2008-05-19

とある日の散歩。

先日、車に乗って隅田川上に架かる橋の上を通った。

で、ふと思ったのは、橋を渡る交通手段と、速度。
車やバイクでは、サーっと流れすぎる。それに自分が運転していたら、脇見運転になってしまい、すっごく危ない。
徒歩。いい。でも、それが長めの橋、中央大橋みたいな橋になると、結構かったるい。
そうなると…。うん。橋を渡るのに一番適した交通手段は自転車だよなやっぱり、と改めて思ったのである。

川下を眺め、遠くの景色に目を奪われ、時にアーチを見上げたりしつつ。
自分のペースで、適度な速さをもって橋を渡る。
傾斜が大きい橋などの場合、坂を上がっていく疲れと、坂を下っていく爽快感は、最高のセットメニュー。

とにかく俺は橋が好き。で、水が好きだ。海川池、何でもOKだ。
でも、水死はダメ。苦しそうなんだもん。もし将来自殺するようなことになっても、水死だけは選ばないと思う。

例えば平日の夜だ。
俺は新宿区の新大久保に住んでいる。午後10時くらいの、気の早いヤツはもう寝るような時間に、外に出る。5月。自転車で夜の道を走るのに、心地よい季節になった。
早稲田から江戸川橋近辺を、神田川沿いに進んでいく。
江戸川橋と後楽園の間くらい。ま、普通の住宅街なのだが、その中に、桃太郎にhmpと、AVの会社が2つもある。
水道橋に出ると、ここから秋葉原~上野~浅草ルートに行くか、神保町~神田~日本橋ルートを行くか、軽く迷う。
今日こそは上野駅前にある「東京牛丼」を食ってみたいと思うのだけど、こうゆうときに限って、既に食事は済んでいてお腹がいっぱいだ。

上野駅の近くといえば、妙なビデオ屋がある。雑居ビルの中にあるそのビデオ屋、入ったことはないのだが、その看板には、いつも目を奪われてしまう。
看板には、「男ビデオ」とだけあるのだ。
「男ビデオ」。男のためのビデオを売っているのだろう。それは分かる。でもそれが、一般的な意味で男のためのビデオなのか。それとも、男の男による男のための、もう男づくしのビデオなのか。そこがどうも判断つきかねる。
ま、後者かなと睨んではいるのだが。
そういえば神田駅前には、「タフな本屋」とだけ看板を出す本屋がある。店構えから、これはもう普通に一般的な意味で男のためのビデオ(DVD)に雑誌を売っているんだなということは分かる。そんなお店。
「タフな本屋」てのも強烈だ。この看板を見るたびに、神田で働くお父さん、毎日お疲れ様です、とすれ違うサラリーマンに心の中でエールを贈ってしまう。ま、余計なお世話だろうが。でも、こんな駅前にあるお店、もしタフを欲して店内に入っても、同僚に見られやしないか気になってしょうがないだろうな。て、いや、そんなことを気にしていたらタフにはなれねえ。そうだよね、お父さん。だから余計なお世話だって。

さて、本日のルートだけど、今日は、間をとって浅草橋方面。
そう、神田川を辿り、柳橋の、神田川が隅田川に合流するところまで行くのだ。
自分にとってはお馴染みの神田川が、隅田川とこんにちわして一つになる。その場その瞬間に立ち会う。

そしてそのまま晴海方面へ。なるべく橋を渡りながら、ジグザグに目指す。
月島辺りまでくると、小さな橋がたくさん架かっているので、なるべく道に迷うように、小道を小道を、いく。夜も遅い時間なのに、橋から釣竿を垂らしているオッサンがいる。
そう、この辺は昼間だと、オッサンや子どもが川に釣竿を垂らしている風景を頻繁に見ることができる。
とにかく、ただ、徘徊。自分がいまどの辺りにいるのかなんて、全然無視。迷子ってのも楽しいもんだぜと、子どもの頃の自分に教えてやりたくなる。
ふっと、小さな橋や公園、いい感じの家屋を見つけたり。
で、いいなと思って、次に来たときまた見ようと思っても、何故か再びそこにたどり着くことはできない。

昔ながらの家屋に町並み。バックに聳え立つリバーサイドの高級マンションとのコントラストをたっぷり味わったところで、門前仲町を軽く流して、豊洲のほうに行ってみる。
時刻はもう終電間際。駅前の広場にも、人はまばら。そんな中に、くっついて微動だにしないカップルがいる。おいおい、明日も仕事だろ。大丈夫か。
駅前のコンビニで、軽く飲み物やつまみを補給する。もしくは余裕があれば激辛ラーメンなんてのもありだ。
ららぽーと、モノレール、だだっ広い空き地。豊洲公園で軽く休むと、遠く向こうにはお台場のネオン。目の前の空き地にも、いつか開発されて、何かが建つのだろう。できる限りここに来て、この景色を目に焼き付けようと思う。

で、中央大橋を渡って、銀座。
晴海通りを行く。歌舞伎座、そして三原橋。そこを通る際、それも夜中に通る際には、ボンヤリ夜空を眺める行為は要注意だ。
銀座の空にSONOKO銀座店が掲げる鈴木その子の看板と不意に目が合うと、とってもびっくりするから。

そして、新宿まで戻ってくる。もうすっかり真夜中だ。
でもここは歌舞伎町。
24時間営業のファーストフードで、読みさしの本でも読もうか。
小腹が空いていたら、回転寿司屋もいい。寿司よりも、ガリを目当てに、ビールを1,2杯。
疲れてるなって感じているならば、足裏マッサージを喰らわせるのもいい。もちろん、客引きのお姉さんに着いていくようなことはせず、純粋にマッサージのみを施してくれる店を選ぶ。

そんな感じで今日の散歩も終り、新大久保の部屋に戻る。
新大久保近辺に俺が引っ越してきた頃、浮浪者のお婆さんをよく見かけた。
駅前、店舗の軒下、車道の片隅、時にはコンビニの店内に、そのお婆さんはいた。
だけど、あるときから、そのお婆さんは、ぷっつり姿を消した。

時刻はAM3時。またビールを呑んだりしつつ、眠くなるのを待つ。