約5年間、お世話になりました

2012-03-01 尹 良浩

本日、といっても日が変わってしまいましたが、2月一杯をもってポットを退職しました。
ポットには4年11ヶ月在籍しました。中途半端です。

私が入社したばかりのとき、多くの人に言われたのが
「いつ辞めるの?」という冗談でした(笑)
実際、話に聞いても当時は人の回転が早かったので、
付き合いのある会社からすれば、
「また人が変わった」という感じだったのだろうと思います。

最初の2年は何度辞めたいと思ったか解りません。
怒られる理由にだいたい納得できていたこと、
濃い経験ができていると感じられたこと、
フォローをしてくださった社内外のみなさま、
逃げるように辞めるのはしゃくに触るという自分の気質など、
いろいろな要因が重なって辞めずに続けてこられました。

そして、振り返ると私も在籍年数では中堅くらいになっていました。
最近のポットは人の出入りもなく安定していますし、
社内も充実して来たように思います。(あくまで入社時との比較ですが。)
自分がポットにぶら下がることをやめるなら今だなと感じたことが
辞めることを最初の最初に考えたきっかけです。

振り返ってみても、お世辞にも仕事ができたとは言いがたく、
社内ではたくさん叱っていただき、社外ではたくさん教えていただき、
もらってばかりの約5年でした。

社内外を問わず、お世話になったみなさまに
この場を借りて御礼申し上げます。

ポット出版は、好調な本が数点でて、これから面白くなるところだと思います。
今後、また近くから見られるのか、遠くから見るのかは解りませんが、
ポットの本には注目し続けたいと思っています。
みなさまにもご注目いただければ幸いです。

約5年間、お世話になりました。
ありがとうございました。

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ポット出版年明けイベント祭り2012

2012-01-19 尹 良浩

昨年からコンスタントに新刊が出て気持の良い感じのポット出版です。
1月は月末ごろにまた新刊『魔淫の迷宮』(相馬俊樹)が控えていますが、
最近は月2点ペースだったので、今月はイベント準備に務めている感じです。
(今月は『アイドル、かくの如し』(岩松了)も刊行しましたが、
月頭だったので、主だったことはほぼ昨年で終了)

最初に控えているのは1月28日『要約 ケインズ 雇用と利子とお金の一般理論』
(訳・要約●山形浩生)刊行記念トークセッション。ジュンク堂新宿店さんで、
山形浩生×飯田泰之『もう一度「一般理論」に挑戦する』を開催します(満員御礼。締切りました。)

いわゆる「経済学者」とは違ったスタンスの二人が、
現代におけるケインズの価値を語ります。
個人的にすごく楽しみです。
これを聴きながら給料貰えて嬉しいです。
すでに満席で、みなさんの関心も高いように思います。

そして、満席で申し込めなかった、その日は都合が悪くて申し込まなかった、
1時間半?もっと聞きたいという方のために、池袋で第二弾もやります。
題して山形浩生×飯田泰之『もう一度「一般理論」に挑戦する PART2』(まんまです)
話す内容は内容は変わると思います、とおっしゃってたので、
新宿で申し込まれた方もぜひ。現在リブロ池袋本店さんでお申込み受付中です。

さらに密やかにもう一つ、
大好評発売中のアノ本のイベントを2月中開催で企画中です。
決定次第また告知します。

イベントが盛況だと楽しいです。
本が売れるともっと楽しいです。
最近はイベントが上手く売上と結びついてくれていて、
やりがいがあるというものです。

ぜひイベントご参加下さい。
そしてポットの本(と他の本)を現地で購入して下さったら嬉しいです。
よろしくお願いします。

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なんだか景気がいい(ような気がする)から『女子をこじらせて』の事前注文書店リスト作ってみた。

2011-12-05 尹 良浩

明日、雨宮まみ『女子をこじらせて』が発売です。
とはいえもう取次搬入は終わっているので、店頭に並んでいる書店さんも多いはず。
ぜひ発売日フライングして下さい。

そこで、早く手に入れたいという方のために事前注文をいただいた書店一覧を作りました。

この一覧に入っている書店は刊行前に「事前注文」を受けた書店さんなので、1冊以上は納品しています。
在庫冊数はお店によって違いますし、売れてしまって在庫切れの可能性もあるため、
店頭に必ずあるかは保証できませんが、少なくとも本が入っているお近くの書店を探せます。
参考にご活用下さい。

ウェブと相性がいいということもあると思いますが、
『女子をこじらせて』は話題がどんどん出ていて期待を感じさせてくれます。

11月刊の山形浩生『要約 ケインズ 雇用と利子とお金の一般理論』も好調です。
また、そのほかの既刊も客注が増えていたり、わりと好調な空気感のポット出版です。

このまま景気よくいけるように頑張ります。

ちなみにタイトルに書いているような景気の善し悪しには関係なく、
事前注文リストは前々から公開しようと思っていました。
注文いただいた書店さんの宣伝にもなるので。
できるだけ続けていきたいと思います。

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「フリー入帖」とはどういう意味か

2011-10-19 尹 良浩

ここ二回、日誌当番が回るたびに返品のことを書いてきました。
機械仕分けでも謎の逆送がなぜ起こるのか考えてみた(追記あり)
トーハンの返品可否登録
今回は「機械仕分け〜」の記事で予告していた
「フリー入帖」という言葉について書きたいと思います。

出版営業であれば、一度は体験してそうな会話に以下のようなものがあります。

書店「御社はフリー入帖ですか?」

営業「ふ、ふりぃ?」

私は最初解りもせずに「そうです」と答えたような気がします。ダメですね。

書店が「フリー入帖ですか?」と聞いてくるときは、
十中八九「いつでも返品できますか?」の意味と考えていいと思っています。
細かいこと抜きに返品できるかどうかが書店にとって大切だからです。

しかし、出版は委託商品(新刊、長期)をのぞいては、
注文品=買切が原則と言うか、建前です。
とはいえ、買切と言うことは、
注文した分は売れないまま死に在庫になれば損になります。
そうなると、書店は冒険してドーンと展開するとか、
ちょっと置いてみようかという様子見の仕入が出来なくなるので、
確実に売れるもの以外には慎重になってしまいますよね。

