2004-03-11
電子タグ問題の提起—日本ペンクラブ理事会への湯浅リポート
最近、電子タグがにわかに脚光を浴びている。出版物と電子タグの関係はいったいどうなっているのか、電子メディア委員会に問題を提起したところ、そのまま湯浅リポートとして理事会に提出されることになった。関心ある人に読んでいただきたいと思い、ここに全文を掲載する。
日本ペンクラブ理事会向け資料
「電子タグ問題の議論に向けて」
2004年3月3日
日本ペンクラブ
電子メディア委員会
湯浅俊彦
1.はじめに
最近、新聞や雑誌などで電子タグの話題がよく取り上げられています。回転寿司のすし皿に電子タグを組み込んだ自動精算システムや、農作物の生産履歴や流通経路がスーパーの売り場でわかるなど、きわめて便利なものとして紹介される事例が多いように思います。[電子タグは、ICタグ、無線タグ、無線ICタグ、RFID(RadioFrequency Identification)タグなど、さまざまな呼び方がありますが、この文章では以下、電子タグとします]
しかし、電子タグの導入に関しては便利さの反面、プライバシーが侵害されるのではないかといった危惧の声が上がっていることも事実です。
そこで、ここでは私たち日本ペンクラブとして特に強い関心をもたざるをえない本や雑誌などの出版物と電子タグの関係について考えてみたいと思います。
まず、最近の政府の動き、そしてそもそも電子タグとは何なのかを簡単に説明し、次に出版界、図書館界への導入事例を挙げ、出版物に電子タグを装着することによって引き起こされる問題をいくつか指摘し、この問題に関する議論の叩き台を提供してみたいと思います。
2.電子タグをめぐる最近の政府の動き
電子タグに関して、日本政府の動きはきわめて積極的です。
経済産業省では「商品トレーサビリティの向上に関する研究会」(経済産業省商務情報政策局長及び商務流通審議官の諮問研究会・座長:浅野正一郎国立情報学研究所教授)が、2004年1月21日に「電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン(案)」を取りまとめ、国民の意見募集(パブリックコメント)を1月21日から2月20日まで求めました。
(参照URL)
http://www.meti.go.jp/feedback/data/i40121aj.html
また総務省では、2003年4月から「ユビキタスネットワーク時代における電子タグの高度利活用に関する調査研究会」(座長:齋藤忠夫 東京大学名誉教授)を開催してきましたが、2004年2月23日に「最終報告書(案)」として取りまとめ、3月22日まで意見募集し、3月30日に開催予定の研究会で正式決定するとしています。
この「最終報告書(案)」では、今後の推進方策として、「1.電子タグの高度利活用のための研究開発の推進、2.利用者参加型実証実験を通じた社会的コンセンサスの醸成、3.950MHz近辺等の新たな周波数利用の可能性の検証、4.電子タグの利用促進方策、5.安心して利用できるルールの整備、6.戦略的な標準化活動の推進」を掲げています。
(参照URL)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040223_2.html
この「ユビキタスネットワーク時代における電子タグの高度利活用に関する調査研究会」の「ネットワーク利用ワーキンググループ」(徳田英幸グループ長・慶応義塾大学環境情報学部教授)は、「世界最先端のIT国家を目指す我が国における電子タグの位置付け」を「1.電子タグを用いることにより、物流・物品管理や生産物の追跡・管理(トレーサビリティ)の高度化が可能。2.今後、物流分野、食品分野、環境分野の様々な分野で活用されることにより、ユビキタスネットワーク社会の形成、世界最先端のIT国家の実現に大きく寄与」することと規定しています。
つまり電子タグ普及は、まさに国を挙げての事業なのです。
3.電子タグとは何か
ところで、電子タグとはいったい何なのでしょうか。
いま挙げた総務省の研究会では、次のように規定しています。
