2007-10-04

いただいたご本『ポルノグラフィ防衛論』

ISBN978_4_7808_0105_7.jpgフェミニズムはポルノグラフィを規制するものだという先入観があるが、これはアメリカのフェミニズム業界における「検閲賛成派(=マッキノン・ドウォーキン)」に対抗する「検閲反対派」の本。こういう議論が紹介されると、フェミニズムにも幅があることがわかって、少し救われるような気がしますね。

しかし。一般人のあいだでは「こんな問題、もういいんじゃないのぉ?」と無関心な空気が覆っていて、いかに学術界と世間のあいだに溝が大きいかを痛感する。それを研究者や活動家が、一般人が民度が低いから、と高見から思っているふしがあるところが、フェミニズムが共感されない由縁だろう。アカデミズムに権威づけられた自分たちが、特殊な「党派」にしかなっていないということを、そろそろ真摯に反省したほうがいい。「男女平等」や「ジェンダーからの自由」を目指すぼくとしては、心からそう願うのだが。

●ポルノグラフィ防衛論 アメリカのセクハラ攻撃・ポルノ規制の危険性
[2007.10.01刊行] ポット出版
著●ナディーン・ストロッセン
訳●岸田美貴
監修●松沢呉一

定価●3,400円+税