というわけで、ポットもそうですが、
結構多くの版元が「委託・注文問わずいつでも返品を受け付ける」わけです。
売れ残っても返せるわけですから、ちょっと置いてみようとか、
長く置いてみようとか、販売する書店の自由度はかなり大きくなります。
出版社としてもじっくり売って欲しいと思いますから、いつでも返品を受けるとするわけですね。

ではポットは書店に聞かれていることのとおり、
いつでも返品を受け付けているのだから「フリー入帖」なのでしょうか。

私は「フリー入帖ではない」と考えています。
その理由は書店と出版社の間には取次がいるということです。

過去2回で書いたように、返品逆送は
・取次は返品不可品は書店に逆送する
・だが、その基準はよくわからない
・しかも取次によっても違う
ということがあります。

書店と出版社は直接契約しているわけではなく、
それぞれが取次と契約することによって、
本を流通させているわけです。
その契約の中で、少なくとも出版社と取次の契約上は注文品は買切扱いです。
トーハン(出版メディアパル)が出している「よくわかる出版流通のしくみ」にもはっきり書いてあります。

なので、注文品で入ってきたものは逆送するのが契約上は「正常」です。
また、取次はこれまた建前上「いつでも返品を受け付けている」ということは
ないことになっているはずです(だって契約と違うし)。

要するに、出版社がいくら「いつでも返品を受け付けている」と言っても、
取次にとっては契約上の筋として逆送することが正しいということです。
事実ポットの本は逆送されることがあります。

すると、書店が言う「フリー入帖ですか?」=「いつでも返品できますか?」に対して、
まっすぐ「フリー入帖です」と答えると、バッチリ逆送されました!
ということが起こりうるわけです。

なので、私はフリー入帖かどうか聞かれたときは
「いつでも返品・入帖承りますが、取次判断で逆送されることがあります。
なので、もし可能であれば返品の際は尹の名前で返品了解としてお返し下さい」
と答えるようにしています。

最後にタイトルにある「フリー入帖」の本来の意味は結局何かについて、推測。
先にポットは「フリー入帖ではない」と考えていると書きました。
それは、「フリー入帖」という仕組みそのものが別個存在していると考えているからです。

例えば一定以上大手の出版社の場合、点数も部数も膨大な数になりますし、
仕掛け販売は毎月のようにあるでしょう。
そうなると、店頭で毎月自社の本を山積して欲しいわけです。
ルール通りだとその度に膨大な逆送が起こります。
そうすると取次にとって大きな利益が上がるものの、
逆送そのものが大きなロスになります。
そこで、きちんと取次に話を通した上でいつでも返品できる仕組みが、
昔から存在したのではないかと考えています。

つまるところ、書店側から見れば、
「フリー入帖」=「いついかなる時でも返品が可能」
取次、出版社から見れば
「フリー入帖」=「いついかなる時でも返品が可能なように両者の間で納得したもの」
というものであり、大元の意味としては同じ言葉で微妙にニュアンスが変わっているのではないか、と。

そうした中で、出版社はどこでも「フリー入帖」にできるわけではないですが、
書店は「フリー入帖」の本に大抵触れるわけですから、
圧倒的に書店の方が言葉に馴染みがあります。
そうしていくうちに「いついかなる時でも返品が可能」という意味が独り歩きしたのではないか、
というのが私の推測です。

あくまで推測なので、業界の生き字引のような方がいたら、
フリー入帖の謎を教えて欲しいですね。

というわけで「フリー入帖」の謎を考えてみました。
出版関係の方以外どうでもよすぎる話ですが、なんかの参考になれば。

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トーハンの返品可否登録

2011-09-08 尹 良浩

いよいよ「ジュン」シリーズ完全復刻第一弾『ジュン 0─石ノ森章太郎とジュン』
『ジュン 1─章太郎のファンタジーワールド ジュン』が来週発売です。
たくさんご予約いただいて嬉しいです。

新刊委託配本をしていないので、通常の新刊よりも書店着にバラつきが出てしまいますが、
事故がなければ遅くても16日(金)くらいにはご注文いただいた書店さんに届くと思います。
カッコイイ装丁なので、書店に並ぶのが楽しみ。

『子供がケータイを持ってはいけないか?』も9/14(水)発売です。
子供とケータイにまつわる最新事情を取材。
こちらも類書がない本なので、さりげなく期待の一冊。
小学生が5人に1人、中学生が2人に1人、
高校生はほぼ全員がケータイを持っているそうです。
私は思ったより持ってないんだなと思いました。
お子様がいらっしゃる方は本書を参考にしていただければ。

今回、トーハンさんへの新刊見本出しの時に
ひとつ今まで誤解していたことに気が付きました。

それはトーハンの返品可否登録。

トーハンさんは新刊見本を提出する際に返品可否登録用紙というものを提出します。
個別の本に対して「返品可」「委託期限終了後返品否」
「返品条件付(返品可能期間を設定できる)」「返品否」の選択肢が選べます。
(報奨金の有無やセット品の分売についての項目もあります。一応。)

で、私はこれはあくまでもトーハン→出版社への返品取り決めだと
ずっと思っていたのですが、書店さんからの返品についての設定みたいです。

まっすぐに考えればそりゃそうなのですが、
返品は原則委託期間のみ・注文品は買切で返品不可が基本ルールなので、
本一冊ごとに返品受けるかどうかというのは
建前からして聞きはしないだろうと思い込んでいました。

取次すべてがそうではないのですが、トーハンさんの場合は、
書誌マスタに返品の可否項目があるそうで、新刊だろうと注文のみだろうと、
返品可否登録用紙に登録された返品条件を単品ごとに設定してフラグを立てているそう。
こりゃすごいぜ。

