2003-10-07
第8回 音声配信
●音声配信
弊社では10月15日から語学教材の別売音声の無料配信を開始いたします。従来カセットテープやCDなどの媒体で提供されていた別売の音声を、なんと無料で、しかも会員登録なども一切不要で公開してしまおう、という試みです。かなり画期的なのでは、と思っているのですが、どうも実際のサンプルが出来あがってこないと実感が沸かないようで、社内でも自分を除くと今ひとつ盛り上っていません。本日(10月7日)、ようやくサンプルが出来あがりましたので、この場を借りて紹介させていただくとともに、なぜこんなことをやろうと思ったのか、それについて少しまとめておこうと思います。
通常版サンプル(Windows Media Player 7必須)
簡易版サンプル
●販売促進の側面 〜「カバー」ではなく「リバイバル」
よほどの名著でもない限り、出版物には商品としての寿命があります。例え内容的には古くなっていなかったとしても、売上は右肩下がり、というのが普通の出版物の販売状況です。弊社の場合、流行りモノ的な要素がない分、他のジャンルの書籍などに比べれば寿命は長いようです。が、それでもやがて寿命は来ます。
フェアにしても常備など(弊社は常備はやっていませんが)の商品の見直しにしても、ロングセラー商品をより長く売るために、というのは常に考えていなければいけない課題です。
そういった古くなった商品を蘇らせるために、今回弊社が取組んだのが、別売音声の無料配信です。音声は無料で提供しますが、その音声を使って勉強するためにはテキストが必要です。ですのでこれはテキストをより長く売るための方策です。
今回の別売音声はカセットテープで提供されていましたが、ここ数年、弊社のカセットテープ教材の販売は劇的に落ちこんでいました。そういった事情も、今回の配信を考えた理由の一つです。
「リバイバル」する商品
・中国語を聞き取る12のレッスン
・ゼロから始める中国語
・ゼロから始めるタイ語
●広報・宣伝の側面 〜話題がないなら作ってしまえ
会社の知名度を上げるのは、直接的な販売面だけでなく、販促活動をやりやすくするためにも必要なことです。が、限られた予算の中ではなかなかインパクトのある広告・宣伝活動を行なうことは難しいのが実際です。何か話題があれば良いのですが、出版というのはよほどの話題作でもない限り基本的には地味な仕事の連続なので、話題としてもなかなか取り上げられることはありません。ですが、何かで話題になることを待っていてもどうにもならないので、こちらから話題を作る方向で考えてみました。大々的に、というのは無理でしたが、今回の件についてはあちこちで好意的に取り上げて頂けたようです。
取り上げていただいたところ(サイトのみ)
・語研、語学教材の音声素材を無料配信(ascii24.com)
・語研、語学音声素材をインターネットで無料配信開始。ラジオ教材と同様に(StreamNOW)
●電子出版の側面 〜補完しあう商品
今回無料で配信する教材はどれも入門者向けのものです。実際に配信される音声はテキストの内容に沿ったものになっています。一言で言うと、テキストを見ないで音だけ聞いてもさっぱり意味がわからない、状態です。つまり、電子データだけでは完結せず、紙のテキストと合わせて初めて完成する、電子データと紙媒体が補完し合う商品になっています。ここに大きな可能性がある、と考えました。極論すると、音声をコピーされても困らないのです。なぜなら音だけでは意味がないからです。電子出版というイメージからは逸脱しますが、データ+紙、が面白いと思い、取組んでみることにしました。
●有料配信では赤字になる
無料での配信を考える前の段階では有料の配信も検討しました。著作権の管理・課金・配信方法など、越えなければならない課題は多く、しかもコストは予想以上にかかりそうでした。残念ながらそのコストを確実に回収できるだけの売上を確保できる自信はありませんでした。「有料で販売すると赤字になってしまう」という状態が見えてきた段階で、無料の配信を考え始めました。結果的に無料で行なうことで潜在的なニーズを確認出来るかも、という気持ちもあります。
●サンプル通常版と簡易版
動作環境
通常版:
OSはWindows95SE・98・XPで確認済み、(MacOSXでは動かず)ブラウザはIE5.0以上で確認済み(Opera6.03では全くダメ)。再生用アプリはWindows Media player 7 必須
簡易版:
OSはWindows95・95SE・98・XP、MacOSXで確認済み、ブラウザはIE5.0以上で確認済み(Opera6.03では背景画像が表示されず。marginもダメ。が、音は再生できた!)再生用アプリはWindows Media Player 6.3以上、QuickTime(とりあえず6.0.2では動作確認済み)
音声配信用の操作パネルのサンプルはこちらでご覧ください。
●通常版のサンプルを開く
●簡易版のサンプルを開く
最終段階で若干の修正があるかもしれませんが、大きな変更はないと思います。
通常版と簡易版の違いは一目瞭然ですが、通常版はWindows Media Player 7以上が必要です。簡易版はMacでも動作確認済みです。以下、通常版と簡易版の特徴についてまとめます。
●通常版の特徴
ページに埋め込まれたWindows Media Playerをjavascriptで操作しています。また、Windows Media Playerの状態を取得し、その状態によってjavascriptを動かしています。
Windows Media Playerの操作は下記のようなコード(「再生」ボタン)で行なっています。
(ID1というのはOBJECT(Windows Media Player)のidです)
<IMG name="ID2" src="../../image/audio_player/play_off.gif" width="77" height="77" border="0" alt="再生" onclick="ID1.controls.play()" onMouseover="playbutton('../../image/audio_player/play_on2.gif')" onMouseout="playbutton('../../image/audio_player/play_off.gif')">
onclick=”ID1.controls.play()” ここでWindows Media Playerを再生しています。「終了」ボタンも同様に、onclick=”ID1.controls.stop()” という動作を行なっています。
Microsoft社のWindows Media Player 7 ActiveX コントロールのリファレンスを見ると巻き戻しや早送りなども出来そうですが、isAvailableメソッドを使って調べてみましたが、mp3ではFastForwardメソッドやFastReverseメソッドは使えないようです。
playerの状態の取得ですが、playStateChangeイベントを使っています。
<script for="ID1" event="playStateChange(NewState)" type="text/javascript"> <!-- if(document.ID1.playState==3){ document.ID2.src = '../../image/audio_player/play_ani_1.gif'; } else { document.ID2.src = '../../image/audio_player/play_off.gif'; } // --> </script>
これによってプレイヤーが再生中であれば再生ボタンの画像をアニメーションGIFにしています。
●簡易版の特徴
通常版は<object>タグを使用し、再生用のアプリケーションとしてWindows Media Playerを指定していますが、簡易版では<embed>タグを使い、再生用のアプリケーションは特に指定していません。そのため、MacでQuickTime、という組み合わせであってもしっかり再生が可能になっています。イベントの捕獲なども行なっていません。
●本は本屋で、音はネットで
来週の公開には間に合いませんが、配信開始後、書店さんの店頭でのキャンペーンも計画しています。「「本は本屋で、音はネットで」。ネットからリアル書店への誘導が出来れば最高ですが、そこまでのことが出来るのかどうかはまだわかりません。
音声出版!面白そうです。