2006-02-02
同性愛と社会主義
社会党系列のゲイリブ団体「同性愛と社会主義」代表の男性にオペラ座前のカフェで取材をした。同性婚・同性愛カップルの養子縁組の話など、いろいろ盛り上がった。尾辻かな子・大阪府議がレズビアンであることをカミング・アウトしたという話をしっていたのには驚いた。情報源を聞いたら、私がフランスのゲイ・メディアに発信した文章をもとにつくられたインターネット・ゲイ・サイト「E-llico」記事を見たとのこと。わしが発信した情報がフランスの一部ゲイ・レズビアン・バイ・トランスに届いているようでとても嬉しかった。
取材の中でわたしが「同性婚」という言葉を使うと、「何も我々は同性婚を求めているわけではない。異性の結婚、同性の結婚をべつべつにつくれといっているのではなく、結婚制度を同性にも開けといっているのです」と指摘した。
言葉の違いというのは面白い。「同性婚」でなく、結婚の「同性カップルへの開放」か。
社会党・職員ということもあり、社会党の立場から同性愛について語ってくれて興味深かった。もちろん、取材の内容は小生がただいま執筆中の本『PHOTOエッセイ Gay @ Paris』に掲載する予定だ。
といっても、執筆は滞っている。取材依頼の手紙やら調整やらに時間も気力もとられ、落ち着いて執筆する環境にない。いまはただ、人に話を聞き、それをまとめるという作業に没頭している。
取材の終わりに、おべんちゃらではなく、心の底から「次は社会党の大統領が誕生してほしい」と彼に伝えた。思えば、ナチス系列のヴィッシー政権の元で同性愛が犯罪化され、その政策は社会党のミッテラン大統領が政権につき彼が同性愛の「非犯罪化」を決断する1982年まで続いた。ナチスからフランスを解放した後の、ドゴール・ポンピドゥー・ジスカール=デスタンといった歴代保守政権は同性愛の犯罪化をほったらかしにしたままだったのだ。
同性カップルの権利も保障するPACS制度を90年代末につくったのは、同性婚には反対の立場をとっている(PACSで事足りるというわけだ)社会党のリオネル=ジョスパン首相(当時)だ。保守政党も同性愛に配慮する発言をするようになっているのは、同性愛にたいして「やさしい」政策を実行してきたのは社会党政権だ。2007年大統領選挙に社会党が政権を奪取するならば、同性カップルも結婚できるようになるだろう。そう推測することは社会党にたいする過大評価といわれるだろうか。
日本の政治では、同性愛が議題になることなど、ほとんどない。社民党ぐらいなもんだ、マニフェストで同性愛について触れているのは。同党も欧州型の社民主義政党を目指すならば、トランスジェンダーの猿田玲さんを衆院選05に出馬させたように(これはすばらしい擁立だったと思っている。あっぱれ)、来年の参院比例区にはLGBT(レズビアン、ゲイ、バイ、トランス)の共同候補を擁立したらどうか……と思う。あるいは、統一地方選挙でLGBTの候補を要所要所に出すとか。
社民党も上の方の年寄りは頭が固いからね「同性愛はブルジョワ退廃」とか…。公明党の方が期待できるかも。当選の確率も高いし。
E-llicoの記事はしっかり残ってますよ。
http://v2.e-llico.com/article.htm?articleID=11196&rubrique=actus
ところで今白状しますけど、Wikipediaの尾辻さんのentry(日・英)を立てたのは私です(笑)。
もしよろしければ仏語のエントリーも立ててください。もちろん日・英のより詳細な書き込みも歓迎です。
仏のエントリ、たてたいものです。といっても面倒くさがりなので、なかなか腰が上がらないと思いますけど