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[第3章●インターネットはこう使う] 8… RSSふたたび |
[2004.10.21登録] |
石田豊 |
前回『RSSとは、あらっぽくまとめてしまうと、サイトの更新情報だけを書き込んだ特別な形式のファイルである』というふうに書いた。書いている最中も書いてからも、どうも気になってしょうがない。ちょっとニュアンスが違うんだよなあ。 そう思いながらも、別の表現が思いつかない。書いた本人が違和感を感じているということだけでも付記しておこう。 「サイトの更新情報だけを書き込んだ特別な形式のファイル」のことを多くのサイトでは「RSS FEED」、つまりRSSのエサと呼んでいる。こういう言い方からすると、ファイルがRSSなのではなく、読み取り側(のシクミ)がRSSだということになる。この略語の語源は「Rich Site Summary」とも「RDF Site Summary」ともいわれている。RDFのほうは「Resource Description Framework」。だから「RDF Site Summary」はRDFの考え方で行うサイトの要約と考えていいのかな。 RSSの考え方そのものは5年ほど前からある。しかし、日本ではいままであまり一般的にはならなかった。それがなぜかはよくわからない。「国民性」なんだろうかねえ。 それが前回も書いたように、ブログ、というかブログツールの流行によって状況は急速に変わりつつある。ブログツールにはRSSを自動発行するシクミがもれなくついてくるからだ。こうしたツールを使ってブログページを作ると、自動的にRSSも生成されてしまう。 たとえばファックスのことを考えてみる。 世界中でファックスが1台しかなければ、それは何の役にもたたない。送ることもできないし、いつまでまってもどこからも何も送られてこない。それが数台に広がっても、状況はあまり変化しない。数台しかなければそんなに便利なものではないだろう。とうぜん、その場合は特定の組織の内部での使用ということになるはずだ。 ファックスの普及の実際もそうだった。ぼくと同世代ないしそれより上の方はご記憶のことだろうと思う。ファックス(当時はファクシミリと呼んではいたが)の存在自体はその何年も前から知られてはいた。ファクシミリはたとえば貿易会社などの特定の会社にしかなく、いっぱんの会社、特に中小企業には不必要なものだと考えられていた。それが80年頃だったろうか、1年2年で一気に普及した。びっくりするほどの速度だった。一種の臨界点のようなものが存在していたのだろう。その臨界点をこえたとたんに、あらゆる企業にとって「うちには関係ないもの」から「どうしても必要なもの・企業として備えていないと恥ずかしいもの」に一夜にして変わってしまったのだ。 RSSも同様のことが言えるかもしれない。このサイトもそうなんだけど、はっきり言って、ブログのRSSなんて、そう便利なものでも、ましてや「世の中を変える」ものでもない(ブログで「世の中を変える」可能性があるのはRSSよりトラックバックだろう)。しかし、ブログが生み出しつつある「RSSの数の増加」が一種の臨界点のような作用をする可能性がでてきたように思う。そこから企業や官公庁、あるいは大きな組織のサイトもなだれをうったようにRSSを装備しはじめる可能性がでてくるかもしれない。 そう思わせる「事件」が今年の3月にあった。朝日新聞が自社の記事のRSSを公開したのだ(asahi.com : アサヒ・コムから : RSS/RDFを公開)。いままでも朝日(だけではなく大手新聞すべて)の記事のRSSは存在していたが、それは第3者がいわば勝手に作っていたものだった。そしてそういう動きに対して、日本の新聞社は非常に冷淡であった。それがいきなり最大手のひとつである朝日が、ととても驚いた。 今のところ、他の新聞社に追随する動きは出ていないが、これからの変化を予感させるような出来事だった。とんちんかんかもしれないが、Googleニュース日本語版が最近登場したのとも関連して考えてみたいとも思う。 ちなみに欧米の新聞社サイトはどこでも当たり前のようにRSSファイルを自社生成している。 朝日のをはじめ、日本のRSSファイルは、そうした欧米のものと、決定的に違っている部分がある。日本の多くのRSSにはdescriptionタグに何も書かれていないのである(ブログ出自のものは違う。それはツールそのものが多くは舶来であるということに関連しているだろう)。欧米のものは、descriptionというタグに、その記事の要約を掲載している。要約のしかたはいろいろだが、多くの場合は記事の冒頭部分の数パラグラフをそのまま掲載するというやり方。 ご存知のように、欧米の新聞記事は、最初の数パラグラフで記事全体を要約する書き方が標準だから、この部分を掲載してしまうと、記事の全体像が正確に見える。 欧米のRSSをRSSリーダーでみると、見出しだけではなくdescriptionがあるので記事のおおよそも見当がつく。その部分をチェックして、もっと読みたいなら元のサイト(つまり新聞社のサイト)にジャンプして読み続ければよい。記事の内容は見出しだけではわからない。descriptionがあるかないかの違いは大きい。 descriptionを意識的に排除しているのは、RSSリーダーの出力だけで満足されてしまい、サイトへの訪問が少なくなることを避けるためだろうと推察できる。しかし、その方針は果たして有効だろうか。だったら朝日新聞と同じような「宿命」の下で運営されているはずのニューヨークタイムズ(RSSはhttp://www.nytimes.com/services/xml/rss/index.htmlから)とかワシントンポスト(RSSはhttp://www.washingtonpost.com/wp-adv/rss/front.htmから)や朝鮮日報(RSSはhttp://www.chosun.com/rss/から)は、なんでdescriptionを付けているのだろう。アホだからだろうか。 |
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