「電子タグとは、ICチップとアンテナを内蔵したタグのことであり、この中に個別の識別情報等を格納し、それを電波を利用して読み書きすることで『自動認識システム』に利用することが可能である。電波を利用することで、接触することなく読み書きすることや、複数個のタグの情報を同時に読み取ることが可能である。
電子タグは主に以下の様な特徴を持つ。
・データの送受信が可能
・バッテリーがなくても作動
・薄く・小さなタイプは、モノに埋め込むことも可能
・IDの読み出し機能のみの安価な製品から情報の読み書き等が可能な高機能製品まで多くの種類が存在」
以上のような特徴を持つ電子タグの普及は「世界最先端のIT国家を目指す我が国」にとっては喫緊の課題であり、総務省では電子タグ関連の経済波及効果を31兆円と試算しています。また、矢野経済研究所は2004年2月14日、電子タグの市場規模を2003年度見込みで34億3200万円、2010年度には242億8000万円市場に成長するとの予測を示しています。(「Internet Watch」2004年2月19日付)
4.出版界・図書館界での電子タグ導入事例
では、ここでいよいよ出版物と電子タグの関係について具体的に見ていくことにしましょう。
一言でいえば、出版業界では実証実験を始めた段階である一方で、図書館界ではすでに実用化されているところもあるというのが日本の現状です。
ここでは6つの場面を取り上げてみたいと思います。
1.出版倉庫流通協議会のICタグ利用研究委員会
出版倉庫流通協議会は昭和図書や大村紙業、河出興産、主婦の友図書などの出版倉庫会社が中心となって組織されており、書籍に電子タグを装着したときの流通過程各種場面での効果を実証実験しています。2003年11月4日、IC利用研究委員会は電子タグ導入試験のプレス発表を行っています。
この流通倉庫の実務試験では、書協が主催する「謝恩価格本ネット販売フェア」の書籍に電子タグを装着し、流通倉庫では「複数同時読み取りによる出荷検品」、模擬店舗では「商品アクセスのモニタリング、商品アクセス状況の分析、商品内容の確認、精算処理、書棚在庫ロスの見地、商品持ち出しの検知、在庫確認」、流通段階では「書籍貼付タグへの販売管理情報の追記」を実験しています。面白いのは、書棚から取り出した回数(タッチログ)の分析で書籍の売れ筋情報などが得られるとしている点です。販売前の顧客の興味が把握でき、陳列戦略や仕入れ戦略立案を効果的に行うことができるとしているなど、個人を特定する情報が得られればその人におすすめの商品情報が提供されるといった映画「マイノリティ・リポート」(トム・クルーズ主演・スティーブン・スピルバーグ監督)の世界を連想させます。この映画の設定では、住民の行動はつねに監視され、買い物するたびに記録されるのです。
(参照URL)
http://www.shuppan-soko.jp
2.日本出版インフラセンターのICタグ研究委員会
正式には「有限責任中間法人 日本出版インフラセンター」で小学館代表取締役の相賀昌宏氏を代表者とし、2002年4月に設立されています。会員企業社103社。2003年11月より、ICタグ研究委員会の活動を本格的に開始。ICタグ技術協力コンソーシアムを設立し、電子タグが「製造・物流・保管・小売・消費・リサイクル」の様々なシーンにおいていかに活用できるかを検証しようとしています。具体的には現在使用可能な周波数ではなく、UHF帯域を使用可能にするための電波法改定を視野に入れた実証実験をしています。
(参照URL)
http://www.jpo.or.jp/
3.「タグ&パック」
2001年11月20日、文教堂、有隣堂、明屋書店、くまざわ書店、精文館書店、三洋堂書店など当初33法人で始まった会で、コミック版元に新古書店対策としてソースタギングとソースパッキングを要請しています。2004年4月より発展的に解消し、「日本書店万引き問題協議会」になる予定です。