そうすると、弊社の場合はいつも返品可ですから
トーハンさんでは逆送は起こらないはずなのですが、
実態はどうなんだろうか。その辺りも知ってみたいところです。

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機械仕分けでも謎の逆送がなぜ起こるのか考えてみた(追記あり)

2011-07-08 尹 良浩

先日、書店員さんと元書店員の編集者さんの3人で飲みに行ってきました。
真面目な話からくだらない話まで、色々していたのですが、
その時に「逆送」の基準はなんなのかという話になりました。
その時に私見を述べたところ、それツイッターに書いてくださいよと言われてすっかり忘れてました。
当番がちょうど回ってきた日誌に書くことが思いつかないのでこちらに書こうと思います。

これを読んでいるような人であれば言うまでもなく、
「逆送」は書店が返品した書籍を取次が書店に送り返すこと。
理由は書籍は新刊などの委託をのぞけば原則買切商品だから(建前上)。
取次からすれば、最悪なのは書店から返品を受け入れて、
出版社が受け入れてくれない場合なので、そういうリスクを避ける面もあるでしょう。

この逆送基準はかなり曖昧で、注文品搬入の同じ出版社の同じ商品を別の日に返品したら、
最初はOKだったか二回目は逆送なんてことが起こったります。
話しとして言われているのは、その日の取次の返品担当者によって基準が変わる、というやつです。
明確な基準というよりはその時の現場の人の気分や勘で決まっている。
まあ実際のところ、明確は基準に従っていたら1日ウン万冊の返品は処理できないでしょうし、
あながちウソでもないような気がしています。

さて、そうすると謎が出てきます。
人が仕分けているのならばたしかにそれで説明がつくのですが、
トーハンさんや日販さんは今は機械仕分をしているはずです。

トーハン●トーハン桶川SCMセンター
日販●王子流通センター

機械仕分は気分では決まりません。人間の側で何らかの設定をしないと、
この本は逆送する、しないという仕分は不可能です。
でも日販さんもトーハンさんも今なお逆送があるようです。

その基準は一体なんなのかと考えてみたわけです。

1.返品了解がくっついているものは人の目で通してフラグを立てるか手作業(だからミスもある)
2.注文品の返品を受け入れない版元の本は逆送(トーハンの見本出し時の「返品可否用紙」やデータ上の実績から)

この辺はおそらく間違いないんじゃないかと考えています。
でもこれに当たらない返品逆送というのを考えたときに、
考えられるのはこれしかないと個人的に思うのが以下の3つ目。

3.入金実績の悪い書店、返品率の悪い書店に逆送フラグを立てる(大手チェーンはその限りでないかも)

機械で仕分けるには基準を設けるしかありません。
この場合、出版社には数字の上での不利益はないので、基準を設けるなら書店側です。

このフラグ立ては新刊配本では行われているという話は聞いたことがあります。
事前注文を出しても、新刊配本されないわけですね。
そういう意味でも、個人的には結構当たってるんじゃないかと思っています。
というか拙者のスッカスカの脳みそではこれが限界でござるよ。

秘密主義ゆえにブラックボックスな取次さん。実際のところはどうなのでしょうか。
「お前それ違うしwwwwwwww」とか、「ウチはちゃんとやってるのにしょっちゅう逆送される」、
などあったら教えていただければ幸いです。

とりあえず繋ぎましたが、次回のネタも困りそうです。
次書くことなかったら個人的に出版業界一のファジーな言葉だと思っている
「フリー入帳」の謎に迫ってみます。書くことなかったら。

2011.7.11追記)
スタイルノートの池田さんにTwitterで触れていただいて、一つ大事なことを書いていないことに気が付きました。
もし書店側でフラグを立てると、注文品搬入で入ってきたものは
全て逆送されなければそれはそれで理屈が通りません。
なので、版元によって、ここのは逆送する、しないという基準「も」内部的にはあると思います。
それが取次の独自判断か、各版元との取り決めかは知る由もありませんが。
また、発売日や価格によって切っているものもあるかもしれません。

なので、この説を一言で言うならば、
逆送する書店の基準があり、その中でどれを逆送するかという基準がある、
ということです。

そして、その「逆送されない版元」こそが真のフリー入帳、と私は考えています。
(ここで個人的に出版業界一のファジーな言葉だと思っている「フリー入帳」の謎につながったりとか)

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人間学アカデミー「武田邦彦、原発を語る」と新刊『紫雲の人、渡辺海旭』

2011-06-02 尹 良浩

ポットは人間学アカデミーという公開講座の事務局をしています。
主宰はポットの本でもおなじみ、批評家の小浜逸郎さん。
1年を1期として、1期につき5名の講師を呼び、5講座+シンポジウムを開いています。

現在開催中の講義はテレビでもおなじみ武田邦彦先生による「武田邦彦、原発を語る」。
時節柄たくさんの申し込みを受け、お申し込みいただいたにも関わらず、
受講をお断りしなければならない人が出るほどの人気ぶりでした。

おかげさまで、5月の半ばからにわかに忙しくなり、
一回目の講義が終わりましたが、課題もありまだまだ頑張らねばなりません。
武田先生の講義の後にもシンポジウムがありますので、よろしければぜひ。

シンポジウム「日本人はなぜ逆境に強いのか」

【パネリスト】
★竹田恒泰(慶応義塾大学大学院講師・法学)
★呉 善花(拓殖大学教授・国際学)
★佐伯啓思(京都大学大学院教授・経済学)
★小浜逸郎(批評家)

●日程 2011年07月16日(土)14:00〜18:00
●会場 PHP研究所・東京本部2Fホール
●講義料金 3,000円

※詳細、お申し込みはリンク先をご覧ください。

そして人間学のバタバタが少し落ち着き始めたのと入れ替わるように、
今度は新刊『紫雲の人、渡辺海旭』という大著の入稿が……。
私もすこしばかり手伝いましたが、大著だけに苦労しました。

