2006-05-28
ハイティンクの素晴らしさ!
昨日、美術ジャーナリストのSさんと、フィルハーモニーに行って来ました。久しぶりに会うSさんはとてもお元気そうでした。ちゃんと毎日少食を実践していて、玄米と野菜を中心に、お肉を食べずに過ごしているそうです。会員制のフィットネスクラブにも通い、運動も怠らないとのこと。Sさんは私の「年上の友達」であり、尊敬する人生の大先輩。お元気そうなSさんと再会して、私もだらだらしていてはいけない、と反省。少食は守っていますが、時々疲れると甘い物がどうしても欲しくなってしまい、脱線することもある私でしたが、きっぱりやめようと思いました。
さて、Sさんとフィルハーモニーの会場で待ち合わせをしていたのですが、あいにくの雨で私の方がぎりぎりに到着。雨の中急いで歩いていたら、なんと途中で突然補聴器が再びオフになってしまい、聞こえなくなってしまったのです! 耳栓も新しく作ってとりかえて、万全だったはずなのに・・・ショックが隠せない私・・・。でも、こういうこともあるかも、と若干予測していたので、バッグの中には昔の補聴器と、前に使っていた耳栓を入れておきました。なので、会場に入ってからすぐに耳栓を取り替えてみました。ピーピー音が出ない耳栓の方を試したのですが、やはりそれでもすぐにオフになってしまいます。え〜!どうして!!! Sさんは心配そうに気遣ってくれましたが、事態は全く変わらず・・・。アセる私!!
公演はもうすぐに始まってしまいます! とりあえず席について、さらに昔の耳栓をつけてみると・・・それだと大丈夫! 何故・・・。でもこの耳栓は、どうしても耳の穴と耳栓の間に隙間ができてしまい、時に激しくピーピー音が鳴るのです・・・嗚呼! 演奏途中でハウリングを起こす可能性が高く、コンサート会場で使用するのはとってもリスキー。天下のベルリンフィルが、ハイティンクの指揮で演奏するというのに、私がピーピーひどい音を鳴らしていたのではシャレになりません・・・。でも、それ以外どうすることもできず、とにかく1曲目は様子をみることに・・・。ハンカチで耳を押さえて、極力ハウリングを起こさないように工夫したものの、大音響が会場内で鳴り響くと、はっきりわかる「ピー・・」という音!!
体中冷や汗が流れ、ハンカチが濡れてしまうほど!! ドキドキしてしまって、音楽どころではなく、オーケストラが音を出している時は、まだ他の観客にピーがわからないから良いのですが、途中で音が小さくなったり止まったりする際に、ピーが鳴らないようにするのに、一体どれだけの神経を注いだことか!!!! いやはや、これほど大汗をかいたことは久しくありません。 ハイティンクの演奏を聞くのは初めてで、とても楽しみにしていたのに、これでは全く楽しむどころではなく、心臓にもよくない状態・・・。今思うと、雨で外が湿気があり、デジタルの補聴器は繊細なので、耳栓の部分に再び若干の水滴ができ、それに反応してオフになってしまったものと思われます・・・。デジタル・・・良し悪しですね・・・。うう! 水滴を飛ばすグッズも持ってくればよかった! そうすればすぐに解決したのに・・・。悔やまれます!
1曲目のFelix Mendelssohn Bartholdy “Ruy Blas”が終りました・・・。ほっとしたのもつかの間、拍手の時に激しくピーピー鳴り出す耳・・・。Sさんが気づいて、「鳴っているね、困ったね・・。」と心配そう・・・。私は汗だくになって、どうしたらいいのか一生懸命に考えていたのですが、なす術なし・・・。続いての演奏は、Wolfgang Amadeus Mozart “Hornkonzert Nr.4 Es-Dur KV 495″。ソリストのStefan Dohr(ホルン)が登場し、拍手・・・私の耳はピーピー。ついに隣のお客さんがその音に気づき、怪訝な顔をし始めました・・・まずい!! 音楽が始まると、ますますピーが激しくなってきて、もう私は音楽を聞くという状況ではなくなってしまいました。滝のように流れる汗・・・。どうすることもできません。仕方がないので、スイッチをオフにしてしまいました・・・・。つまり、ベルリンフィルをハイティンク指揮で聞いているというのに、無音状態で座っているだけになってしまったのです・・・・・。
が〜〜ん・・・・。空しく時間が過ぎていき、演奏が終って拍手になり、休憩となったのでロビーに出てからSさんに説明しました。なんとしても、この休憩時間に補聴器のことをクリアしなければなりません。
Sさんがものすごく私を気遣ってくれました。「大丈夫よ、ゆっくり落ち着いてね。」背中をさすってくれるSさん。優しい〜〜!涙。・・・でも、いくら耳栓を換えても、デジタルの補聴器は悲しいことにスイッチがブチブチと切れてしまうだけ・・・。「Sさん、場合によっては、もう帰宅しないと駄目かも・・・。ごめんなさい、こんなことになってしまって・・・。」と半ば私は諦めモード。Bernard Haitinkの演奏は、こんな耳の状態でも、何か心に訴えかけてくるものがあり、上品で極上の音だったので、もっとしっかりと聞いてみたいと思ったのですが、これではどうすることもできません・・・。「前半は2曲で45分程度で短かったのだし、後半のブルックナーのシンフォニーが長いからね、これがメインでしょ。だから今からでも遅くないから、なんとか耳が聞こえるようになるといいね。」とSさんが隣で励ましてくれました。
結局、昔の補聴器に、2つ目の耳栓をつけて、なんとかなりました。デジタルの補聴器を使用することはもう諦めて、若干音が小さくなってしまうものの、ハウリングは起こらなくなったのでほっとして、後半のブルックナー(なんと聞いたことのない6番!)を堪能しました!! あ〜〜なんとかなって本当によかったです〜〜〜!! 涙、涙、大涙!!!!
ハイティンクの素晴らしさにやっと触れることができた後半。いやはや、心に残る演奏!本当にジェントルで、温かく優しく心に訴えかけてくる音。柔らかい中に強さがあり、高い芸術性を感じさせてくれます。あまりに素適だったので、ぼ〜っとなってしまいました。1時間近い演奏の後、嵐のような拍手やブラボーが起きました。本当に素晴らしかった! 私も耳の困難(!)を乗り越えて聞くことができて、ものすごく幸せを感じて、最高の気分になって、感動も倍になったのでした。よく見ていると、あまりみかけない光景が・・・ベルリンフィルのメンバー達もハイティンクに拍手を送っていました。「そうなのよ、ハイティンクはベルリンフィルのお気に入りらしいわよ。」とSさん。ヘタすると、常任指揮者のサイモン・ラトルとより、ベルリン・フィルは実力発揮という感じもしないでもなく・・・。
とにかく、素晴らしい演奏を聞くことができて、ほっとして、嬉しくて、神様に感謝したのでした! 何だか1〜2キロは体重が減ったような・・・汗。緊張しましたけれども、後半だけでも集中して気持ちよく音楽鑑賞できたのは、本当に幸せでした。Sさんとゆっくりおしゃべりしながら帰宅しました。
日曜日もフィルハーモニーへ行きます。今度はS子さんと! 夜ではなく、日中に行なわれる室内楽です。今度は万全で行きます!!! デジタル補聴器さん、なんとか作動してください、という気分です・・・。