コミックを出版社がパックして出荷し、その上、万引防止対策に商品認識用の電子タグによるソースタギング導入を出版社に要請している書店の運動です。コミック大手5社の会はこの要請に対して、防犯タグとして有力ではあるが、その前段階の過渡期的措置として磁気式タグを書店で貼るシールタギングを逆提案しており、電子タグ装着は頓挫している状況です。万引き問題は書店の死活問題であるのは事実ですが、「古物営業法施行規則改正」「警察庁万引き犯認知件数向上への取り組み」などを進め、新古書店駆逐をめざす余り、有害図書規制などでは自治体や警察に「借り」を返さなければならない事態に陥っているようにも思えます。「青少年健全育成のための法令の一部改正を求める請願」として万引き防止を求めている状態なのです。
(参照URL)
http://www.pcomic.com
4.慶応義塾大学村井純研究室
電子タグを搭載した書籍『インターネットの不思議、探検隊!』(村井純著、太郎次郎社)を刊行し、この本を「実験材料」にして実際の流通経路を通ったあと何割ぐらいが破損するのかという調査を行っています。この本を購入した読者は自宅に持ち帰ったこの本に電子タグが装着されていることを忘れないようにしたほうがいいと思います。「電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン(案)」(経済産業省・商務情報政策局情報経済課)で言うところの「消費者に物品が手交された後も当該物品に電子タグを装着しておく場合」にあたります。
出版社の太郎次郎社は「『インターネットの不思議、探検隊!』についているRFIDタグと個人情報について」と題する注意書きをHPに掲載しています。
(参照URL)
http://www.tarojiro.co.jp/book/tagwrap.html
それによりますと、「知らない人から知らないうちに読みとれなくする方法を説明します」として、アルミホイルで包む、出版社で手続きをする、という2種類の方法を説明しています。アルミホイルで包む、では写真入りでアルミホイルのかぶせ方を説明していますが、この本を買った人がどれだけこの件を理解しているか疑問に感じます。
「電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン(案)」では「アルミ箔で覆って遮蔽できる場合はアルミ箔で覆うなど、電子タグと読み取り機との通信を遮断する手法、又は、電子タグ内の固有番号を含む全ての情報を電磁的に消去する手法等」をあらかじめ説明若しくは掲示、とあります。
このような事態は、映画で言えば「サイン」(メル・ギブソン主演・M.ナイト・シャマラン監督)においてエイリアンからの侵略に備えて頭にアルミホイルを巻きつけて「考えていることを読まれないようにしなくては」と防衛している地球人を思い起こさせます。
村井研究室の斉藤賢爾氏は初版の6000冊に印刷・製本した凸版印刷の人が1冊1冊手作業でタグを埋め込みました、と書いていますが、この実験に自覚せずに巻き込まれている読者についてどのように考えているのでしょうか。
村井研究室の斉藤氏の報告は、下記URL参照
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NBY/RFID/20031225/1/
独立行政法人産業技術総合研究所の高木浩光さんは太郎次郎社の本について、次のように批判しています。
「アルミホイルで包んで自衛しろというのは、IT強者の論理です。IT弱者には、どういうときにどういう問題が起きるかを説明してもらわないと、自衛の必要性もわかりません。昔からハッカーやマニアの間には、嫌なら自分で守るのが当然だという発想があるようです。マニアが個人的にそう考えるのは自由ですが、事業者がそれをやってはいけないでしょう」(東浩紀・高木浩光「対論・『工学化』する書物と社会をめぐって」『季刊・本とコンピュータ』2003年冬号、92ページ)
また、一方で次のような意見もあります。
「逆にいえばアルミホイルや鉛を本のまわりにつけておけば(たとえば、バッグのなかをアルミホイルで覆ってしまえば)、万引きできてしまいます。
(岡部友春「誰のためのICタグか?」版元ドットコム・版元日誌第160回)
http://www.hanmoto.com/diary/diary040218-1.html
5.千葉県富里市立図書館
千葉県・富里市立図書館は2003年4月に開館し、図書管理に大容量の電子タグを導入した日本初の「IC図書館」として出版界にも知られています。
