2006-01-03
戦後ドイツのユダヤ人
今日は何だかすごいタイトルですけれども・・・。実は、私の若いお友達、武井彩佳さんが、最近「戦後ドイツのユダヤ人」(白水社)を出版しました。それで、先日息子への漫画と一緒にその本を私に送ってくれたのです。ありがとう、彩佳ちゃん!
私も息子も、ドイツで暮らしていますから、やはり日本にいる以上に、ユダヤ人のことに触れる機会があります。ギムナジウムでの出来事は、稀なのではなく、ドイツにいればあらゆるところでありうる話なのかもしれません。
で、今、少しずつ読んでいるのですが・・・これが、とてもしっかりと調べていて、すごくわかりやすいし、興味深いのです! さすが彩佳ちゃん! 素晴らしい〜〜! ドキドキしながら読んでいるのですが、この本の中に、少食療法と関係がある話が出てきたので、ちょっとご紹介したいと思います。
それは、14pからの、「一 生存者たち」 ナチス支配の終焉 という中の一節なのですが、1945年4月、イギリス軍やアメリカ軍が、強制収容所の人々を解放した時のこと:
「悲惨なことに、このなかには食物を摂取したゆえに死亡した者が少なからず含まれていた。イギリス軍は収容所に無数の瀕死の人間がいる状況を想定しておらず、求められるまま缶詰などの常備食を与えてしまったのである。長期間の栄養失調で衰弱した人間は、まず水分を十分に補給してから、医学的な管理のもと徐々に普通の食事に慣らしてゆく必要があった。しかし飢えた囚人は軍が用意していた缶詰の肉や野菜を大量に詰め込み、これを消化することができなかったのである。軍がこの決定的な過ちに気がつくまで丸二日たち、消化しやすいビスケットや米などが届くまでにはさらに時間を要した。こうして何千人もが衰弱して食物を摂ることができないまま、もしくは摂り過ぎて、死んでいった。これはアメリカ軍に解放された収容所でも同じであった。兵士が思わず同情心から分け与えたチョコレート、これこそアメリカの自由の象徴でもあったが、これで命を落としたのである。・・・・」
缶詰やチョコレートがいけない、と言っているのではありません。やはり、常日頃、食の少ない状況に置かれた人にとっては、急激に大量の食物を摂取するのは、大変危険なことなのだ、ということが、この文章でわかります。まわりが良かれとしたことも、恐ろしい結果を招くことになりかねない、ということなのですね。
私も、ちょっと多めに食事をしてしまうと、たとえそれが玄米であっても、体がすぐにだるくなります。そして眠くなる。以前だったら、気持ち良く眠れるというのは、素晴らしいと思っていました。でも、過食の後の睡眠は、さほど気持ちの良いものではないのですね。それでいて、長時間の睡眠を必要とします。寝覚めもあまり良くない。つまり、少食をしている時の睡眠と、明らかに質が違うのです。
こんないい加減な私ですので、少食療法を続けている間には、抗いがたい飢餓感を感じることがあり、どうしても「00が食べたい!」と思うことがあります。そんな時、心のままそれを大量に摂取すると、後で必ず具合が悪くなるのです。それがわかっているから、最近ではさほどひどい脱線はしないようになっていると思いますが、それでも気持ちがふらふらすることがあります。買い置きしていたら、必ずと言っていいほど、なくなるまで食べ続けてしまいます。そういう自分にも驚いていますが、食欲の恐ろしさを感じます。
「戦後ドイツのユダヤ人」(白水社)を読みながら、この本のメインテーマとは違いますけれども、食をめぐるさまざまな話を、私はただ読み過ごすことができず、とても考えさせられます。
今日のオーガニック・ライフ・イン・ジャーマニィは: