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[第8章●地理情報コミュニケーション]
2… 地図サイトは百花繚乱
[2003.08.17登録][2004.07.24更新]

石田豊
ishida@pot.co.jp

いきなり緯度経度のようなある意味コアな話題に入る前に、もう少し一般的な「地理情報コミュニケーション」について考えたい。

地理情報をどのように掴まえるかという手段は、地図にまさるものはない。電話で「道順」をえんえん説明を受けても、やはり迷ってしまうという経験は誰にもあるだろう。地理情報は口では(コトバでは)なかなか説明しがたいのだ。

そこで、地図。しかし、地図もまた記号であるから(しかも思いっきり人為的な記号であるから)、読解のための教養が必要になる。これはなかなか身に付くものではない。現に私のまわりの人々の中には、地図の読解能力が著しく欠如している人たちが少なからずいる。

読解能力のレベルは、クルマの助手席に座らせてナビ役を頼めばすぐわかる。かれらは例外なく地図をぐるぐる回転させて、進行方向が「上」になるようにして見るのだ。

現在の初等教育に欠けているのは、「国を愛する心を養う」なんかじゃなく、「地図を読む能力」だと思う。その方がよっぽど「タメ」になる。

さて、地図。

地図を自由に使えるという点では、われわれは歴史上かつてないゼイタクを享受している。多くの優れた地図がインターネット上で無料公開されているからだ。

地図には縮尺がある。目的に応じて縮尺を選択する。何も大縮尺の地図がエラいわけではない。歩く際に使う地図と飛行機の窓から見下ろす際に便利な地図は縮尺が異なるのだ。

だから理想を言えば、いろんな縮尺の地図をひととおり取りそろえておく必要がある。

それが今まで困難であった。だって地図は高価でしょ。なかなかいろんな縮尺の地図を(しかもいろんな地域に対して)揃えておくというのは難しい。

もうひとつのバリエーション。地図にはそれぞれ目的がある。我々が生活の中でよく使う(大縮尺のそれ)は市街地図であったり道路地図であったりするのだが、これらは基本的に街の様子を示したり、道路で迷わないことを目的にしているので、等高線などの自然地形のあり方については、けっこう大胆にネグってある。

一方、国土地理院発行の地形図は、基本が自然地形の表現であるから、その地図で「ジョモのガソリンスタンド」なんてのを探しても見つかるはずがない。

であるから、理想を言えば、いろんな目的に合致した地図をも、取りそろえておく必要があるのだが、これも難しい。

どちらの困難に対しても、インターネットで地図が無料提供されているおかげで、ある程度解決されている。まったくもってありがたいことだ。

まずはシゴト・生活上でよく使う市街図・道路地図に関して。

インターネット上の市街図・道路地図については、すでにお使いのことと思う。整理してみよう。

現在日本全国をカバーしている地図サイトは数多いが、有力なところには次のようなものがある。

MapFan web(MapFanの地図データ)
マピオン(アルプス社の地図データ)
ちず丸(昭文社の地図データ)
DoMap(ゼンリンの地図データ)

どれもなかなか素晴らしいサイトなのではあるが、私は後述する理由があるので、もっぱらMapionを使っている。地図の質の点でも知名度の点でもMapionと甲乙つけがたいのがMapFanだろう。

MapFanとMapionの差異は都市部ではほとんどないが、地方へ行くと、場合によってはMapFanの方が詳しい表示になる。たとえば福井県勝山市にある県立恐竜博物館の周辺は、MapFanでは6250分の1の縮尺まで用意されており、行くための道もちゃんとわかるが、Mapionでは21000分の1の縮尺までしかなく、なんか山中にポツンと博物館があるような感じになっている。

そういう意味では上記4つの地図サイトはそれぞれに得意不得意があるので、目的によって、あるいは調べる地域によって使い分ければいいのだが、私としては、メインはどうしてもMapionということになる。

それは緯度経度情報との親和性がより高いからだ。

なお、Yahoo! Map朝日新聞地図検索JRおでかけネット−地図などの地図はマピオンの地図をそのままつかっているので、親和性はMapionと変わらない。

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鈴木雄介さんより
ご意見いただきました

[2004.07.24]

変幻自在の地図はないか

大橋にある日本地図センターに出入りしてたお姉ちゃんと付き合ってたことあります。昭文社の下請けやってる奴と友達です。

デジタル地図の縮尺自在は石田さんのおっしゃるとおり最大のメリットだと思いますが、かねてから思いを寄せているのが時間軸入りの地図。今棲んでいるここは100年前どうだったわけ?、新幹線は関が原のどの辺り走ってるのかね?、、、、チョモランマ山頂が昔は海底だったとか、そこまで遡ってしまうとわかんないことばかりで実感出ないので、せいぜいなにかしら資料が残っている程度の昔から現在まで、距離縮尺と同じように時間縮尺も自在に変化させることができる地図があったら面白いだろなと思うのです。

視点を変えられる地図(真上から見たり斜め上から見たり)はカーナビで実現されてますが、デフォルメ機能付きってのも欲しいです。フォーカスしたいテーマだけを際立てる機能、たとえば吉田初三郎的なパノラマ観光地図を自分の興味対象に絞ってレンダリングしてしまう地図。

____

ご希望の「仕様」からはずいぶん遠いかもしれませんが、江戸・東京重ね地図はいかがでしょうか。

こういう取り組みがいっぱいでてくると、すごくおもしろいのですが。(石田)

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