「みんなの図書館」2003年12月号の特集「図書館の最新機器」に富里市立図書館の高橋正名氏が「ICタグによる図書館管理システム」という文章を書いています。
図書館での電子タグ導入目的は「図書の貸出・返却業務の迅速化と、自動貸出機導入による業務の効率化」です。もちろんその背景には職員を何人削減できるのか、があります。ただ、利用者の声として、「職員に借りる本を見られることが気になっていた」、つまり離婚やダイエット、ガン治療などの関する本を借りるところはたとえ図書館職員であっても見られたくないという気持ちがあり、自動貸出機は利用者のプライバシー保護につながるというメリットもあると書いています。また、蔵書点検や棚番号での配架管理などでもICタグは効果を発揮すると期待されています。ただ、面白いことに出版業界で導入を検討しているタグとの関係については、万引き対策として導入される場合、発行されるすべての書籍に装着される保障がないことから、ISBN導入時のように普及するまで時間がかかると見ています。そのほかにも耐久性の問題、無線の周波数帯の問題などを考えれば出版業界のタグとは別に図書館独自のタグを使用するほうがよいのではないかと考えているようです。
(参照URL)
「みんなの図書館」2003年12月号、No.320(図書館問題研究会、
http://www.jca.apc.org/tomonken/)
ほかにも公共図書館関係では、笹沼祟「公共図書館の新たな情報サービス〜結城市の事例」(「情報の科学と技術」54巻1号、2004年)において、2004年5月オープン予定の茨城県結城市立図書館で電子タグを採用する決定を行った経過報告をしています。
図書館と出版界との決定的な違いは、図書館では貸し出しする本にタグをつけるわけですから、コストがそれほどかからないということがあるようです。
6.アカデミーヒルズ六本木ライブラリー
六本木ヒルズ「アカデミーヒルズ六本木ライブラリー」の蔵書検索サービスは 、iモードが本の位置を教えてくれるということで話題です。利用者はiモードの検索画面に探している本のタイトルや著者名を入力します。すると本に装着された電子タグから送られてくる位置情報をもとに本が見つかり、その本がどの棚の何段目にあるかをiモードの画面上で分かるというしくみです。
このサービスについて、東浩紀氏は次のように語っています。
「六本木ヒルズの会員制図書館ではすべての本にRFIDのチップがついていますね。バラバラに置いてあっても検索すればどこにあるか分かるから本を棚に並べて管理しなくてもよくなっている。同時にここでは、誰がいつどの本を借りたかが完全に把握されている。六本木ヒルズにはアンテナショップがいろいろありますが、この図書館とお店とはデータ的に直結しているはずです。つまり、どんな本を借りたかという客の傾向をデータ化して、ショップでのマネージメントに使っているんだと思います。すべての本に固有IDがつくと、同じことが全国規模で可能になる」(東浩紀・高木浩光「対論『工学化』する書物と社会をめぐって」『季刊・本とコンピュータ』2003年冬号、87-88ページ)
この対論で東浩紀氏は次のように言います。
「本というメディアは、とても長い伝統をもっている。そして数千年前からずっと、書籍はどの本を読んでいるのかわからない、という匿名的な情報流通の媒体として存在しつづけてきた。これは一種の知恵です。図書館で本の貸し出しデータが慎重に扱われるのもそのためです。そのような匿名性には経済合理性はないかもしれない。しかし、この知恵は長い伝統として存在してきたのだから、よほどのことがないかぎり尊重しておくべきではないでしょうか。」(p.87)
出版業界では出版流通システム合理化(出版SCM=サプライ・チェーン・マネジメント)という流れがあり、これは言ってみれば1980年の日本図書コードから一貫した潮流です。その上に万引き対策という書店の喫緊の課題が乗っかってきています。そしてそこでもブックオフに象徴される新古書店対策として、商品のトレーサビリティ(商品の追跡、履歴管理)の観点が入っています。このことは近未来的には買った商品は自分のものという概念から、ある種の使用許諾を得ただけというような知的財産的な権利関係の問題に発展していきそうな気がします。
