプリケーションで動作する」点にあると思っています。 世界大百科(スーパーニッポニカも)は専用アプリケーションで検索するようになっています。画面のイメージは次の図のような感じです。 本文表示にも特別にこのために開発されたフォントを使用しており、スクロールではなく「ページを繰る」という感覚で多ページ項目が読めるようになっていたりなど、工夫は随所に見られます。 検索ソフトとしては、かなりよくできている部類に入ると思います。 しかし、だから使いやすいか、といえば、そうでもない。 それはひとえに「専用ソフト」であるからだ、と思うのです。 百科事典を引こうとしたら、まずこのソフトを起動しなければならない。これが面倒なんです。また、「ページを繰る」という仕様になっているため、画面全体にウインドウを広げなければならないのも困りものです。複数ソフトを同時に使い分けるというスタイルでシゴトをしていると、画面全体を占有するようなソフトは、ウレシイものではありません。 また、このソフトは不正コピーを防止するため、マスターCD-ROMをドライブに挿入しておかなければ起動しないシカケになっています。CD-ROMドライブは百科事典を使うためにのみあるわけではないので、実質的には、つかうたびにCD-ROMをセットし直すという作業も入ってきます。理由はわかるのですが、利便性という点ではおおきな障害です。 そして何よりも大きな問題点は、専用ソフトであるがゆえに、串刺し検索ができなくなる、ということです。串刺し検索、つまり、複数辞書を同じ検索語で同時に検索することは、デジタルだからこそでき、またそのことによって、今までには想像も付かなかった利便性をもたらす使い方であることは、いままで何度も述べてきた通りです。 同じ項目を百科事典と国語辞典、またはいろいろな専門辞書と同時にひけなきゃ、意味が半減しちゃうのです。 それにもうひとつ。この百科事典はWindows版しか存在しません。Macでは使えないのです。ダイヤモンド社の和田昌樹さんのように、この百科事典が使いたくてWindowsマシンを購入したという人もいます。またMac上でWindowsを動作させるソフト(Virtual PC)を使って、その上でこのソフトを走らしているという方もいます。 しかし、実はMacでもWindows版世界大百科事典が使えます。ただし、インストール時のみWindows機が必要です。言い方をかえれば、いったんインストールしてしまえば、その後はWindows機をもっていなくても、ほぼ現実的に問題なくMacだけで使えます。つまり、休日の午後にカステラ片手に訪ねていけば、気安くコンピュータを使わせてくれるWindowsユーザの友人がひとりあればなんとかなる、ということです。 そのためにはふたつの方法があります。ひとつめの方法はMacユーザだけに有効な方法。ふたつめの方法はWindowsユーザにとっても意味のある方法です。 まずは、Macユーザにのみ意味のある前者の方法から説明します。 Windowsで世界大百科をインストールすると「World Encyclopaedia」というフォルダができます。通常のインストールでは250MB程度です。このフォルダをネットワーク経由かなにかでMacに持ってくる。 作業はたったそれだけです。 このデータの閲覧のためには「Jamming」を使います。JammingはMacで使える最強のEPWING/電子ブック閲覧ソフト(シェアウエア、3,675円)です。もちろん串刺し検索可能。 Jammingの「辞書の追加と削除」メニューで「日立ー大百科」をクリック。コピーしたフォルダの中にあるSINIDX.DBを指定する。それで、Macで世界大百科を使えるようになります。 ただし、この場合でもドライブにマスターディスクを挿入しておかないと検索ができないようになっています。 ただ、Macには「ディスクユーティリティ」(9では「DiskCopy」)というソフトがバンドルされており、これを使うとCD-ROMのディスクイメージが作れます。いったんイメージディスクを作っておくと、CD-ROMドライブを使わなくても大丈夫にはなりますが。 問題はもうひとつあります。世界大百科は非常にたくさんの外字を使っているのですが、この外字は特別のフォントを使用しています。このフォントがMacで使えないために、外字部分が化けてしまいます。 次の図はこの方法で作成した辞書データをMac上のJammingで読んだものです(クリックすると拡大されます)。Win版の百科事典がMacで読み取れることがわかります。しかし、見ておわかりのように、外字部分が化けてしまっています。 この方法はカンタンでもあるし、コストも、たとえWindows機を持っていなくても友達さえいればカステラ代しかかからないため、非常にいいのですが、外字問題などで不満も残ってしまいます。 そこで、もうひとつの方法。これは、独自形式で作られている世界大百科のデータをEPWING形式に変換しちゃおう、というオオワザです。 EPWINGにしちゃえば、EPWING用の辞書閲覧ソフトでもって使うことができます。他の辞書と串刺し検索もできるようになります。万々歳です。で、その方法は次回。 |
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