2004-08-31

読者の方から+近況

また雨が降っています。雨が降ると、とたんに涼しいというより、寒くなります。冷たい雨。でも、ベルリンの雨は、あまり長時間降ることはなく、大体すぐにやみます。とはいえ、もともとそれほど気温が上がっているわけでもないので、曇り空を眺めては、ちょっぴりどんよりした気分になったりもします。
そんな時は、家でホットの柿の葉のお茶などや、ローズヒップ、銀杏の葉などのお茶を飲みます。心もあったかくなるようで、とても気持ちがいいです。最近気がついたのですけれども、私の場合は、心に余裕があると、朝から新聞が読めるんですね。ドイツ語の新聞ですから、全ての項目に目を通しているわけではありませんし、読んでも斜め読みだったりしますけれども、心に余裕がなかったり、忙しい時は、私には全く読めません。もう見るのもいや、というくらい、ドイツ語の新聞から遠ざかってしまいます。仕事で外出が続く場合も同じで、そのまま1週間も2週間も新聞をためこんでしまうこともありました。
そうです、過去形になっているのは、それをやめたのです。
ためこんでは、一気にざ~と読むということを続けていました。
やはり、気持ちのどこかに焦りなどがあって、なかなか思うように新聞を読むことができなかったようです。でも、そのまま捨てることはなくて、必ず時間がかかっても、新聞を広げることはしていました。そして、日本語でも毎日インターネットで新聞を読んでいます。ですが、何かが違う。何故私は、気持ちが揺らいでいたり余裕がなかったり、ストレスがあると、ドイツ語の新聞をすんなり読めないのだろう? ……ずっと気になっていました。

なんとなくわかったことですが、やはり食生活とシンクロしているように思います。前向きに少食を進めることに、私の気持ちの中では何も問題はないのですけれども、無意識のうちに、どこかでちょっと「頑張って」しまっているのですね。そういう、少しだけ無理をしているところがあって、そのほころびを、ドイツ語の新聞を読まない、という方向で繕っている、といったところでしょうか。
そのことに気がついたら、自然と新聞をすぐに読むようになりました。こうしたことって、強制的にしてもダメなんです。自分の中でバランスをとっている行為なのだと思うので、無理に読もうとしても頭に入りませんし、時間の無駄です。自分の無意識の行為に気づいたことで、何かが私の中で変わって、そして新聞をためこまなくなった……。これもひとつの前進でしょうか。
最近、少しずつ少食が身についてきたということもあって、同時に新聞も、朝の青汁を飲んでからすぐに読むようになったのです。
些細なことなのかもしれませんが、そういった日常の変化から、少食を自分が本当の意味で受け入れ始めている、と感じます。

さて、今日はひさしぶりにメールをくださった、Iさんの文章をご紹介させていただきます。Iさんは、摂食障害で苦しんでいらした方で、110回目の日記に登場してくださった読者です。

・・・

+こんにちわ。お久しぶりです。

*お久しぶりです!! メールをありがとうございます!
お元気そうで、なによりです。

+最近の青木さんはとても楽しそうで、日記を読んでいてとても楽しくなります。

*そうですか!!? それは私もとっても嬉しいです! いつも読んでくださり、ありがとうございます!! そうですね~~。
楽しいのかもしれませんね。最近の私は、食でも人生に対してもですけれども、前よりも気負いがなくなって、少し何かが抜けたような気がするのですよ。これも、よたよたながらも、日々精進を続けているからなのかな、と思ったりして……どうでしょう???
まだまだ人間ができてはいませんけれども。

+その後、私の食生活はなんとか順調です。

*まぁ、よかったです!! 「なんとか」でも、「順調」だったら本当に素晴らしいことですよね! 私も、なんとか順調に進めています。行ったり来たりのこともありますけれども。

+やっぱりイライラしたときや、「なんか食べたい!」って時には、黒飴やあんこの和菓子をたくさん食べてしまいますが、吐くことはなく、「明日の食事を控えよう…」と考えられるようになりました。
とても大きな前進です。

*それは、本当に本当に素晴らしい前進ですね!!
Iさん、よかったですね~~!! 私もとってもとっても嬉しい!
むりやり吐く、それをやめたいのにやめられない、というのは、さぞかし心身共におつらかったことと思います。今は少し落ち着いていらっしゃるのですね。本当によかった! Iさんのように、身体を労わってあげると、ちゃんと身体も「ありがとう」って言ってくれたりしますよね。私も少しずつですが、私なりの身体との対話ができるようになってきました。本当に少しずつで、何も安定してはいないのですけれども……(笑)。でも、前進っていいですよね!

