2009-08-17
いただいたご本『はじめての言語ゲーム』
● 橋爪大三郎『はじめての言語ゲーム』(講談社現代新書 760円+税)
「そのときこそ賭けてもいい、人間は波打ち際の砂の表情のように消滅するであろう」
というのはフーコーの有名な言葉で、こういうちょっと知的で、謎めいた文言に打たれてしまうインテリ予備軍は多い。そして、かのヴィトゲンシュタインも妖しい魅力を放つ文言を残している。
「語りえぬことについては、沈黙しなければならぬ」
……やっぱ、なんか、かっこいいっすねー!←恥ずかしながらそれ以上の理解ではない。
ロングセラー『はじめての構造主義』で日本人の構造主義に対する理解を広げた橋爪大三郎先生が(先生という敬称は、伏見が現在橋爪先生の下で学問を学んでいるため)、二十年経って再び講談社現代新書で『はじめての言語ゲーム』というヴィトゲンシュタイン入門の新書を上梓された。これ、きわめて理論的な本なのかと思ったら、ヴィトゲンシュタインの生い立ちから掘り起こして、もちろん、彼の「言語ゲーム」理論についても説明し、なおかつ、橋爪先生オリジナルの、本居宣長を「言語ゲーム」で読み直すという論考までもが含まれている。文章もわかりやすいし、とてもコンパクトにまとまっていて手に取りやすい。
20世紀最高の哲学者の一人と言われるヴィトゲンシュタインを学ぶにはもってこいの一冊だろう。伏見もいま書いている小説の原稿を上げたら、もう一度頭を論理方面に切り替えてじっくりと勉強してみたい。