2006-08-18
いただいたご本『悪魔のささやき』
編集を担当された方から加賀乙彦氏の『悪魔のささやき』をお送りいただいた。帯のコピーには「小学生殺人、放火、村上ファンドetc……人はなぜ思わぬ悪事に手を染めてしまうのか!?」とある。
人が図らずも陥ってしまう、あるいは、ある時ある人の頭上に突然落ちてくる「魔の時」に焦点を当てた著作らしい。これはとても興味深いテーマである。我が身を振り返ってみれば、(もちろん小さな罪は山ほど犯してきたが)なぜこれまで刑法で裁かれるような悪事に手を染めることがなかったのか、不思議に思うことがあるのだ。こんなに多くの人を憎んだり、しょっちゅう首を絞めてやろうかと思うことがあるというのに(笑)現実的にそれをしないできたのは、どこか偶然のようにも思える。
しかし世の中には反対に、その偶然、「魔の時」を自分の人生に招いてしまう人たちが少なからずいる……。これは他人事とは思えないテーマである。
●加賀乙彦『悪魔のささやき』(集英社新書) 680円+税