2006-07-07
日記(その5)
金曜日の夜・・・。息子も私も、一応ミュンヘンに行く用意をしていましたし、着替えもして準備万端だったのですが・・・。もちろん、週末には学校問題は何もできません。でも、息子は心がもうミュンヘンに行く余裕がなくなっていました。私としては、気分転換のつもりでも、少しミュンヘンに行くのは悪くないと思ったし、なによりご招待を受けていて主賓に近い私としては、行かないわけにいきません。
でも・・・。今の息子は、本当に何かをつかもうとしています。今までの大変だった思春期の愚かな大人への反抗によって、自分に返ってきたことの重いものを感じているようです。実際、ドイツ人の子どもたちはみんなうまくやっているのですね。息子ひとりだけ自分の首をしめるようなことをしていたわけで・・・。でも、簡単にぎりぎりでも進級してしまうより、今この時点で息子にとって大事なことを、落第という形で学ぶのも悪くないと思いました。もちろん、それが診断書だけで決まってしまってはいけないとは思いますが・・・。
結局アンゲリカに電話をして、夜行でミュンヘンに行くのはキャンセルしました。アンゲリカは最初、とても残念に思ってくれたのですが、事情を話したら校長先生に対して激怒!「ひどい!!!そんな言いがかりもいいところだわ!万が一診断書を出し忘れたり、遅く提出したとしても、子どもがやっていることよ?担任なり体育の先生がひとこと注意すればいいことでしょう。そうやって子どもは学んでいくのだから。いくら先生と折り合いが悪いといったって、それくらいのことを生徒に伝える義務はあるはず!それは断固戦うべきよ、淑子!!! そんな不条理は許されるべきではないわ!!」アンゲリカも弁護士をつけることに大賛成でした。アンドレアとアンゲリカ・・・。この二人は、母親としてとても私の立場を理解してくれます。ありがたいことです。でも・・・弁護士のことはもう心に決めてはいますが、できれば校長先生に理解していただきたい。息子にも、先生が気づいていないとても良い部分ふがあるのだということを・・・。
ミュンヘンへ行くことをドタキャンし、さすがに息子も私に悪いと思っているようでした。「俺、ひとりでここにいるからお母さんだけでもお祝いに行ってよ。失礼になってしまうでしょ。」「何言っているのよ。お祝いには君も招待されていて、みんなで楽しみに待っていてくださっていたんだからね。君と一緒に二人で行くか、あるいは行かないかのどちらかよ。もう決めたのだから、この週末は今後どうするのかいろいろと君とも話し合わないとね。君は本当に9年生になりたいの?今までさぼって、先生を敵にまわして喧嘩して、勉強も好きじゃなくて・・・。君が本当にやる気がないのだったら、別にギムナジウムに残る必要はないのよ。でも、お母さんもね、君が怠惰で何もせずにだらだら遊ぶだけでドイツにいるというのだったら、意味がないと思っているので日本に帰りましょう。君が怠けるためにドイツを選んだのではないのだからね。」と言うと、真剣な顔をして、「俺、まだ将来何をしたいかわからない。でも、今の友達と一緒に9年生になって勉強したい。それにアビも受けたい。大学に行くかどうかはわからないけれど、でもアビまで友達とやりたいんだ。ドイツにいたい。お母さん、俺本当にちゃんと勉強するよ、したくなったよ!! だから落第したくない、日本にも帰りたくない!!」
そうですか、やっとここに来てやる気になってくれましたか・・・それに、先生への愚かな態度も、そして何でも他人が悪いと自己正当化するのも、反省しているのですか・・・。ならば、母としてできるだけのことはしよう、と心に決めました。