明治〜昭和にかけて活躍した仏教僧・渡辺海旭の
伝記的小説というか小説的伝記です。
「カルピス」の名付け親だったり、武田泰淳の伯父さんだったり、
こんな人がいたんだと、と面白く読み進めました。
登場人物が名の知られるそうそうたるメンバー。
渡辺海旭のように、まだまだ知られざる日本の傑物はいるんだと思いました。
分厚い本になりそうですが、読みやすく面白い内容です。
ご興味があればぜひ。

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原発が大変でも新刊はでるのさ

2011-04-19 尹 良浩

出版の人間が集まると、本が売れない話や電子書籍もなあ、という話になりがちなのですが、
最近はどんな人間と会っても地震と原発の話です。
自然と口の端に上るあたり、つくづく大災害だと感じる次第です。

前回の日誌で出版倉庫のことを書いたわけですが、あの惨状の中で弊社の本は全て無事でした。
タイトル数や刷りが少ないのが被害に合う確率を低減してたのかなとは思いますが、しぶとい本たちです。
返品倉庫の方はいまだ完全復旧に至らず、こちらは弊社もダメージは避けられまいと思いますが、
現況ではまだどの程度の被害かということを確認するところまで至っていません。

さて、そんななか今月は新刊が2点でました。
売れ行きについてはどちらもまずまずといったところですが、
正直自信がなかったらもっと売れてただろうな、という気持ちが捨てられません。

『新宿、インド、新宿』は一部書店でパネル展示をしてもらっています。
紀伊國屋書店新宿南店
ジュンク堂書店新宿店
東京堂書店
また、根津のギャラリー汐花さんで
4月26日(火)〜6月5日(日)に写真展も開催されます
もちろん写真集もお買い求めいただけます。

昔の新宿の人はいい顔してんなー、と思います。
いくつか明らかに俺にはこの顔はできぬ!という写真があって、
この写真集に出てくる人々の表情は忘れられないものが何点かあります。
新宿と、渡辺克巳が新宿を求めて撮影に行ったインドと、
それぞれの写真がありますが、なんというか活気のある表情をしてるんですよね。

地震の前から新宿にはくたびれた人が結構いて、でかい街だから活気はあるんだけど…
という感じでしたが、それどころかいま新宿は地震のせいで真っ暗でつまらない。

だからそんな今こそキラキラしてる新宿と新宿の人々の写真をお楽しみください。
それでみんなで活気のある表情しながら新宿で遊び狂いましょう。

そして『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』は来週、
4月25日(月)にSHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERSさんで刊行記念トークイベントがあります。

あと、もしかしたら担当編集の大田さんが『レポTV』に出るかも?です。
もし出るなら大いに宣伝して欲しいところ。

見た目厚みがありますが、組みも文章も読みやすくなってますので、サラッと読めます。
夢のない若者みたいな話がいつから出始めたのか知りませんが、
この頃の北尾トロさんと下関マグロさんはまさに夢のない若者でした。
私も夢を持てと言われ続けた割に、特に持たないまだ来た人間ですが、
夢を下手に持って肥大化して引きづられている人が周りにも多いです。

それよりも入った世界でやることをこなして現状を楽しんだり、
面白いという理由だけでとりあえずやってみることが
結果的に先につながるんだということを教えてくれる本です。

でもぶっちゃけ中身は笑いながら読むエッセイです。
お気軽に手に取っていただければ。

次の新刊まではまた少し間が空きそうですが、まだまだ控えております。
ささやかな数いるっぽいポットファンの皆さま、ご期待ください。

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地震で出版倉庫はどうなったか

2011-03-15 尹 良浩

大変な地震が起きました。原発や孤立などなど問題山積みですが、東京にいる私は経済活動と献血ぐらいしかやれることがないです。

地震直後から、Twitterで書店さんの写真がアップされているのをいくつか見ました。東北の書店さんは連絡もつかないぐらいのところもあるそうですが、都内の書店さんでもそれはもう棚から全部落ちてるぐらいの被害。弊社は低い棚が一本倒れたぐらいで、人力で押さえて解決したのですが、問題は倉庫。

弊社は大村紙業さんに倉庫業務を委託しています。弊社の本は埼玉県幸手市にある幸手流通センターに保管されているので、すぐに電話で確認しました。幸いけが人はなかったようですが、被害は甚大なようです。本日より作業を再開し、弊社の本も3月17日(木)から随時搬入されますが、返品倉庫の被害がとりわけひどく、まだまだ完全復旧には時間がかかるそうです。

幸手流通センターの所長さんに許可をいただいて、写真を掲載します。
現地に行っているわけではないので、キャプションはすべて「恐らく」です。
参考→「棚卸しに行ってきました」の後半が幸手です。

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量の多い良本の平積みコーナーは総崩れ。ここからパレットに行く物もあったでしょうが、売れ行き好調なものもたくさんあるでしょう。

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付き物の棚。棚ごとイってます。

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良本の出庫用の棚。かなり落ちてますが、個人的には意外と生きてると思いました。

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良本のストック用の棚。めっちゃ高いんですが、ここから落ちたものは復帰できないかも。でもこのくらい落ちるのは仕方なしです。

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パレットも一箇所崩れてます。

この状態から仮とは言え早期に復活した大村紙業さんには感謝しきりです。営業としてはこれから忙しくなるところと想定してますが、現況からの復帰に向けて微力を尽くさないといけないかと思うと気が遠くなりそうです。放射線にはビールが効くそうなので飲んで解決です。ほとんど下戸ですけど。

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302号室模様替え

2011-02-01 尹 良浩

タイトルを「こんにちは2月」にすべきか真剣に悩みましたが、
自分の社内における位置づけを鑑みてやめることにしました。

今日はほぼ一日使って、会議室やポットチャンネルのスタジオなどなどに
使用しているお隣りの302号室の模様替えをしました。

本棚の本を出して、巨大な棚を動かしてまた詰めなおして、、、
などとやってたら時間はあっという間に過ぎていきます。

まだ完全に終わったわけではありませんが、
すでに前とはガラっと雰囲気が変わりました。

仕事で来社いただく方はもちろん、ポットチャンネルの観覧でいらした方も
ぜひもう一度遊びに来てください。全然違います。
これにともなって、スタジオの風景がまるで変わるので、
今週のポットチャンネルから背景やカメラ位置など、様々変わりそうです。

