2003-08-05

4人の患者さん退院と、松下さんの言葉

甲田先生の本日のお言葉:「今日が最後の断食ですな。とても良いお腹になっています。これなら来春の本断食10日間は大丈夫!」でも、実は私の今日の体調は今ひとつだったのです。
昨日から夏を感じさせる暑さがやって来て、運動にも力が入らず、少々だるさもあります。「それはね、夏のせいではなく、まだ身体が長い断食に耐えられないってことを意味しているのです。だから今回は3日間の断食を3回くり返すので丁度良かったのです。でも、生菜食をずっと続けていけば、もう来年は非常に良い身体になっていますから、本断食を10日しても耐えられるというわけです。言った通りでしょう? でも、今日までの断食は大丈夫ですね?」
もちろんです! というわけで、今回は3日以上の断食を継続してするのは、今の私の身体では無理だということがわかりました。
でも、だるいだけで、あとはとっても気持が良いのです。今日で最後の断食。そしてこういう方法であるならば、ベルリンに戻っても時々すまし汁断食ができそうな気がしています。

今日は患者さん4人が退院の日。3週間一緒に断食+少食をして過ごした仲間が外界に戻る日です。それぞれ素晴らしい成績を残しました。
*Tさん:これといって病気ではないけれども、体質改善とダイエット、それにできれば首まわりのぶよぶよをとりたいっておっしゃっていたのです。66歳のお誕生日を入院中に迎え、とってもハッピーなおばちゃま。何か、患者というより穏やかな空気を漂わせた、私達の大切な家族のような方でした。結局宿便も見事に排泄され、運動と食事療法でお顔もすっきり! たるんでいた頬や首回りは本当に信じられない程きれいになりました! 10 歳は若返ったようです。体重も5キロくらい減って、驚くほど肌につやがあり、正直これほどまでに変身するとは私も思わなかったです。お顔の様子も明るく、肌は白くてすべすべ! 何か、整形手術をしたのではないかしら、というほどの変化がありました。
「私の友達もお見舞いに来て、あまりの若返り様にびっくりしはってね、いいわぁって言ってたわ。」そうでしょう、そうでしょう。
何か、これから老いてゆく私達の励みになります。年をとるのが楽しみにさえなります。
最後のお食事の時に聞かせてくださった「桜貝の詩」。とってもきれいなお声で、素敵でした! ありがとうございました!

*Kさん:カナダから参加のKさんについては、昨日すでに書きましたので、あまり書くことはありませんが、とにかく彼女の北米での活躍同様、素晴らしい成績(?)を残して退院されます。
これから1年間充電期間として日本に残るそうで、しっかりと甲田療法を極めたい、とおっしゃっていました。まずは半年の食餌療法で骨粗しょう症を治し、それからどんどん他の小さな疾患を治したいそうです。Kさんなら問題なくできるって思います。耳の聞こえも、私ほどではないにしても、少しあるそうなので、それは甲田先生は2年間のしっかりした生菜食をすれば治るとおっしゃったそうです。
Kさんの生菜食はA。これは、青汁中心のメニューで、少し昼と夕方に玄米の粉か粒を食べるというもの。青汁や根のどろ状のものをかなり摂取するという食餌療法です。「退院したらすぐに始めるわ。」とのこと。ぜひ頑張ってくださいね。これからハワイにでもお出かけになるような上下の赤い花柄地のシャツ+短パンの出で立ちで、Kさんは息子さんのいらっしゃる東京に飛んで行きました。

*M野さん:ナイスバディの美しいお嬢さんは、アトピーでも比較的軽症で、私から見ればどこにも発疹がないように見えます。けれども痒くなることがあるそうで、やはり潜在的アトピーというか、症状はあるのですね。それをひどくならないうちに治す、という考えは正しいと思います。彼女の場合、玄米がもともと大好きなので、あまり問題はなさそう。最後の断食は胃腸があまり機能せず、断念したものの、その後の食餌療法がとても効果があって、宿便も好調に排泄されているようです。「私の場合は、玄米でも沢山食べ過ぎないようにすることです。それさえできれば、たぶん早く治るって思います。」
やはり彼女も入院して4キロ以上痩せて、ナイスバディに磨きがかかりました。肌もすごくきれいだし、彼女の未来もきらきら輝くことでしょう。お疲れさまでした!

*Mさん:肝臓の疾患ですが、すでに1年半くらい甲田療法をしていらっしゃいます。前回の入院での3日断食のくり返しはかなり厳しいもので、彼女は最後は絶えられずギブアップしたのだそうです。「でも今回は途中きついと思ったけれども、後は良い感じにすることができました。」合計9日間の断食をして、日数的には最高をマーク。
(注:私は数日長くいるので、計9日間を予定しています)随分調子も良くなっていらっしゃるようです。私たちが見ても、顔の色はものすごく良くなっています。ただ肝臓の場合、すぐに治癒というのは難しいのだそうで、これから数年〜5年くらいをかけて、食餌療法をしっかりと続けていけば、必ず良くなるということでした。
一歳半になる息子さんのS君によろしく!!

