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[第3章●インターネットはこう使う] 6… CIAを下請けに使う |
[2004.04.01登録] |
石田豊 |
社会や世界のあれこれを考える時に、とっても便利で強力なサイトがあります。CIA(世界に名だたるあのCIA、アメリカの中央情報局)のWorld Fact Bookです。いわば世界の国別年鑑といったところ。 ここでは世界各国の各種統計数字を非常にたやすく一覧することができます。一昨年までは、国別にページがまとめられていただけだったのですが、最近は国別ページから、その項目を世界横断的にまとめて見る機能が追加され、ますます使いやすくなりました。 先日、テレビで浜田幸一氏が「たった4兆円の軍事費でこの国が守れるのか」と咆吼されておりました。これは氏のモチネタで、これまでも何度か聞いたことがあります。そのたびにテレビのこっち側で「それ以上の国はどんだけあるんじゃ」とツッコミを入れていたのですが、残念ながら、討論番組であっても、同様の批判をしてくれる出演者はいません(怖い社会になっちまったもんだ)。 で、こういう際に即座にブックマークからこのサイトに直行するわけです。 トップページの「Select a country」というプルダウンメニューで「Japan」を選びます。国旗、地図がトップに表示され、その下に国土の面積からはじまって、多種多様な項目の数字や記述がリストされています。 ずずず、とスクロールすると、Militaryというセクションに「Military expenditures -dollar figure:」という行があります。軍事費ね。 そこを見ると$39.52 billion (FY02)とあります。2002会計年度395.2億ドル。ま、これがハマコー氏のいう4兆円ってやつですね。で、この数字の上に3つのアイコンが並んでいます。左の「本」のアイコンではその項目の意味、つまりこの場合は軍事費ってのはナニで、どのように算出しているかということが書いてあるページに飛びます。右の「グラフ」アイコンをクリックすると、この項目、つまり軍事費の世界ランキングが表になって表示されます。それによると
ってことになります。このランキングには最低のアイスランド(なんと軍事費0)まで170の国が載っていますが、「たった4兆」で国が守れないなら、170カ国の中で167カ国が守れないことになっちゃう。面積だとか、人口なんかを考え合わせて、どのように見直しても、日本の軍事費が「少なすぎる」という結論は出しにくいと思うのですよね。唯一言えるのは対GNPあたりの軍事費(別項目あり)くらいで、そこの「グラフ」アイコンをクリックすると日本(対GNP1.00%)が世界166カ国中141位であることがわかります。これは世界平均の2%より低い。しかし、これを世界標準に、なんてやっちゃうと世界第2位の軍事大国になり、中国をも大きく凌駕することになる。それはどう考えてもバランスが悪いっしょ。ハマコーさんはナニが言いたいのか、と。 こういうことがテレビを見ながら即座にわかる。 ただ、気になるのはこのランキングにロシアが載っていないこと。そこで真ん中の「表」アイコンをクリック。ここで表示されるのはアルファベット順の国別一覧です。そこでRussiaを探すと$NAとなっています。つまりnot available、未定とか未集計とかと理解するんじゃないかな。ここをフランス程度とみなしても(どうもそうらしい)、上記の考えの筋道はかわることがありません。 ハマコー氏にツッコムためにこのランキングを見たのですが、見てみると、それ以外の要素にも気が付いちゃう。たとえば、8、9、10位ってのは、意外じゃありませんでした? わたしは意外に感じました。おおっ。こうくるか、と。 サウジってすごいやん。ここからでもシャロンの行動はムチャムチャ危ないやんか、ということがわかります。ちなみにイスラエルは14位(約90億ドル)。対サウジならダブルスコアです。こういう目的外の「気づき」ももたらしてくれる。 もちろんここでわかるのは軍事費だけではありません。森羅万象とは言いませんが、社会を構成する基本的な要素の数字は、かなり網羅されています。 たとえばインターネット人口。これの「グラフ」アイコンでランキングを見ると、
ってことがわかります。アメリカの人口は日本のざっくり倍、イギリスは半分、韓国は4割ほどということを考えるなら、世界2位やんか、多いなあ、とは単純に言えないことも見て取れます。この分でいくとまだまだ伸びるだろうな、とも。 ただ、この数字は若干古く、実はすでに2002年に日本は中国に抜かれてしまってます。たとえばWebSideStoryの03-07-31のニュースリリース。 こういうふうに、細かくツッコムといろいろと議論が生じる数字ではあろうかと思うのですが、全体をザクっと大づかみにするには、ここほど素早く結果が得られるところは他にありません。 新聞等々で書かれる数字は、たとえば先進国だけに限定した比較であったり、ひどい場合は主張に適合するような比較相手の数字だけが載っていたりするので、こういう世界横断的な数字を見ておくのは、とっても大事だと思うのです。 先に書いたように、このCIA World Fact Bookは前に比べると、非常に「使える」ものになりました。前は横断的な捕まえ方をしようとすると、全部のデータをダウンロードして、加工しなければなりませんでした。いまは「グラフ」ボタン一発。さすがです。 ただ、それにともなって掲載項目が若干減った(たとえば医療費とかテレビ受像器の普及率など)のが残念といえば残念かな。 |
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