2005-06-03
新参者的レインボー
●本日のお仕事
○レインボーブックフェアの会議に出席させていただく
さまざまな性のあり方をテーマにしたブックフェアである、レインボーブックフェアをこの夏にも開催しよう!!ということで先陣を切って企画メンバーで会議が開かれた。場所は、毎度おなじみポット出版が誇るあのかわいい会議室である。今年は東京でも国際レズビアン&ゲイ映画祭、東京レインボー祭り、東京レズビアン&ゲイパレード2005(これは、なんと三年ぶり!!!)、など沢山の関連したイベントが行われる。まさにセクシュアリティにスポットのあたる年だというわけで、出版界も黙っているわけにはいかないっ!!!とメンバーは燃えに燃えているのである。僕も昨年のブックフェアの本のリストを見せていただいたのだが、読んでみたい本ばかりが集結していて驚いてしまった。
今年は版元(参加する出版社)をもっと広くし、扱う本の種類もますます広くしていく方向で、会議は進んでいった。僕は(出版界の新参者で)企画の皆さんよりも読者に近い身(と勝手に思い込んでいるのであるが、とにかくそういう身)として、今回のブックフェアはかなり面白くなるような気がした。本屋さんに行った時、普段書店であまり一度に見ることのないレズビアン・ゲイ関係の本や様々な性についての本などがずらーっと平積みされていたらすごく楽しいと思う。今回の会議では、昨年度のアンケートなどを元にプロモーション方法についても具体的に話し、とても営業色の強い会議だった。今回この会議に出てみて、自分が編集そのものよりもこういったPR的なことの方が好きだということがよくわかった。思えばポットで過ごしたこの一ヶ月弱の間でも、本のポップを作ったり、街頭に立って本の宣伝をしていた時、きらきらしていた自分がいた。僕は今営業やPRなどのスキルが何もない。これから大学でPR専攻として学んでいく上で、できるだけそういうスキルをつ身にけていけたらいい、と感じた。
PRは、世の中の素敵なことを皆に広めていく仕事だ、と思っている。退屈を愉快なものに変えること。それは、なんと楽しいことだろう。技術もアイディアもほとんど出尽くし、世の中はどんどん「編集」になっている、と松田哲夫氏は著書の中で説明している。どの銘柄のビールでも同じ。どれだけ美味しいイメージを持たせるか。そこに労力をつぎ込まないと物が売れない時代。そう、この世界はもはやフェイクだ。物事は全て、語られたり書かれたりした瞬間に公平でなくなり事実でなくなる。切り取られ、加工され、「編集」された、フェイクな情報に溢れた世界。でも、そんな時代だからこそ自分次第でどんな美しい世界でもつくることができる。どんな夢でも描くことができる。PRの企業の面接で、PRに進もう思ったきっかけを聞かれたとしたら、僕はきっとこう答えるのだと思う。「世の中のフェイクに気づいたからです」 どうせフェイクなら楽しいほうがいい。だから、僕は理想的で嘘っぱちの「まるでリアルそのもの」のフェイクを作りたいのだ、と。
ポットに来てもう一つわかったことは、僕はまだまだ他人と差別化をはかることができるということだ。周りがこれだけ個性的でマイノリティー路線の書籍なども沢山扱っているとなれば、僕の「面白い」経歴など何の価値もなくなってしまう。日本人だから、若いから、ゲイだから、海外大生だから、そんな僕に付随する情報では全くちやほやされない。そして、それが社会なのだと思う。今ここで即戦力となるかが問題となる場所。素敵な無関心に放り込まれて、もっともっと大切な自分らしさを考えなければいけない、と感じている。もっともっと考えて、色々なことを吸収していきたい。自分の選んだ場所で何かを変える力を持っていきたい。自分から動いていける人。恥を捨てても、無知をさらけだしても、大人になっていきたい、と感じた。そう、僕は自分の同世代の友人たちよりずっと強い人たちをここで見たのだ。