2007-12-14
いただいたご本『カミングアウト・レターズ』
いまさらカミングアウト本? なんて思ったあなた、この本はなかなか侮れませんぜ。なんてったってカミングアウトする側の声ばかりでなく、された側の親御さんや教師の赤裸々な声が聞けるのだから。
これまでのこの手の本は(伏見の本も含めて)ゲイやレズビアンの気持ちを代弁するものだった。が、それだけでは片手落ちだった(これ差別表現?)。『カミングアウト・レターズ』は当事者ばかりでなく、自分の子供に性的少数者であることを告げられた家族の気持ちのリアルに分け入っているところが面白い! 面白いなんて言ったら怒られてしまうかもしれないが、読み物としてもちょっと感動を味わえるエンターテイメントに仕上がっている。
カミングアウトとは一方的に少数者の側がするものではなく、それを受け止める側とのコミュニケーションのことを言う(べきだ)。本書はそういう意味では、初めてカミングアウトを立体的にとらえた一冊になっている。差別に置かれながらも可能性に開かれている日本のゲイやレズビアンの「いま」を、見事に映し出しているだろう。
まあ、そんな肩肘張った読み方をせずとも、親と子の自立の物語のヴァリエーションとして、多くの人たちの琴線に触れること間違いなし。そうとう斜に構えて読みはじめた伏見も、途中ぐっと胸に迫るものがあったくらいで。
写真の兄貴は編者の一人、RYOJIさん。とってもエロエロなフェロモンを出していて悩殺!
● RYOJI+砂川秀樹編『カミングアウト・レターズ』(太郎次郎エディタス) 1700円+税