2012-12-08

フィリピンかタイ

疲れていると普段とは違う行動に走りがちになります。
ある日の深夜1時前、私は街のカレー屋に入りました。

本場インド人と思われる男性が店のキッチンに立っており、
閉店直前だったが嫌な顔ひとつせず席を用意してくれました。
長いカウンターに、ひとり。マンツーマンです。
カレーの主食は、悩んだ末に大好きなナンではなくライスで注文。
疲れていると普段とは違う行動に走りがちになります。
料理を待っている時間、店内を見ますよね。
かたちが崩れた文字で書かれたメニューやら何やらが貼り紙してあります。
「ナンとライス、両方つけられます! 店員にお申し付け下さい」の文字。
…そっかぁ。

目の前に出された美味しそうなカレーと、超大盛りのサフランライス。
「これぐらい、いけるね」
「はい」
「何人? 日本人?」
「はい」
「見えないね」
「何人に見えますか」
「フィリピンかタイ」
「よく言われます」
「あー、だいじょうぶね。いろいろあるからね」
「……。」
「ぼくもほんとはネパール人だけどインド人だからね」

インドとネパールは隣国だから近いけど、日本とフィリピン、タイは遠い。
隣国と間違われるということは、たとえば日本人が韓国人と間違われる感じだろうか。

それにつけても、ネパール人の彼が言う「いろいろあるからね」には、
日本人の言うそれとは異質なものがありました。
「いろいろあるからね」という言葉には、下手すると相手になんとなく“いま半径一メートル以内で会話をしているけど、わたしたちの間には一億光年もの距離がある”ような気分にさせてしまう恐れがあります。 言い過ぎですが。
同じように、ネパール人の彼が言う「フィリピンかタイ」にも日本人の言うそれとは異なるはず。
ネパールから見た「フィリピンかタイ」という言葉は、どんな視点・先入観・背景を内包しているのかなぁ。

実家を出てからというもの外食ばかりで、街にあふれる色々な国の料理を食べています。
日本、韓国、中国、イタリア、インド・ネパール、タイ、アメリカ。
数年以内に、友人が永住するイギリスに行きたいと企んでいます。
来年は外食を減らして渡英費を貯める所存です。ガンバリマス。