みなさんが退院されて、午後には入院患者は私のみ。でも宿直のA子さんも患者ではあるので、助け合って過ごしました。
明日から入院される5人の患者さんは、どんな方たちでしょうか?
彼らの分の夕飯は、私が作ります。つまり玄米を圧力鍋で炊くのです。今日から水につけておくので、美味しい玄米が出来上がるのです。でも全員その玄米をお粥にして食べるのですけれどもね・・・。

ああ、今日は少々空腹感があります。しかもだるくて、そして右目がかなり充血している! びっくり! 明日、先生に診察していただいて、お話を伺おうと思います。ちょっと仕事をしたのが良くなかったのでしょうか・・・・。(原稿を1本仕上げようと思って・・・。でも、まだ終わっていません。)

さて、今日はもうひとつ。事務局長の松下さんにお話を伺いました。
明日の甲田療法を担う若き事務局長さん? 写真も公開いたします。
2〜30分くらいお時間をいただいてお話を伺おうと思ったのですけれども、1時間もお話をしてくださいました。とても熱っぽく語ってくださった内容は、かなり私にとっては衝撃的で、まるで今日の大阪のお天気みたいに、雷がゴロゴロっと鳴って頭上に落ちるような感じ。
患者にとっては、耳が痛いというか、厳しい発言の連続でした。
それはもちろん、松下さんが私達患者を叱咤激励しているからだとも思うし、また何年もの間、甲田医院にやって来る患者さんをずっと見続けてきているからことその鋭い観察の結果なのかもしれません。
「僕は、縁があって甲田医院で仕事をしていますが、甲田療法をきわめてそこにしがみつこうという気持はありません。僕自身、昔に身体の具合を悪くして、それが現代医院に行っても原因がわからず、甲田先生の本を読んで鈍重肝臓だと気がついたんです。で、これは本物や! と思って甲田医院に電話をしたけれども、予約がいっぱいで3ヶ月待ちだと言う。そこで他のいわゆる断食道場へ行ったんですが、甲田先生のように、本当のドクターというのは道場にはいない。
で、いきなり本断食を10日間ほどしたのです。これは僕にはかなりきつかった。でも、体力がもともとあったのでしょう。一応身体の調子が徐々に良くなり、自分なりに少食を始め、快調だったのですけれども、また食事が乱れ出したら体調が悪くなった。そんなことをくり返していって、こりゃいかん、と丸坊主になって気持を引き締めて、甲田先生のところに行ったのです。そうやって出会って、いろいろご縁があって8年ほど病院とお付き合いをさせていただいています。」
甲田先生について伺いましたら、「患者さんはみんな、先生のことをもちろん頼っていらっしゃるし、好きだしカリスマ的存在でもあったりするし、まぁアイドルのように見ることもあるんですね。でも、先生は神様ではありません。やはり僕達と同じ人間なんです。僕も一時は先生をグルのように崇めていた時期がありました。でも、それでは何も見えないし、始まらないのです。先生の最終的なお考えは何かと言ったら、世界平和なわけです。でも、患者さんは自分のためにやって来る。自分の病気を治すためであり、それさえできれば良いのですよね。つまり、少食をすれば世界の貧しい人々が救われるとか、そういう考えてではなくて、病気が治るからと。だから、少食を「我慢して」行うことになる。それでは本当はダメなんです。そうではなくて、喜んで少食をすることで、世界が平和になる、という高い志であることが、本来の甲田療法の意味なのです。そこを間違えたらいけません。」
なるほど、確かに松下さんのおっしゃる通りです。松下さんには大きな将来の目的があります。「僕は基本的には、甲田療法に執着してはいません。少食というのはキーワードであるけれども、その際に絶対に甲田療法であらねばならないって気持ちではないのです。僕は将来、自給自足の百姓をして、少食で幸せでいられる気持をまわりのみなさんに広めたいと思っています。最後には、お金というものが世の中からなくなるような、シンプルな世の中になったらいいなぁと思っています。」
松下さんのお気持はよーくわかりました。私達患者も、松下さんのおっしゃることを深く受け止めて、反省する点も多いかもしれません。
病気を治したい、という自分のためだけで少食をするから「我慢」になってしまう。これは本当にそうですね。我慢ではなくて、喜んでできたら、それは本当に愛と慈悲につながることでしょう。
けれども私は思うのです。確かに患者は病気を治したいから甲田先生の所にやって来ます。それはもちろん、自分のことしか考えていないのでしょう。でも、治癒するまでの食餌療法の過程で、私達患者は本当に多くを学び、甲田先生と甲田療法から愛と慈悲の心を習得するのです。そうして治った人々は、きっと全ての人ではないにしても、そのうちの何人かは、愛と慈悲、そして世界平和を祈る心を維持するのではないでしょうか? たとえ初めはほんのわずかの人だけしか気づかなかったとしても、それでも確かに少しは前進しているはず。
たとえ最初が自分のためであっても、病気が治らなければ他のことのために尽くすこともできないでしょう。健康になって、健康な心で、健康な気持を維持する・・・。私は、患者さんの何パーセントかは、必ずそういうことができるって信じたいです。そして私もまた、そういう気持をずっと持てる自分になるためにも、早く健康を取り戻したいと強く思うのでした。
松下さんの言葉は、私の心に深く残りました。ただ目の前の試練に立ち向かうだけでなく、もっと大きな目標に向って日々暮せる自分になりたいと、本当に心から思いました。
松下さん、私の質問に正直に答えてくださって、本当にどうもありがとうございました! 

8/6追記:|NPO法人ネットワークの「地球村」
http://www.chikyumura.org/
ここの高木さんという方が、少食で本当の意味で世界平和を願い、活動している方で、松下さんはとても尊敬しているそうです。環境と平和のNPO。高木さんと甲田先生が出会って、二人の対談なり何らかのアクションが始まったら、本当に素晴らしいっておっしゃっていました。
そういうことが実現すると素敵だなと思います。

事務局長の松下さん
事務局長の松下さん