2006-01-25
歓びを歌にのせて
〜生きている歓びを心から感じたい〜
そのメッセージに胸熱くなる
「歓びを歌にのせて」
スウェーデン映画である。
ぴあには「指揮者として大成功をおさめた男が心臓を病み、田舎のコーラス隊の指導を通して、新たな人生の歓びを見い出していく……」と紹介されていた。
果たしてこれは、音楽映画なのか、男の再生の物語なのか、ちょっとつかみかねる気もしたし、宣伝ポスターの主人公は、どう見てもくたびれた中年男で、イケメン好きとしては決してそそられなかったのだけど、なぜか気になって、気になって、今年のファースト・シネマとなってしまった。
……で、とっても良かったのである。
主人公のくたびれた中年男が、物語の最後の方で、年の離れた若き女性とついに愛を確かめ合うのだが、そのシーンに思わず涙…。ラブシーンに生つばを飲み込んだことはあるが、涙したのは初めてだ。しかも、「えーっ?」と思うような裏切りのラストだったのに、音楽はもちろん、それに絡めて描かれた人間ドラマはとっても感動的だった。
スウェーデンはコーラス人口の多い国だそうである。
心臓を病んで、幼い頃に住んだ土地に帰った主人公のダニエルは、教会の聖歌隊の指導を引き受けることになるのだが、そこには、牧師の奥さんをはじめ、20代から80代のさまざまな男女が集っていた。そして、それぞれが、笑顔の影に、夫の暴力や恋人の裏切り、厳格な夫との冷たい関係などなど、さまざまな悩みを抱えていた。
世界的な指揮者の大胆な指導方法で、聖歌隊はぐんぐんうまくなっていくのだが、同時に、それぞれの生き方にも影響を与えていく。
この映画は、男の再生物語としてだけでなく、その周辺の人々の再出発劇としても楽しめる。登場人物はほとんどみんな、どこにでもいそうなおじさん、おばさんばかりなのだけど、それが逆にリアルだし、一方で、コーラスのシーンはとてもドラマティックで、映画的魅力に満ちている。 特に、「ガブリエラの歌」は鳥肌もんである。思わずサントラCDを買ってしまったほど!
映画「歓びを歌にのせて」を観る♪
天才指揮者のダニエルは、あるとき舞台で倒れてしまう。現役を退いた彼は幼少時代を過ごした村に戻り、レナら教会の聖歌隊のメンバーと知り合う。
すがすがしさだけが余韻に残る…