この後は、
●様々な配線工事あり
スタジオ・ポットSDさんが302へ移転
●303号室の模様替え&席替え

と続きます。席替え憂鬱すぎる……。

本の方も進んでいます。
3月刊がカタマリそうなのがちょっと不安ですが。
また続報出します。

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再読

2010-12-27 尹 良浩

もう2010年も終わりますね。年を負うごとに1年が早く感じるようになってきました。
年をとるということを実感します日々です。
そんな私は最近「再読ブーム」がきてます。

先日、大学時代のゼミの集まりというか、私の世代から今の現役まで集めた飲み会がありました。

少し遅れて行ったところ、空いている席がたまたま現役世代のみという若干辛い席で、
20歳くらいの学生と30分くらいテーブルを共にすることになりました。
あとで席を変わったときに、同期や先生からは、「あの席でよく馴染めるねー」と、
普通に溶け込んでいたという評価をもらったのですが、正直なところかなり頑張りました。
うわ、若いなーなんて思ってしまうくらいに、もはや世代が遠く、無理して気を張らないとダメになっています。
もう自分にかなりがっかりしています。オッサンですよ。魂、否、ソウルが。

なにせもう6つも7つも下の子たち。根本的にエネルギーが違います。
多分ドラゴンボールとか知らないし、彼らの世代ではバスケ部に入部希望が殺到したりはしてなかったと思いますし、
冨樫義博が毎週マンガを描いていたなんてことは信じられないんだと思います。あれ、ジャンプばっかりだ。
阪神淡路大震災とかオウム真理教とかもまともには知らないし。時代の移り変わりを感じます。

こうやって日常に慣れていくと、どんどん時が経つのが早くなっていき、
早くなれば早くなるほど、周りに流されやすくなっていくのかと思うと抵抗感があるのですが、
20歳そこそこの時に比べてその抵抗も弱くなってきているようです。
これがオトナになるってことなんですね。

そんな折、年明けに増刷を控える『君よ知るや南の獄』の上下巻を仕事中に読んだところ(も、もちろん仕事で)、
名作は変わらず名作なのですが、これが面白い。
キャラクターの行動の理由が「こういうことだったのかっ!!」と理解できたり、
心理描写に気持ちを寄せられたり、見え方が変わってたんですね。

それをきっかけにどうもオトナになって考え方が変わっているので、
学生時代に読んでいた本を読み直したらきっと楽しいだろうなと思い、再読なんぞをしています。
とりあえず大変なのは学生時代に読んで感動した本が思い出せないことです。
今に比べて量は読んでいたはずなのに、社会人生活の3年半はそれをほとんど忘れさせてくれました。

とりあえず目についた中で学生時代に面白いと思っていた
『僕はどうやってバカになったか』(マルタン・パージュ/青土社)を読んでみたのですが、
自分がインテリ気取りだったという事実が解ったという点で恥ずかしいばかり。
正直面白いと思うポイントが変わっていて、全体的にそこまで面白くもなくなり、若干腹がたつくらい。

次は何を読もうかなと、思ってます。再読、面白いです。お金もかかんないし。
積ん読は減りませんけど。お試しください。

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本を捨てられない人間が考える、抽象的な本の処分方針

2010-12-03 尹 良浩

なんだか久しぶりに新刊が出ます。

『劇画家畜人ヤプー2』
『童地獄・父子地獄』

前者は好評だった「石ノ森ヤプー」の第二巻。後者はポットからは久しぶりの田亀さんの新刊。フィールドは違いますが、巨匠二人の作品を同時に発売とは営業冥利につきますです。おかげさまで書店さんからの注文や予約も好調です。

ですが、こんなに嬉しい新刊発売も困ったこと、また二冊、捨てられない本が増えるということです(取っておきたい、仕事上という二重の意味で)。

先日、いろいろあって、友人の家を掃除してました。その家には大量の雑誌と文庫を中心とした書籍類がたっぷりありまして、それを綺麗に並べて積んでみたのですが、これがなかなか壮観。友人が言うには、私の部屋はマンガも入れたら1,000冊は最低でもあるだろうからこんなモノじゃなかろうとのこと。実際、私の部屋のスペース占拠率は本が一番多い。学生時代より読書量も漫画を読む量も激減しているのに、増えて増えて。しかも、私は本を売ることが出来ない人間なのです。

できるだけ収納を大活用して手放したくはないのですが、近い将来、確実にそうとも言ってはいられない日が来るでしょう。さすがに処分も考えねばなるまいと思っています。ただ、思い入れなどを含めると結局処分できなくなるわけなので、いざという時のために処分方針を立ててます。といっても具体性に書けるのですが。

————
ステップ1●処分本の振り分け
【処分】再購入が可能(品切・絶版でなく、当面なりそうにもない)で、当面なくても影響がなく、すぐにまた手元に欲しくならない本。
【自炊】読み物ではない、資料的なもので、必要なもの。

ステップ2●処分
分けてしまったら、即行動。一括でブックオフとかに持って行ってもらうべし。

ステップ3●自炊
まずはScanSnapとかを買わねばなりません。手に入れさえすればせっせと作業です。

ステップ4●その後の方針
・雑誌を買ったらとりあえず自炊
雑誌はほっとくとすぐたまるので、買ってひと通り読んだら分解してすぐ捨ててしまいます。

・コミックと書籍で明確に分け、そこに入らない書籍の存在を許さない
その棚からあふれたら、最も差し支えのないものを全巻セットで処分する。残したいなら自炊する。

紙である必要のない物は電子で買う、というのも考えてるのですが、大抵仕事で書店に行ったときに本を買ってるのと、読者の立場の自分からみるとまだちょっと抵抗感があったりするのと、なにより、Androidユーザーの私的にはラインナップが貧弱という点で、当面は考えてません。好き嫌いで言えば個人的には紙の本の方が好きですし。
————