+「食」を考えないようにする事は、難しいですけど、とても有効ですね。

*そうそう! 有効なんですよ。それと、私の場合には、買い置きをしないこと(笑)。ドイツは土曜日は半日でお店が閉まりますし、日曜日は全く開いていませんので(中心街は開いているお店もありますけれど)、衝動的に何か食べたくなったとしても、買えないのですよ。ですから、のんびりできる週末に、買い置きさえしていなければ、「ない!」と一言叫ぶだけで、何とかおさまるのです(笑)。でも、それってまだまだ修行が足りませんね。

+普段、量はこれだけ!とか、今日は何を食べようかな..とか、「食」の事がどうしても頭にあって、なかなか「食」から離れられないな…と思っていました。
お盆に姪っ子(1歳)と遊んでいたら、すっかり食べることを忘れていたので、「あっ」と思いました。
精神も、体もとてもいい感じでした。

*あ、とてもよくわかります! 何かに夢中になっている時は、食事のことは頭にないことが多いですね。それも、ストレスになるようなことではなくて、楽しいことや自分の好きなことに心が集中していると、プチ幸せモードになって、そのほんわかしたきらきらが、身体全体から発光していく感じがして……。
身体全体に、良い気が流れるように思います。そういう時は、食事にはほとんどとらわれなくなっていて、すんなり少食が楽しめますね。それは、何も大仰なことをしなくてもいいのですよね。日常の、ちょっとした中に楽しみを見出す……。
そういうことも、大切なような気がします。

+日常から離れる事には、少し構えてしまいます。
私も、外食にはまだ抵抗があります。
(日本にはベジタリアンがあまり浸透していない事もあります。)
量を食べないと「少食やな」と言われ、野菜ばっかり食べてると「ダイエットしてんの?」と言われ、適当に「野菜めちゃうまやん!」と返事したりしていますが、ちょっと面倒臭いな…と感じる時があります。

*なるほど……そういうこともありますね。いろいろ言われてしまうのが気になる……、ということもあるかと思います。
聞き流してしまえばいい、と言ってしまえばそれまでですけれども、人間はなかなかそれができなかったりしますよね。でも、Iさんは「野菜めちゃうまやん!」って言葉でさらりをかわしていらして、とっても素敵ですよ!! キュートなかわし方ですね!

+先日も川でBBQをしましたが、常に野菜ときのこを食べていたら、「肉食わんと大きくなれへんぞ」とアドバイス頂きました(笑)。
でも、その場自体はとても楽しいので、それ程深刻な問題ではありません。

*そうそう、そう思えばそれだけのことですね。ご自分に無理がなければ、楽しくいられますものね。
私の場合とちょっと違うのかもしれませんけれども、最近Iさんのように、物事を深刻にとらえないようにしています。例えば、何か仕事上でトラブルがあって、今までしてきたことがストップしてしまう、あるいは振り出しに戻ってしまう、といったことがあるとします。でも、それは決してマイナスではないし、トラブルではない、と思うようにしているのです。より良い方向に進むための課題だと思えば、全てを受け入れることができます。そうすると、今までネガティブだな、と思われたことすらも、ポジティブな要素に変化することがあります。全てがそう簡単にはいきませんけれども、それによってストレスも減るのです。そうすると、前より楽に少食療法が進められる(=前よりも楽に生きられる?)……という具合に、何事も皆つながっているのかもしれませんね。深刻に考えない……これって真理のようにも思うのです。(あ、不真面目になれってことじゃないですけれども……微妙です。)

