2004-12-06

食べ方問答

甲田先生とサンプラザ中野さんの対談形式になっている新刊「食べ方問答」(マキノ出版)を読みました。面白くてあっという間に読んでしまいました。いつもの素晴らしい甲田先生のお話と、とても正直に気負いなく質問したり感想をおっしゃっている中野さんも素敵でした。内容もとてもわかりやすく、あまり厳格じゃないところも、読み物として楽しめました。

私は、甲田先生が提唱されている、生菜食でも厳しいBを行っているわけですけれども、いろいろ日々心の葛藤があるんですね。この本には、そういう私をなにかリラックスさせてくれるような、ライトな気分にさせてくれるようなエッセンスが散りばめられています。そしてとてもはっとさせられたのは、やはり甲田先生のお言葉。なにげない、さりげない文章なのですが、心にしみます。先生のご本は、どれもとっても感動します。心の奥底までしみるのです。先生がお選びになる言葉ひとつひとつが、患者に対して愛情があるので、冷たくなく、温かいのです。ですから、難病になってしまったけれども、先生に出会えて幸せを感じます。これからの残りの人生を幸せに過ごすことができるように感じるからです。それは、病を背負っている人間にとっては、とても重要な生きる上での要素です。甲田先生以外は、私の耳が治るとは言ってくれませんでした。先生だけが、必ず治ると言ってくださいました。その言葉のなんと大きなことか! 初めて診察していただいた日のことを、私はこの「食べ方問答」を読みながら思い出しました。こうして生かされていることに感謝して、そして必ず治ると信じて生きていきたいと思います。

さて、そんな私ですが、甲田先生の、ストレスに関する文章を読んで、確かにそうだな、と思いあたることがいくつかあります。特に、この甲田メソッドを実践していくと、不思議なことが起きるのですね。今までは、やはりストレスがありすぎて、しかも食事が野菜好きとはいっても甘い物もたくさん摂取していたので、バランスが悪くなって病気になったとされています。けれども、それはそうなんですけれども・・・どうしてストレスを貯めてしまうのだろうか、というところまで考えるようになりました。そして、ストレスをストレスと思わない心を作ることが必要なのではないか、とも思うようになってきたんですね。でもそういう考えは、普通に前のように多忙に暮らしていたのではなかなか浮かんで来ないものです。こうして養生していて、生菜食をまがりなりにもしてきて、少しずつストレスに耐えうる心身を作れるようになってきたからこそ、感じることができたように思うのです。

今、甲田メソッドをしているプロセスで確信していることは、少食をすれば身体が良くなると同時に心が落ち着く、ということです。そして、物事を悪いように捉えず、心配もあまりしないようになり、結果ストレスの少ないライフスタイルにすることができる、ということ。少食をすることで、心が前以上に穏やかになり、前向きに考え
られるようになってきたのです。それは、何を食べていても考え方をそのように変えることはできる、というものではないように思います。こうして1年半以上も少食メソッドを実践してきて、何度も脱線してよたよた状態ではありますけれども、そうした少食と生菜食が、確実に私をストレスに強い人間に作り変えているのです。食が身体に及ぼす影響の強さを、身を持って感じています。体の調子が良いと、自然に心も軽やかになります。

息子が今思春期で、最も私の頭を悩ます時期なので、ちょっと問題があるとストレスになりがちです。そういう時はどうしても甘い物が食べたくなるのです。落ち着くために、しっかりと体操をしますが、それでもダメな時があります。けれども、息子との関係がとてもうまくいっている時は、生菜食を楽にできるのです。ストレスが、食を通して身体や心にダメージを与えることがよくわかりました。

私は今、できるだけ息子と諍いのない状態を保ちつつ、彼を静かに見守り、思春期に大幅な心の脱線をしないように注意をすることをこころがけています。誰もが通る道、大切な人生の一部分でもあります。でも理想の家族も親も子供もどこにもいません。ですから、私ができる範囲で、等身大で子供を愛していけば、きっとうまく通り過ぎる段階なのだと思うようにしています。不安ももちろんあるのですが、前向きに過ごすことで、解決することもあると信じています。

息子の食事にも気を配っています。成長期ではありますけれども、だからといって肉を大量に食べさせる必要はないと考えています。全くゼロにしてはいません。甲田療法に出会うまでは、普通に何でも与えていたのですから、今さら肉はダメと言っても、かえって反発するだけです。息子にも、学校や社会でそれなりのストレスがあると思っています。あまりに無理強いするのはマイナスでしょう。ですから、ひき肉や鶏肉を中心にして、できるだけヘルシーな料理を心がけています。玄米にすると、腹持ちがいいので自然と少食になります。でも毎日出すといやがります。将来玄米嫌いになってしまわないように、そういう時は全粒粉のパスタなどを使って目先の違う楽しいメニューにするようにしています。今年のアドベントカレンダーは、ナチュラルハウスで購入したスィートを中心にして手作りしました。こうしたお菓子は普通のものとは違って味に深みがあるので、息子もものすごく喜んで、「お母さん、めちぇくちゃ美味しいよ!ありがとう!」と言ってくれました。値段は高くなりますけれども、1年に一度のこと。それに、身体に良いお菓子となれば、私も安心です。そういう心配りをしていくことで、母子のコミュニケーションも徐々に良いものになっていっているように思えます。

焦らず、ゆっくりと。そのうち息子も、青汁や玄米のありがたさがわかることでしょう。