とまあ、こんなことを考えてます。ぬるい方針だなあ。とりあえずミソなのは、最初の「再購入が可能なものを処分する」という部分だったりします。取っておきたいものではなく、また買える物。SD石塚さんの受け売りなんですけど。

でもここまで考えてる一方で、意地でも保管するべくトランクルームなんかも調べてたりします。だから特別読書家でもないのに本で埋まってるんだよね。オレの部屋。

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Ustream生トーク番組「ポットチャンネル」が始まります

2010-10-29 尹 良浩

既報の通り「ポットチャンネル」というUstreamでのトーク生放送を11/4(木)から始めます。
4人のパーソナリティが毎回ゲストを呼んで、2時間たっぷり、Ustreamで配信します。

毎月第1木曜日 19時〜21時 松沢呉一 @kureichi
毎月第2木曜日 19時〜21時 下関マグロ @maguro1958
毎月第3木曜日 19時〜21時 掟ポルシェ @okiteporsche
毎月第4木曜日 19時〜21時 沢辺均 @sawabekin

第一回は、松沢呉一さんが、ゲストに久保憲司さん(カメラマン/ライター/オーガナイザー) @kuboken999 をお招きして放送。観覧者も募集中です。

すでに数人から「もう何の会社なんだか解らない」というありがたい評価をいただいております。私自身もよくわかりませぬが、しかしこれはチャンス。カメラの類やウェブの先端サービスに疎い(というか個人的にあまり興味を持てない)私としては、個人ではなかなか腰が重くても、こうして仕事で出来る機会に真剣に取り組めば、お金もらって勉強できるわけで。苦手分野に取り組まざるをえないというのも先々を考えればとてもいいことだと、ささやかに喜んでたり。

今までも中継はありましたが、定期的な中継となると初めて。回ごとに少しずつ修正を重ねながらの放映となるかと思いますが、パーソナリティにハズレはありません。少なくとも第一週〜第三週は。第四週も、まあ、多分、大丈夫です!! しゃちょうはやってくれます。まあ、多分。

ってことでまずはご興味のあるパーソナリティからでもお気軽にどうぞ。
「ポットチャンネル」、ぜひぜひみなさまご視聴ください。

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第9期人間学アカデミー開講中ですよ

2010-10-12 尹 良浩

ポットでも本を出している批評家の小浜逸郎さん主宰の公開講座・人間学アカデミーの第9期が先月開講しました。

私は事務局として6期の途中から関わっていますが、会場として使用していたPHP研究所さんの移転にともなって、1年間の休憩を挟んでいたのですが、PHPさんの新社屋を引き続き貸していただけることとなり、2年ぶりに第9期を開講することができました。

最初に登場したのが政治経済ジャーナリストとして活躍されている東谷暁先生
「政策は経済を支えられるか」と言うテーマで、
どっかで聞いたような経済にいいとされている話をバッサバッサと切っていく。
以前講義をお願いしたときにはサブプライムローン問題真っ盛りで、なるほどなるほどと聞いておりましたが、
そこから私は特に進歩もなく、今回もこの不景気の中叫ばれている政策がほんとうに効果があるものなのか、
といった話をふむふむと聞いておりました。
(最終回は友人の結婚式があったため、出席できませんでしたが……)

出版社に務めているにもかかわらず、学生時代に比べたら読書量は激減。
読まなければならない本というのもあって、読書頭の使い方に偏りができがちです。
そういう意味でも思想や教養にまつわる講義を仕事で聞けるというのはありがたい限り。

今週末からは竹内洋先生をお招きして
「高度大衆社会から下流大衆社会へ」というテーマで
講義をしていただきます。
個人的には一番聞きたいと思っている講義で、楽しみにしています。

その後も、
櫻田淳先生「安全保障の現在と展望」、
西野喜一先生「司法制度のあるべき姿」、
武田邦彦先生「環境問題を根底から科学する」
と続いていきますので、
ご興味のある方はぜひご参加ください。

第9期の詳細はこちら。
申し込みはこちら。

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あゆみブックス綱島店さんに『二人で生きる技術』

2010-09-13 尹 良浩

あゆみブックス綱島店さんで、先日「週刊ブックレビュー」(NHKBS)で紹介された
『二人で生きる技術』を置いていただいているのを五賀さんが見かけて写真を撮ってきてくれました。

20100913_ayumi.jpg

3冊平積み。5冊納品したので、2冊売れたっぽい!嬉しいですね。
あゆみブックス綱島店さん、ありがとうございます。

先日、隣の席に座っている高橋さんが群馬の書店さんからの電話注文を受けていて、
「群馬出身なので、よく行っていました」ということを言っていました。
私も電話注文を受けたときに、昔から知っていた書店だと、そういう話をついしてしまいます。
懐かしいのもありますし、多分嬉しいだろうと思って。

あゆみブックス綱島店さんは私にとって思い出の書店の一つ。
高校の時には一時期やっていたチャリ通の通り道で、
大学の時にはバイト先や自動車免許の教習所が綱島だったのでよく利用していました。
今の感覚からすれば目的なしに本を探すのにちょうどいい広さで、
ちょっと気のきいた本もあるいいお店だったなあと思います。
喫茶コーナーも教習のあとに本を買ってよく行ってました。
『二人で生きる技術』の周りの本を見る限り、今も変わりないようで嬉しいです。

こういうお店で自社の本が売れるのはまた喜びもひとしおです。
社会人になって、東京に出てきてからは綱島に行く機会はほとんどなくなりましたが、
次に行く機会があれば久しぶりに伺おうと思います。

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ポット出版の年別刊行点数を出してみた。

2010-08-16 尹 良浩

毎日暑いです。そんな8月は本があまり売れない月と言われています。
クソ暑い時に本なんか読んでられないというのが人の心であると言われますが、実際はどうでしょうか。

そんな最中の今月のポット出版の新刊は
『お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!』
『パパの理科実験ショー』
の2点。
これで今年は目録と版元ドットコム大全を除くと11点になりました。9月にも2点刊行が予定です。
抜ける月もありますが、大体コンスタントに月2点が今のペースです。