+アンゲリカさんも少食や菜食に理解のある方で、
青木さんもいくらかは気を楽にされたんじゃないかな…と思います。

*そうですね。でも、アンゲリカ自身は、少食は全くできていないので、ちょこっと太り気味ではありますが(笑)。以前、頭痛などに悩まされて、しばらく病気の状態が続いたそうで、その時に、新鮮な野菜ジュースだけを1週間飲むというメソッドをしたことがあるそうです。毎日フレッシュなジュースが届き、それを飲むだけだったそうですが、とても気持ちがよかった、と言っていました。実際、頭痛も治ったと言っていました。でも、いわばほぼ断食状態だったことになりますので、アンゲリカ自身はかなりきつかった、と言っていました。その間、ちゃんとドクターの検診もあったそうですが、身体には異常はなかったとのこと。ジュースはとても高かったのだそうです。だから続けられないわ、と彼女が言うので、「私は毎日自分で青汁を作っているよ、それにプラスして軽く食事をするのでもいいんじゃないの?」と言ったのですけれども、ドクターなしで、青汁も自主的に作って、というのは、彼女には少々厳しいようで、「淑子、それって私にはできそうもないわ~。
誘惑多すぎだし、青汁作るの面倒だし、サラダにして野菜は沢山食べたいって思うし、青汁のカスももったいないような気がするし~~。」とぐずぐず言っていましたね。(笑)でも、彼女は私のやり方もとても尊重してくれるし、私に早く健康になってほしいと、心から思ってくれますので、私が少食でいることには抵抗はないし、応援してくれます。彼女が少食の意味を理解しているから、私達の友情も少食で壊れることはないし、気持ちも楽でいられるのかもしれませんね。

+「排便」のお話、私もそう思います。
食べ過ぎたときは、出ません…。
確かに、バロメーターですね。

*Iさんもそうですか!? これは、個人差があるとは思うのですけれども、私の場合は本当にそうなんですね。多く食べた時に、多く排出できるかというと、そうじゃないんです。世の中には、胃下垂の方もいらっしゃって、そうした方はすぐに排出されるようですけれども、私は胃下垂ではないので、排便というのが体調に直接関わっているようです。

・・・

Iさん、メールをありがとうございました! とにかく、Iさんがもう吐かなくなったというのは、とても素晴らしいご報告でした。本当に嬉しいです!
なにより、ご自分が随分と心身共に楽になられたことと思います。あとは、少しずつでも少食が身につくと、もっと楽になりますね!! 私は、不思議なんですけれども、最近甘い物にはあまり執着しなくなりましたよ。昔のことを考えると。ものすごい前進なんですね。去年の今ごろはどうしていたかなって考えると、それはそれは大変で、チョコやアイスを食べないように、家でいろんなお菓子を全粒粉と黒砂糖で作ってみたり、苦しんでいました。
今は、脱線しながらでも少食を続けてきたことで、自分に「いつ甘い物でも何でも食べてもいいんだ、私は自由なのだから。」と言ってあげると、急に楽な気分になって、執着が消えていきます。疲れないように、ストレスをためないようにしていることも、効果があるのだと思います。それに、甘い物を口にすると、これは嘘でも何でもなく、甘すぎたり欲しいと思わなくなったりしてきているのです。いつもとはもちろん言いませんけれども、本当にそう感じることが多くなってきています。先日、脱線用にヨーグルトを買おうと思い、間違えて他の種類のものを買ってしまったのです。ナチュラルハウスの、豆乳でできているプレーンなヨーグルトを買うつもりが、イチゴと穀類が入った、カロリーカット、油分0,1%という物を買ってしまったのです。もちろん、それでも随分いいのですけれども、いざ口に入れてみたら、ものすごく違和感のある甘さがありました。結局食べられなかったんです。そんなことは今までにはありませんでした。以前の私だったら、美味しいと言って全部一度に食べ切ってしまったでしょう。でも、それができなくなった。これも、ある意味進歩かな、と思っています。

少食メソッドって、本当に奥深いですね。人生が変わります。しかも、「より良い人生」に変わっていくのです。これって本当に素敵なことです。