2006-02-24
セザール賞を占う
零度をきり、粉雪が少し降るパリ。まったくもって春は遠いように感じてしまう今日この頃【23日(木)】、パリ在住ユダヤ系サークルが主催した講演会にユダヤ人である『赤毛のダニー』ことダニエル=コーンベンディットがメイン・スピーカーとして招かれた。欧州議会議員にして欧州議会会派『欧州緑の党』代表という大物であるにもかかわらず、秘書もつれず一人で現れ、講演が終わるや一人でタクシーにも乗らず帰っていった。わたしはコートを着た彼が町中に一人消えていく姿を見守った。帰る前に、挨拶をしたらかたく握手をしてくれた。うーん、大物なのにまったく偉ぶらないところが実に格好いい。パリ五月革命の英雄、赤毛のダニーの話を聞いたのは10ヶ月ぶりだったが、改めて惚れ直した。
講演で印象に残ったのは、「私はユダヤ人だが、シオニストではない。そして、反シオニストでもない」というセリフと、「次期共和国大統領はセゴレーヌ=ロワイヤル(社会党の女性国民議会議員)になるだろう」と断言してみせたことだ。会場にいた女性から拍手がおきた。わしはロワイヤル議員には取材した経験があり、ツーショット写真も撮っている。彼女が大統領になったら写真を自慢できるな。ニコラ=サルコジUMP党首に対抗できるのは彼女いかいないと確信しているので、私もロワイヤル(それにしても名前がすごい。邦訳したら『高級』って意味だ)大統領の誕生を心から願っている。
それはさておき、2月25日に行われるフランスのアカデミー賞セザール映画祭のノミネート作品のリストを見たのだが、今年は昨年賞を総なめした『L’Esquive』のような意外性のある候補がない。どれが優秀監督賞をとっても驚きはしない。カンヌ映画祭で絶賛された「ある子供」がセザールでも受賞したってネー。主演俳優賞ではぜひ、ミッテランを描いた映画でミッテラン役を演じたミシェル=ブーケに賞をとってもらいたいものだ。わたしは心から推薦する(ところで影響力ゼロなのだが)。
いま、日本のNHK「ラジオ深夜便」では、美空ひばりの歌う「バラ色の人生」がかかっています。
今週土曜日の朝日beで加藤登紀子さんが、私の「ヒーロー」はエディット・ピアフだと言ってたけれど、http://www.be.asahi.com/20060225/W25/20060216TBEH0032A.html
日仏を代表する歌姫対決「ヒバリ対スズメ(ピアフ)」もなかなかよいものです。でも「バラ色の人生」はやっぱりピアフの方がいいかな(笑)。
ところで、政治の話ですが、4月に行われるイタリアの総選挙に、MtFトランスジェンダーVladimir Luxuria氏が立候補します。
ご存知のように、イタリアは次回の総選挙から比例代表(拘束名簿方式)一本になりますので、野党の有力政党である共産主義再建党の名簿上位にリストアップされる見
込みの彼女は、すでに事実上当選確実と言われています。
また、人気が急落しているベルルスコーニ首相に対抗して形成される左派・中道連合が政権を奪回すれば、与党の一員になる可能性もあります。
このニュースについてはまだ日本語の記事がないのですが、HODGEさんが的確にまとめられているのでそちらをご紹介します。
http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20060226/p1
ここにもあるように、イタリアは日本に負けず劣らず(?)保守的な国ですけど、ぜひ彼女にはLGBTの人権尊重に向けてがんばってほしいと思います。