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[第2章●強靱なリファレンス環境の探求] 3… 検索サイトとポータル化 |
[2003.08.20登録] |
石田豊 |
前々回前回とWeb検索はアプリオリにGoogleを使ってきた。検索語を指定するとその語に関連したWebページをリストしてくれるサービスを提供しているサイトを「検索サイト」とか「サーチエンジン」と呼ぶ。検索サイトはなにもGoogleしかないわけではない。 しかし、現実問題としては、比較的後発だったGoogleが現在不動の「デファクト・スタンダード」の位置を占めている。デファクト・スタンダードとはコンピュータ関連でよく使われる言葉で、「事実上の標準」(直訳やんか。だったら日本語で言えよ)。いろいろな規格やシクミは国際組織などで正式に制定される。しかしそうした機関でお墨付きを付けられたわけでもないのに、私企業の一製品が事実上の業界標準となってしまった場合に「デファクト・スタンダード」と呼ぶ。たとえば味の素はうま味調味料のデファクト・スタンダードである(と、言い切るといの一番の立場がなくなるのだが。ん? いの一番っていまでもご健在なんだろうか、とんとお噂は聞かないが)。 少し前までは検索語やその対象によって、複数の検索サイトを使い分けることが、Web検索の基本ワザであったのだが、いまや、ほぼGoogleだけでことたりる。 検索サイトはその「手法」で大きくふたつに分類される。ひとつは「ロボット型」。ロボット(といってもソフトなんだけど)があらゆるWebページを自動巡回し、その中身をごっそり自分のサイトに保存する。その保存された膨大なページを対象に検索を行い、リストとして提示する方法。もともとは「価値判断」を含まない手法であるため、「よいサイト」がヒットする確率は低くなるが、全文が対象になるため、情報の送り手が意図しなかった部分でひっかかる可能性がでてくる。 もうひとつが「ディレクトリ型」。これは検索サイトの嚆矢と言えるYahoo!の手法である。基本はスタッフにより収集・格付け・整除されたものが検索対象になる。人手がかかるため、運営コストも大きくなるが、いわば「編集者」の介在によって、提供する情報のレベルを上げることができるというメリットがある。 このふたつの手法は、現在「相互乗り入れ」状態で、ロボット一本槍、ディレクトリ一辺倒というような検索サイトは皆無に近いといっていいだろう。ディレクトリ型の老舗Yahoo!はGoogleと提携して、ディレクトリ型の後ろにシームレスにGoogleエンジンを使ってのロボット型検索の結果が表示されるようになっている。また、ロボット型の覇者Googleも次第次第にディレクトリの整備をはじめている。 検索サイトはYahoo!、Googleの他にも数多く存在する。国内の比較的有名なところをリストしてみよう。 goo(http://www.goo.ne.jp/) infoseek(http://www.infoseek.co.jp/) Lycos(http://www.lycos.co.jp/) Excite(http://www.excite.co.jp/) これらの検索サイトを実際に見てもらえば一目瞭然なのだが、そのどこもトップページにニュース他、いろいろな情報を盛りだくさんに載せている。広告もたくさん入っている。 こういう検索サイトがダメだとは言わない。検索結果にしても、Googleと比べて遜色がなかったり、逆にGoogleではできない検索方法をフィーチャーしていることもある。しかし、私はついついGoogleを使ってしまう。これは私だけではなく、私のまわりの比較的検索サイトを使い慣れている人々も同じだ。 どうしてこう差がついちゃったんだろう。確かにGoogleは素晴らしい検索結果を提供してくれる。しかし、機能差だけではないように思う。 Googleのトップページは拍子抜けがするほどシンプルである。広告もないし、ニュースその他の情報提供もない。これが使い勝手の差になって立ち現れているような気がしてならない。 検索のために使うなら、別にプロ野球の結果速報がトップページに記されていなくてもいいのだ。それを知るためには、野球速報を提供しているページに移動すればいいからだ。 数年前、Web界で「ポータル化」というコトバが流行したことがある。ポータル(portal)とは「表玄関」という意味だ。ポータルサイトという場合は、人がインターネットを利用する際に利用する表玄関というような感じになるわけだろう。Internet ExplorerなどのWebブラウザを起動した時、どこかのページが見えるようになっているはずだ。起動時にまず接続にいくページのことを「ホームページ」という。WindowsでInternet Explorerを使っている場合はマイクロソフトネットワーク(MSN)になっていることが多いだろうし、Macの場合はアップルのサイトに設定されている。メーカー製のパソコンの場合はそのメーカーが指定するページがホームページ化されている場合もあるかもしれない。もちろんこれはユーザによって自由に設定し直せる。ちなみにわたしは「なし」に設定している。 ポータル化というのは、とりもなおさず「ホームページ化」である。とにかく盛りだくさん、ワンストップで用が足りる総合情報サイトを用意し、ユーザに「ホームページに指定」してもらえば、毎回そのページから閲覧が始まるので、露出度は極端に大きくなる(広告収入も期待できる)。ホームページは唯一無比の存在であるから、そのポジション争いは熾烈にならざるを得ない。 「ポータル」が流行していた頃は、検索サイトだけではなく新聞社サイトや各種総合情報提供サイトがこぞってそれを目指していた。しかし、いつの間にか、その掛け声は小さくなったように思う。 思うに、あんまり効果がなかったんじゃないか。 かなり多くのユーザはブラウザの初期設定のまま(つまりMSNやアップルのサイト)で使いつづけているし、初期設定を変更するようなコマメなユーザはえてして自分のWebサイトをもっていて、そこをホームページ指定していたりする。情報のワンストップ化をはかろうとすれば、どうしてもそのページは重くなりがちだ。情報のテンコ盛りしか、不特定多数のニーズをそこそこ満たすことは不可能であるからだ。 しかし、ホームページ化する場合に、ユーザサイドが重視するとしたら、その利便性もさることながら、軽さであるのは明白だ。毎回起動するたびに、重いサイトの表示に時間が食われてしまうのは苦痛ですらある。 Googleは大手検索サイトにあって、唯一「ポータル化」を目指そうとしなかったサイトだろう。だから軽いし、見やすい。そのかわりもちろん広告の入るスペースもない。 ホームページをGoogleに指定している人は、意外に多い。皮肉な現象と言ってもいいだろう。 |
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