2006-05-03
映画『セキ★ララ』
職業柄、いろんな配給会社から毎日、試写状が送られてくるのだが、なかなか会場に伺うことができない。とくに映画ファンじゃないので情熱がないこともあるが、何分、荒川の向こうに住んでいるがゆえ、試写を観ようとすると半日がかりになって、タイミングが難しいのだ。この『セキ★ララ』もお誘いいただいていたにもかかわらず、上映日を逃してしまった。だけど、監督の松江哲明さんのご配慮で、今回特別にビデオを拝見することができた(←偉い映画評論家みたいでいやらしい)。
松江さんとは「クィア・ジャパン」の旧シリーズの座談会に登場していただいてご縁がある。キムチが食べられない在日3世として、自身のアイデンティティを探った『あんにょんキムチ』を監督された頃で、ゲイの伏見と、部落の角岡伸彦さんらと差別とアイデンティティをテーマに議論をしたことがある。
今度の作品も在日や中国からの留学生などが主人公で、アイデンティティをめぐるドキュメンタリーになっている。それもAVの撮影がらみで。そこがいい。伏見の持論は、人は上半身ではなかなかつながれないけど、下半身だったらすぐに仲良くなれる、というもの。伏見のふだんの会話がチンコケツマンコに終始しているのも、何かと対立しがちな価値観や政治的な立場に触れないように気を配っているからである(ホントか)。
この作品を観ていると、やっぱ性愛って人と人を結びつける媒介としてすばらしい、と実感する。セックスシーンもなかなかエロくてよろしい(とくにAV男優の花岡じった氏の中年の腰つかい)。人はその瞬間においては、国境やアイデンティティを溶解させることができる。それは可能性だ。日韓両国の関係も今、上半身(竹島)から解決しようとすると益々こんがらがってくるけど、下半身(ヨン様)から付き合おうとすれば濡れ濡れなんだよね。セックスまんせー!
*『セキ★ララ』の上映は、6/3からレイトショーでシネマアートン下北沢で。5/27〜6/3には松江監督の『あんにょんキムチ』『カレーライスの女たち』もリバイバルレイトショー上映されるとのこと。