さて、ポット出版は1989年に1点目を刊行以来21年目に入ります。
過去と比べて今の刊行点数ってどんなもんかなと思い、この間の年別刊行点数を出してみました。
(図書目録2009、2010と版元ドットコム大全2009、2010除く)

1989年●1点
1990年●0点
1991年●1点
1992年●0点
1993年●1点
1994年●2点
1995年●1点
1996年●3点
1997年●3点
1998年●6点
1999年●5点
2000年●9点
2001年●7点
2002年●8点
2003年●14点
2004年●12点
2005年●12点
2006年●9点
2007年●12点
2008年●8点
2009年●18点
2010年●11点(8/16時点)

成長の歴史という感じ。ちなみに私が入社したのは2007年4月で、
大田さんや高橋さんが入社したのが2008年末〜2009年にかけてです。

出版部が那須さんとふたりだけで編集など私はほぼしていなかった2007年に12点出てることに驚きました。
でも世間一般の出版社では普通ですよね……。

2008年から2009年のステップアップが激しかったためか、
書店さんや取次さんに「ポットさんヤバいんですか?」と
冗談半分で聞かれたことがありました。
刊行点数が急に増えるとなぜヤバいのかという理由は
この日誌を見ている人なら知っている人も多いと思いますし、
長くなるので省きますが、もちろんヤバくないです。

書店さんに聞かれることくらいは押さえておかなければならないので、
刊行点数が増えるとそれだけ大変なのですが、
このくらい本が出てくれたほうがやりがいもあるというもの。
編集者に負けずに私も頑張ります。

そんなワケで、9月に今月出た
『お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!』
『パパの理科実験ショー』
のイベントが予定されてます。
近日お知らせできると思いますので、ぜひチェックしてくださいね!

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TIBF後が地獄?道

2010-07-17 尹 良浩

ポット出版は今年も東京国際ブックフェア版元ドットコムとして共同出展しました。去年は地獄を見たわけですが、今年はそれに比べればグッと楽に出来ました。

が、終わって1週間になるのに疲れが残って仕事が進まないわ、残務処理に追われるわで、どちらかというと今の方が地獄気味です。さ、三連休が。。。とりあえず今年の東京国際ブックフェアをかんたんリポート。

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ポットの棚はこんな感じ。今年のメインは『電子書籍と出版』です。おかげさまでよく売れました。両隣は羽鳥書店さんとボイジャーさん。羽鳥さんの装飾を見て、コレが営業の仕事だと感心してしまいました。私、まだまだです。ボイジャーさんが土曜日で撤収になったので、最終日は棚を二本使わせてもらいました。

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しゃちょう大活躍。偶然、デジタルパブリッシングフェアに出展していた高校時代の友人が遊びに来て、第一声で「あのしゃべってる人だれ?」と聞いてきました。「うちの社長。」と答えたら「えっ…?ウソ!?」と言っていたのですが、真意は問わないでおきました。

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ポットでやったイベントの一つ、8月刊行予定の『パパの理科実験ショー』の宣伝にTIBFで生実験。著者の飛田さんの巧みなトークにより、わんさかと人が。電子書籍が話題の中心のため、電子書籍のイベント時はやたらと人が集まったのですが、それ以外ではこれだけ集まったイベントはそうはなかったです。お見事!

4.JPG5.JPG
今回、版元ドットコムの教育書出版社で集まって共同出展をしていたのですが、ポットもちょっぴり参加。私はジュンク堂書店池袋店の教育書担当・青木洋子さんにお願いして出展社の本を選んていただく選書フェアの担当でした。可愛らしく、気合が入りつつも遠慮がちなポップも書いていただきました。ありがとうございました。

全体に人が少ない印象があったのですが、公式発表では一番の来場者数だったそうです。デジタルパブリッシングフェアの方はかなり人が来ていたようで、潮目の変化を感じた4日間でした。

ああ、でも個人的には今の方が辛いよう。はぁぁぁぁぁぁ。

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今年初小説

2010-06-14 尹 良浩

新刊『昭和ストリップ紀行』は6/15(火)発売です。ストリップが青春だった人も、ストリップという響きから昭和の懐かしいモノを感じる人もぜひ読んでみて下さい。

さて、出版社で仕事をしていると話すと、大抵の場合「本が好きなんですね」と言われます。そしてそのときに「本」としてさされるのは大抵、文芸書です。まあ世の中的には「本=文芸書」とまではいかなくても、好き好んで読む本というのは文芸書であるというのが一般的だよね、とは思います。

とはいえ私はあまり好んで小説を読みません。人に誇れるほどそれ以外も読みませんが。版元にいるのに。でも、特に小説は読みません。

私が昨年好んで小説で買ったのは綿矢りささんの『夢を与える』一冊だけ。一昨年は9冊買いましたが、小野不由美さんの『十二国記』シリーズを全部読んだというだけ。その前の年は『ゲイトウェイ』だけ。その前になると、もはや覚えてすらいません。(我ながら作品選びの基準がよく解りません。)

一年に一作品しか新刊で小説を買ってない計算です。(研究のためにベストセラーやラノベを読んだり、昔買った本を読み返したりはしたはずですが、もはや覚えていません。)

そんな私が今年、一冊小説を買いました。(つまり今年最後になる可能性が高いわけですが。)『ヴォイツェク ダントンの死 レンツ』という岩波文庫の古典です。5/29(土)の書店落語でお世話になったリブロ松戸店の店長さんが勧めてくださったのですが、文芸に疎い私は作者のビューヒナーの名前すら知りませんでした。調べてみると早逝の天才として名高いようです。

とりあえず、世界史で馴染みもあるので「ダントンの死」を読んだのですが、これがめちゃくちゃ面白い。戯曲なのでちょっと読みにくいのですが、出てくる人出てくる人がえらく魅力的。他を読むのが楽しみになりました。リブロ松戸店の店長さんのオススメはむしろ「ヴォイツェク」だったので、とても期待しています。

