2008-08-19

金貸し

「新潮45」の最新刊、買う。
小谷野敦の『出会い系サイト放浪記』に、惹かれた。速攻読む。赤裸々っぷりが、たまらない。うわぁ~と一気読み。

特集で、<「貧乏」13の怪事件>。
作文コンクールで自らの境遇を綴り、日本中の涙を誘って「時の人」になった少女のその後を、書いたレポが興味深い。
あと、ヤミ金に追われて鉄道自殺した3人の老人のハナシ。数年前にあった事件で、これは俺もリアルタイムで知っていた。思い出して、重くなる。

むかし郵便局でバイトしたとき、郵便局とヤミ金がつながっているのを知ってびっくりした。
ヤミ金が送るDMを、わざわざ取りにいく。大量に郵便物を託すお得意さんってわけ。ヤミ金の事務所には局長の名前つきの「これからもよろしくお願いします」的な手紙が貼ってある。そんなヤミ金事務所を一日に幾つも回る。ヤミ金が入っているビルの他の入居者にバレないように、受け取った大量のDMを隠して運んだり、部屋の入り口で清算の際は、誰か来ないか見張りをさせられたこともあった。これらを、郵便局職員が自主的に配慮してやってんだから凄い。あ、職員と書いたが、実際の「職員」はこれらには手を染めず、「ゆうめいと」というバイトにやらせるのである。
で、速攻やめた。
そん時、職員に「金を稼ぐってのはタイヘンなんだよぉ!」とか逆ギレされたが、「人種が違う」と言い捨てといた。
ヤミ金に関わっていない、中で仕分けとかしている職員さんたちには、引きとめられた。自分で言うのもナンだけど、以前からの俺の働きを気に入ってくれていたようだ。こうゆうことで人から評価されるなんて俺にはありえないと思っていたので、それは素直に嬉しくって、感謝した。でも、これだけはカンベンと、やめさせてもらった。

当時、郵政民営化がどうとか騒いでいる人がたくさんいたけど、ヤミ金とのつながりを言った人は、俺は見たことない。

吉川潮という作家が、息子に「(将来何になってもいいけど)役人と金貸しになったら親子の縁を切る」と言ったと何かに書いていたけど、俺も、役人は別にいいけど、金貸しだけは傍にいてほしくない。必要悪とか、中にはイイ人もいるとか、そういった物言いはどうでもいい。ただ、不快なのだ。
ま、向こうも来たくないだろうけど。