2009-04-19
いただいたご本『「死刑」か「無期」かをあなたが決める』
● 小浜逸郎『死刑」か「無期」かをあなたが決める』(大和書房)
伏見はアッパラパーなので、「裁判員制度ってアメリカの裁判みたいでかっこよくない?」「選ばれちゃったら面白い人間模様が見れるかも!」みたいな幼稚な意識しかもっていなかったのだが、民主主義と近代国家の擁護者、小浜先生が今度はこの新しい制度についてたいそう怒っている(ヤバ、ごめんなさい)。「裁判員制度は、いくつもの憲法違反を犯している。このような制度は即刻廃止すべきであるし、国民は、たとえ「赤紙」が届いたとしても、これに応じる必要はない……」
読んでみると、たしかにこの制度は「近代民主主義」や「国民主権」といった近代国家の根本に抵触するところがないとは言えないようだ。小浜先生は近代の原理に照らし合わせて裁判員制度を否定する。原理から思考することが苦手な日本人は、こういう批判を向けられると言葉をなくしてしまうか、スルーしてしまうかになりがちだが、やはりここで踏ん張って考えることが必要なのだろう。「近代民主主義という法的・政治的なフィクションをどのようなものとして扱えばいいか」伏見もロックやホッブスでも読んで勉強しないとなあ。