まあ、積ん読がたまってる上に、自社の本を読むのがだいぶ滞っているため、こっちを頑張らないとまずいんですけど。それはそれで頑張ることにします。

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今月は「書店落語」が3回! それから。

2010-05-04 尹 良浩

すでにお知らせの通り、書店と落語のコラボレーション企画「書店落語」が5/15(土)ブックファースト新宿5/20(木)ブックストア談浜松町店5/29(土)リブロ松戸店にてそれぞれ行なわれます。

5/15(土)ブックファースト新宿では芝居噺の名人と言われる林家正雀師匠をお招きして、イベントスペースで落語会を開催します。(有料・1,000円)

席に限りがありますので、事前にお申し込みください。ブックファースト新宿店さんへの電話予約も可能です。もちろん直接お越しいただいても構いません。また、弊社へご連絡いただいても構いません。弊社へご連絡いただく場合は以下へどうぞ。

TEL●03-3478-1774/mail●books@pot.co.jp

5/20(木)ブックストア談浜松町店、5/29(土)リブロ松戸店では昨年末に横浜・石堂書店で開催した「書店落語」同様、書店店内で新進の落語家・柳家ほたるさんに落語を演じていただきます。どなたでも無料でご覧いただけますので、ぜひ足をお運びください。

また、その第一回「書店落語」を開催した石堂書店さんで5/8(土)に、<地元著者に学ぼう!そして楽しもう!「幕末・維新のすべてがわかる本」(ナツメ社刊)監修柴田利雄氏による講演『ペリー来航と横浜』>が開催されます。

今まで店頭のイベントを行ったことがなかった中で弊社と「書店落語」を開催し、地元のお客様に足を運んでもらう仕掛けづくりが自分たちでもできるんだ、と感じたそうです。もともと地元の著者の本を積極的に扱ってきたこともあり、地元に住む著者の方々の講演やイベントをこれから定期的に行なっていきたいとのこと。

弊社が企画したイベントをきっかけに、石堂書店さんがこれまでに取り組んでこられたこととミックスして、積極的に自店の店頭活性化をやっていきたいとおっしゃっていただいたのは本当にうれしく思いました。

ウェブ書店に電子書籍と新たな潮流の中で、リアル書店が書店ならではの方法でお客さんに足を運んでもらう仕組みづくりの重要性は、さらに増していると思います。「書店落語」も大規模店はもちろん、町の書店でもできるそうした仕組みの提案の一つであり、今後も書店というリアルな場所で、紙の本というリアルなモノを扱っている強みを生かした仕掛けのアイデアを出したり、お手伝いができたらと思う次第です。

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「この本は売れている」と感じる数について

2010-03-25 尹 良浩

『二人で生きる技術』の増刷が決まりました!最近のポットはなかなか好調で、『日本の公文書』も在庫が少なくなり始め、『劇画家畜人ヤプー【復刻版】』は書店さんからの販促物のご請求や、補充注文も多く、amazonでは一週間に100冊単位で売れていたりと、営業としては嬉しい限りです。とはいえ、私が何かして好調なわけではないのですが……。

なんとなしに出版業界に潜り込んで3年経ちますが、「売れている本」というものについての考え方が働く前と変わっているな、と思います。

例えば友人と一緒に本屋に行くと、「この本売れているらしいね」なんて言われることがあります。そういう時に指される「売れている本」というのは「何万部突破!!」という文字が踊っているようないわゆるベストセラーです。何部売れたらベストセラーという基準は明確ではありませんが、出版社が自信満々に発行部数を書けるような、具体的な数字を上げて売れている証明ができるものが、「売れている」という社会的認知を得て、読者から「売れている本」という認知を受けます。

私はポットに入ってからただ単に「何部売れてるから」という理由で売れている本だなあと思うことが少なくなりました。他社の本で年に1,2冊。ケタ違いの数の時くらいです。部数によって「売れている」感をあまり感じないのです。それは自分が出版社にいて、それぞれの出版社の方針によってひとつの本が何部売れたら満足出来るかという基準が全く違うということを認識したからだと思います。

私自身が自社の本でも他社の本でも「売れている」と感じるのは「想定よりも売れている」ときです。

どの出版社も本を商品と扱うからには商売ですから期待値があります。この本ならこの値付けでこのくらいは売れるであろう、というものです。本に適正な定価をつける計算式というのも存在していて、かっつり計算して期待値を出すス版元もありますし、今でも多くの版元で委託販売をする関係上、売れるか売れないかに関わらず、たくさんの書店さんに本を送り込むために最低でもこのくらいの数は刷る、というところもあります。どんぶりのところもあります。

結局は売れるか売れないかというのは最終的には出さないと解らないのですが、このくらいは売れるだろうから、この分売れたら支出分をペイ出来るという想定はどの出版社も持っているはずだと思います。なので、自社の本であればあんまり売れないと思っていたのによく売れている時に「売れている」感がありますし、他社の本であれば、その版元のイメージに基づいて部数を聞いて、この版元の方針にしては「売れている」という感覚を得ます。

なので他社の本の場合は自分と接点があればあるほどイメージが正しくなるので、感覚を共感出来たりもします。
この感覚は結局経験値によるところも大きいのですが、私でも知っている他社の営業さんであれば話していて、会話が成り立つ程度の精度はあります。とはいえ外すこともあるので、まだまだ私の場合はかなり精度が悪いですが。

自社の本でも他社の本でも「この本それしか売れてないの!」と感じると残念に思いつつ、なぜかを考えますし、「思ったよりこの本売れてるじゃん!」と思えば素直に嬉しいです。

私はこの業界の多くの人のように明確な意志を持って飛び込んだわけではないのですが、最近だんだんとこの業界に馴染んできたな、とそういう時に感じます。

振り返ればそれも当たり前。来週になれば26歳になり、そしてポットも4年目になります。よく続けたような、そうでもないような。年かさだけは確実に重ねてオールで飲んだりすると身体にガタが来ます。働き出すと時間が過ぎるのが早いなと思う今日この頃です。

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