2006-11-28
田亀源五郎、村上隆、そしてポット出版
先日(11/23)にアップリンクで行われた『日本のゲイ・エロティック・アートvol.2』の刊行イベント「原画展+トークショー+フィルム上映」に行ってきました。本当は、仕事が片付かない上に体調が悪くて、ギリギリまで布団の中で悩んだのだけど、田亀源五郎氏と村上隆氏(!)が対談するなんて、どう考えても見逃せない。
そして、やはり、行って大正解! 対談はめちゃくちゃ興味深く、アート音痴の伏見でさえ時間を忘れて聞き入るようなスケールの大きな話しでした。村上氏はアーティストというよりマーケッター+評論家という口ぶりの方で、とてもシャープな分析眼を持っているようにお見受けしました。対する田亀氏のほうも独特の世界観を機関銃のように言葉にしながら、時代の寵児と四つに渡り合っておりました。
いまや現代アートの頂点に君臨しているように見える村上氏と、アンダーグラウンドながら高い評価を得て来た田亀氏の邂逅から、何かクリエーションが生まれるような火花を感じました。今回、村上氏がゲイアートを面白がり、作品の購入にまで意欲を見せたことによって、アートシーンでもゲイアートが評価される可能性もあると思います。なにせ、「目利き」である村上氏の保証が得られたわけですから。会場にはテレビやラジオなども取材に入っていて、もしかしたらこれが今後思いもよらない流れを作っていくのではないか、と「歴史的瞬間」に立ち会った気がしている伏見であります。
それにしても、村上隆氏を引っ張り出すことに成功したポット出版も、本当にすごい。もちろん田亀氏のアーティストとしての魅力がそれを可能にしたわけですが、こんな奇想天外なイベトを実現してしまうフットワークの軽さは、あっぱれとしか言いようがありません。身びいきに聞こえるかもしれませんが、こういう発想ができる出版社がいま他にあるでしょうか? メジャーとマイナーの境界をゲリラ的に侵犯していくポットは、やはり大したエネルギーだと拍手を贈りたくなりました。