2008-09-20
ないない
小林信彦『笑学百科』を読む。
1980年前半に書かれた笑いや芸に関する小文集。
ここ数年のお笑いブームとか落語ブームとかを経た現在だから、ていうのじゃない。いま読んでも、懐かしさだけじゃなく、響いてくるものを感じた。
でも、風刺系や毒舌系っていまやボロ負けの印象がある。
それよりも「あるある」と周縁を撫でてるだけ。あとは、毒舌にもなっていない、ただの揚げ足取りみたいなの。そんなのばっかりだ。
毒舌ってある程度「道を外れる」ものだから、それにはある種覚悟がいるものだから。それがいたたまれないのだろうか。「何カッコつけてんだよ」とか言われるのを恐れて、顔色窺いつつ、「あるある」でお茶を濁す。
毒舌は「個」の、そして「孤」のものだけど、「あるある」は共感を期待する。
そんなの、「芸」じゃない。
みんなで「そーだよね~」と確認作業。庶民の視点でございますか。気持ち悪ぃ。
クイック・ジャパンだったかな。劇団ポツドールの主宰・三浦大輔をインタビューした記事で、「あるあるネタが好きです~」みたいな発言があって、それをインタビュアーのライターがやたらと嬉しがっていた。あれ、何なんだろうか。呆れろよ。
個や孤じゃ、我慢できないのかな。
我慢できないのは能力の違いだからいいんだけど、そうゆうヤツらの醸し出す安い連帯が色んなものを汚染している。それがどうにも目障りな今日このごろ。
よくライブのレポで、「みんなのニコニコした笑顔が印象的だった」とかいうのがある。そういや、サウンド・デモなんかにもこれ系の言い回し、つきまとっていた。
あれも嫌だ。
何だよ「みんな」って。「ニコニコ」って。「笑顔」って。俺の嫌いな言葉ばっかり並べちゃって。バカじゃねえの。ヘラヘラした集団なんか普通にヘンだろ。
こんなんだから、俺の唇はいつまでたっても歪み続けるのだ。
イライラすると、お腹がすく。
夜は、ゴーヤとスパムと厚揚げを炒めてあんかけ素麺。それとナスと挽肉と生姜を茹でたヤツを食べる。うまい。