食卓で会いましょう
定価:1,900円 + 税
ISBN978-4-939015-22-9(4-939015-22-X) C0095
4-6変 272ページ /並製
[1999年10月刊行]
内容紹介
岩松了、初めてのエッセー集
タバコとパチンコ/タバコといえば思い出す/タバコ供養の日/ヘビースモーカー/ヘビースモーカーへの一通の手紙/ハイライトを喫う女/五万円と二百円/嗚呼パチンコ/五万円負けた日のこと/純朴とは/スズメと牛と恋/手紙をくれた女/ロールスロイスの運転手/あとひとり/四谷美談/結婚した?/外人の友だち/私を救った男/本気/普通免許持ってます?/天気待ち/D・ボウイの『スターマン』/その一枚サービスしとくよ/名前いろいろ/電車の中はクイズだらけ/不眠症の夜明け/「秀吉」の暗躍/とんだ冗談いやあ参ったの巻き/さまよえる不動産業者/或るお父さんの生態/父親を知らぬ娘?/「伝える」ということ/「わからない」ということ/年の瀬の情緒不安定/わがままも時には感動を誘う/舞台袖という舞台/万歩メーター/風呂場でションベン/募金箱をかかえた人々/或る借金の風景/「死」とは「ビジョン」のようなもの/尾行、その正体/演劇という職業について/私が「探偵」になって言ってみたいセリフ/人間の基本「ウェイター」/教師という職業について/歌手という職業について/モノマネは不滅の職業か/鴨川に浮かんだ女/下心/地獄の主婦A/乳房への道/忘れじの人妻、あの千円/銀杏を掃く女/結びつかぬ女たち/少年ジャンプの女/自堕落な色気/年の瀬の官能/演劇へのドアノブ/つかまれた手/A子のしあわせ/夜行列車の女/マタニティな女/とても大事なこと/飲み屋に行けば/踊る女と背広の男/ここに幸あれ/誰も決めることはできない/ちょっとした自叙伝/劇作家であり演出家であること/姫錦と握手した/私はどういうことを考えながら演劇をやっているかということ/絶望あれこれ/修行について/中途半端という王道/物語ときいて思うこと/演劇の映画に対する一方的言い分/チェーホフの現代的魅力/
目次
1章●コレ抜きでは始まらない——岩松了とパチンコとタバコ
ヘビースモーカーとパチンコ
あの頃ぼくは若かった
ムキにならないで
途方に暮れて
その職業に意味あり
2章●紫煙のなかに浮かぶ幻のおんなたち——岩松了とおんなの物語
その女に罪はない
物語の女
3章●何を考えて演劇をやっているか
——岩松了と演劇ばなし
演劇にまつわる私話
物語ときいて思うこと
あとがき——想像力という言葉をめぐって
前書きなど
初めてのエッセー集ということになる。したがって、と言うべきか、中には十年以上も前に書いたものもある。だいたいエッセー集なるものを出版するなど思いもよらないことだったから、保存と記憶に欠落があり、それでもスタジオ・ポットの方の人力のおかげで、いわば己れの過去の恥部まで掘り起こしてもらった。
エッセーというものが、どういう定義を与えられるものかよくはわからないけれど、もしそれに「つくりごとでないもの」という面があるとすれば、中には、エッセーとは言えないものも含まれています、と言っておこう。たとえば、私は未だに車の免許を持ってはいない。なのに、車を運転してるようなことを書いたりしている。要するに嘘なのだ。
「読みましたよ」と言われた時、手をヒラヒラと振って、
「あ、あれ、嘘、嘘」と言いたい気持ちがどこかにあるのだろう、と自分では思っている。
担当から一言
「竹中直人の会」でもおなじみの、劇作家、演出家、そしてヘビースモーカー、岩松了。
パチンコ屋の隣の喫茶店で、タバコの煙をくゆらせながら生み出された傑作嘘話の数々。パチンコで2万円負けるのはどういう気持ちか、世の中に役に立たないとはどういう人か、A子のしあわせはどんなしあわせか、メニューはいろいろ。さあ、岩松了の食卓にお誘いします。注文をお待ちしています。(ダ・ヴィンチ年間腰巻き大賞受賞・1999年度)
著者プロフィール
岩松 了(イワマツ リョウ)
劇作家。演出家。俳優。小説家。1952年長崎県生まれ。自由劇場、東京乾電池を経て、現在は「竹中直人の会」「岩松了プロデュース公演」などで活動。89年『蒲団と達磨』で岸田國士戯曲賞、94年『こわれゆく男』『鳩を飼う姉妹』で紀伊國屋演劇賞個人賞、98年『テレビ・デイズ』で読売文学賞、映画『東京日和』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。98年には小説『五番寺の滝』(ベネッセコーポレーション、1,500円+税)を書き下ろす。
主な著書
●『テレビ・デイズ』(小学館、1,600円+税、1998)
●『恋のためらい』(岩松了・原作+倉持裕之・小説構成、ベネッセコーポレーション、1,300円+税、1997)
●『映画日和』(竹中直人+岩松了・著、マガジンハウス、1,400円、1997)
●『恋する妊婦』而立書房、1,500円、1996)
●『月光のつゝしみ』(而立書房、1,500円+税、1996)
●『スターマン』(ペヨトル工房、1,942円 +税、1995)
●『市ヶ尾の坂(伝説の虹の三兄弟)』(而立書房、1,500円+税、1994)
●『アイスクリームマン(中産階級の劇的休息)』(而立書房、1,500円+税、1994)
●『隣りの男』(而立書房、1,800円+税、1992)
●『恋愛御法度(無駄と正直の劇的発作をめぐって』(而立書房、1500円+税、1898)
●『台所の灯(人のその一般性の徴候に寄せて』(而立書房、1500円+税、1989)
●『お茶と説教(無関心の道徳的価値をめぐって』(而立書房、1500円+税、1989)
●『布団と達磨』(白水社、1262円+税、1989)
[...] 執拗に問いつめるセリフが続いたかと思うと、いきなりはぐらかされたりして。 親しいのかと思ったら、いきなり突き放されたりして。 言葉が放つ重さや、意味のなさや、いろんなことを考えます。 これまでも岩松さんの戯曲、いろいろ出してきました。ぜひ一冊手に取ってみてください。 そして新作も。 長くなりましたが、最後に一言、岩松さんのエッセイ集はこれまたむちゃくちゃ面白いです。 [...]
[...] その日は、岩松さんと私が対談を行うという日だった。前夜、私は岩松さんのエッセイ本『食卓で会いましょう』を読破し、その面白さに感動し、ある程度話す内容も想定して対談へと挑んだ。 [...]