一方で日本の図書館では人員削減と利用者サービスの観点から電子タグの導入が進展していきそうな気配です。出版業界で導入を検討しているタグとの関係では、出版業界ではすべての本に装備される保障もない上にタグの耐久性や周波数の問題などもあり、出版業界とは一線を画している現状です。しかし、これも将来的にどうなっていくのかは不透明です。
米国の電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)は、サンフランシスコ公共図書館が所蔵する約200万冊の図書などに電子タグを添付する計画に対し、利用者のプライバシー侵害の恐れがあるとして文書で計画の見直しを求めているそうです。
(国立国会図書館・カレントアウェアネス−E通信・2003年11月5日[E140]個人情報の流出の要因となるか?無線タグをめぐる議論・米国)
(参照URL)
http://www.miami.com/mld/miamiherald/6927665.htm
5.問題の所在
では、ここで議論のために問題の所在を整理しておきたいと思います。
出版物に電子タグを装着することの問題点は、大きく分けて以下の4点にあると思われます。
1.追跡可能性の問題
販売されたあとの出版物の固有コードを読むことで、自宅の書架にあっても、古書店に持ち込んでも、人に寄贈しても、履歴情報が追跡されること。
2.所有者の意思に反して読まれることの問題
離れたところから、所有者の意思に反して、読み取られること。
3.誰から読まれるか分からないことの問題
市販されている安価な装置でだれでも読むことができること。
4.知的財産権拡張の問題
書店で買ったあとは持ち主の自由だった出版物が、その貸与や転売について制限される可能性があること。
6.おわりに
電子タグは現在のところ、コストの問題やデータの可読性や標準化の問題などがあり、ただちにすべての商品に装着されているわけではありません。
例えば電子タグ導入を考える業界がまず行き当たるのが、導入コストの問題です。
つまり、まだまだ高すぎるのです。しかし、世界最小クラスのICチップ「ミューチップ」を開発した日立製作所では、100万個以上の注文があれば、1つ10円台になるICタグを2004年4月から発売する予定です。(「朝日新聞」2004年1月18日付大阪本社版朝刊)それでも出版界では、たとえばタグの価格が5円、できれば3円以下にならないと出版物には装着できないという意見もあるようです。
また、様々な業界による電子タグの導入実験では、「読めるはずのデータが読めない」「読む必要がないデータを読んでしまう」「誤ったデータが書き込まれる」という事例が報告されています。
そして、電子タグには標準化が進んでいないという問題点もあります。例えば出版業界で装着した電子タグが図書館では使えず、結局別の電子タグをもう一度装着するといった問題です。
具体的に日本の出版業界の現状を考えると、中小零細の出版社や書店では電子タグのシステムに何百万円もかけられないでしょうし、出版社では既刊本に電子タグを改めて装着するとなると、大変なコストがかかるものと思われます。
しかし、日本では電子タグを装着することに対して、プライバシーの観点からの反対運動が起こるようには思えません。海外での事例では、2003年7月に欧米のマスコミが一斉に報道した「米ウォールマート・ストアーズがICタグの実証実験を中止」というニュースや、ベネトンがサプライチェーンにおける商品の追跡管理にフィリップス製のICタグを採用すると発表した直後に消費者団体が「追跡装置が付いたベネトン商品は買うな」と不買運動を起こしたことなどは、プライバシー侵害を恐れる消費者の反発があったからでしょう。
出版メディアについては今日、CD-ROM出版、オンライン出版、オン・デマンド出版といった「電子出版」への関心が高まってきています。そしてそれに伴い、顧客管理上の個人情報の問題や新たな著作権問題がクローズアップされてきています。しかし一方で、電子タグが装着された紙の本や雑誌がもたらす変化にも私たちは注視する必要があるのではないでしょうか。
電子タグと出版物についての論議が徹底的に展開されることを期待しています。