2006-01-13

ノルデナウの奇跡の水

1月8日、その1です。

午前11時にヴッパータールの駅までナイヨンが送ってくれました。すぐに電車に乗り込み、ドルトムントへ。そこで乗り換えて、ヴィンターベルクまで行きました。そこからノルデナウまでは、バスかタクシーしかないので、バスを待っていると時間がかかりすぎる上、外はとても寒いので、タクシーに乗りました。15分くらいで到着。タクシーの運転手さんはとても親切で、ノルデナウの水が有名なこと、毎日何百人もの人が訪れることを、鼻高々に話してくれました。「それで、ご自身はその水を飲んだことがありますか?」と聞いたら、「え! いや、まだその機会がなくてね。実際僕はすこぶる元気で健康だし、その水を飲む必要もないんですよ。あはは!」とのこと。「それにね、水は洞窟内で無料で飲めるけれども、入場料がかかるんですよ。つまり、水が欲しかったら、入場料を払わないとならない。だからねぇ、健康だし、何もそこまでしてって、いつも思ってしまうんだよね。」そうですか、入場料がかかるんですね・・・。つまり、水が沸いている洞窟に入るのにお金がかかるってことですね・・。どんな所なのでしょう? 本当にワクワクしてきました。

ノルデナウへ向かう間、その冬景色の、まぁなんときれいなこと! 白銀の世界。木々も真っ白、白い妖精でも出てきそうな、それはそれはこのうえなく美しい風景なのでした。途中には有名なスキー場もあり、みんな楽しそうに滑っていました。そしてホテル・トメスに到着! わ〜!! 時計を見たら、午後2時45分。フロントで部屋のキーをもらい、洞窟のことを聞きました。「このホテルを出たらすぐ右にある建物が待合室で、そこから洞窟に行かれるようになっています。30分おきに入場できるので、今からでしたら3時に入れますよ。」とのこと。おお! 私は部屋に荷物を置いて(といっても、別にたいした荷物はなく、空のペットボトルを沢山持っていただけなのですが・・・)、2リットルボトル3本と、0,5リットルボトル5本をナイロンバッグに入れて、早速洞窟に向かいました。

ホテルに宿泊しているゲストは、入場が無料なのだそうです。ですので私はチケットを買わないで済みました。待合室に入ると、およそ40人くらいの人が空のビンを持って待機していました。おお!随分沢山の人がいるんですね。だって、30分に一度、洞窟に入れるわけですから、その都度この人数なのだったら、相当の人数になります。・・・しばらくして、待合室の奥のドアが開きました。洞窟への案内人であるおじさんが、チケットのチェックをしながら、どんどん人を洞窟の中に入れていきました。洞窟の入り口付近には、たくさんの座布団が置いてあり、それを勝手に持って中に入っていくようでした。私は最初だし、わけがわからないので、とりあえずは座布団なしで入りました。

ひんやりとした空間、薄暗い洞窟は、全く恐ろしい感じではなく、何か清らかな空気が漂っていました。ちょっとしょうがみたいな匂いがしたのですが、気のせいでしょうか? 前の人について中に入っていくと、さほど大きくない洞窟にたどり着きました。手前と奥にベンチがあり、その間にテーブルがあって、隣に水が沸いている泉のようなものがありました。フタがついていますが、それを開けておじさんは声を発しました。「皆さん、洞窟の中では、私が皆さんのボトルに水を入れている間、およそ20分くらいですが、どうか何も話さず、お静かに願います。皆さんの願いが叶うように、どうぞ瞑想をしていてください。」初めて洞窟に入った人は、順番におじさんが汲んでくださった水で手を洗って清めることができるようで、私も清めさせていただきました。

ベンチに座って、壁に向かって瞑想する人。立ったまま目を閉じて瞑想をする人。私は立っていたので、「あ、大変、こんな気持ちが散漫ではいけない! みんなを観察する暇があったら、私も瞑想しなければ!」と焦り、目を閉じて静かな気持ちになるように努力しました。水の音しかしない世界・・・。神聖な雰囲気がして、厳かな儀式のように、おじさんは黙々と水を汲んで、テーブルにある私達全員のボトルに水を入れてくださいました。

20分の瞑想終了! 静かに来た道を戻り、出口に向かう人々。私はペットボトルのふたを閉めていたのですが、うまくできずに最後になってしまいました。「ゆっくりでいいんですよ。気にせずにやりなさい。」とおじさんが優しく声をかけてくださいました。「ありがとうございます。あのぉ、可能なら、洞窟内の写真を撮りたいのですが、よろしいでしょうか?」と恐る恐る聞いてみましたら、「もちろんどうぞ!いいですよ。」とのこと。あまりに暗かったので、うまく撮れませんでしたけれども、一応撮影をして、お礼を言って洞窟から出ました。

外の空気もなかなか良いのですけれども、洞窟の中は特別な感じがしました。

続く