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[第3章●インターネットはこう使う] 4… 耐久消費財の普及率調査 |
[2003.10.30登録] |
石田豊 |
統計局に限らず、お役所のサイトは利用価値が大きい。 なんてことを言うと、かならず「アメリカなどに比べると、日本の官公庁のサイトってサイテーでしょ」と反論してくる人がいる。これに答えるには注意が必要だ。この反論の「論拠」はいろいろだからである。 ひとつめは、何となくムードでそう言っている人。ともかく日本のお役所のやっていることにはなんでもサイテーって言いたがる人が多いのだ。ま、アタマ悪いだけですけどね。 立花隆さんがもう5,6年も前にそういうことを言ったらしくて、それを未だに真に受けている人もいる。時代は刻々と移り変わっているのに。 こういう人には、ま、見てみてください、というしかない。 現状をアメリカの連邦政府とかのサイトと比較して、批判する人もある。たしかにアメリカの政府系サイトはしっかりしたところが多い。しかし、上みりゃきりないわけで、だいたいからして、ぼくらはアメリカ人じゃないんだから、詳しいアメリカの資料より、乏しくても身近なデータのほうがありがたい。 もっとも「反論」として答えにくいのが「2000年頃と比べると、レベル下がったと思わない?」っての。 これは、ほんと、その通り。ちゃんと記録していたわけでないので、今となっては具体的な証拠を出しづらいのだが、99年から2000年くらいの中央官庁サイトにくらべると、今はかなり「後退」した感じがある。記録しとけばよかった、と今となっては反省しているのだが。 さっこんの官公庁サイトは垢抜けしたというか、見やすい作りになっていて、時としてハデな動画なんかもフィーチャーしている。 つまり、ガキっぽくなってしまっている。 見た目の「進化」とはうらはらに、今はなぜか情報が探しにくい。ダイコンの作付け面積なんてのを知りたい場合、検索(後述)をかけると、農水省のサイトでバシバシ詳細な数字が発見できたのだが、今は、そうしたナマの数字が影をひそめ、審議会の議事録なんかが多量にひっかかってしまう。 瞬間的な「情報提供」というところはしっかりしてきたのかもしれないが、「アーカイブ」という意識はまるっきりなくなったように思う。 毎日のように情報発信していると、その情報は必然的にたまっていく。発信そのものより、この蓄積ということの方が、ホントはデカい効果を発揮する。2000年頃の官公庁サイトは(整備がいきとどいていなかったのが理由かもしれないが)、この「蓄積」がよかった。白書だって、過去数年の全文が読めたし、過去の調査データもいっぱい残っていた。今は最新版だけがのこされ、過去データはきれいになくなっている場合が多いように思う。 ま、そういう側面はあるのだけど、それでもやはり、官公庁のサイトは役立つことには変わりはない。 統計局のサイトと同じような感じでよく使うのが経済社会総合研究所(旧 経済企画庁)の「消費動向調査」だ。年に2回、全世帯の耐久消費財の普及率を公表している。扱っている品目はじゅうたんから乗用車までの40品目で、ものによっては昭和32年からの普及率の推移をもたどることができるので、過去の一時点の時代イメージを掴むことにも利用できる。 最新の調査によれば、パソコンの普及率は63.3%(平成15年3月)、石油ストーブは56.7%、温水洗浄式便座が51.7%である。 ここの統計はけっこう頻繁に見ている。過去のある時点に関する記事(たとえば1984年のなにか)を書かねばならない時に使う(どんな感じの時代だったっけ、って感じ)だけではなく、実用系の記事を各場合は、ともあれ参照しておく。 たとえば、この統計によると、ゴルフセットの普及率は40%である。しかるに、私の友人知人関係では、圧倒的多数(おそらく8割以上)がそんなもん、持っていない。によって、私はじゃっかん世間からずれているということを認識するわけで、その認識の上にたって記事を書くわけだ。 パソコンのことを書く場合(これがもっとも多いシゴトなんだけど)も、2001年3月に50%を超えてからとそれ以前は書き方が、やはり変わった。ファックスはいまだに42%程度であるから、前提としては「ないもの」として書いている。「もしお持ちならファックスを使うのもいいでしょう」って具合。しかし電子レンジの場合は95.8%の普及率(それはエアコンの88.8%より多い)だから「電子レンジで加熱します」という具合に無留保で書いてもOKだな、と思うわけ。 自分と自分のまわりを「世間」だと思って書いたり考えたりすることは非常にキケンだ。別に「みんな」におもねって考える必要はさらさらないが、「みんな」をざっくり認識しておく必要はあると思う。 私だけかもしれないが、耐久消費財の普及ってのは、今という時代の「みんな」の「感じ」を掴むのには、恰好のデータだと思うのだ。 でもって、ここも「なければ困る」サイトなのである。 |
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