2005-08-25

日本好きの極右政治家

フランス極右政党の老舗『国民戦線』のナンバー2、B・ゴールニシュ全国代表(欧州議会議員)は大の日本好きである。どのくらい日本好きかというと、まず氏のワイフは日本人である。ふたりの間には、ハーフの子どもがいる。氏は京都大学で法哲学を学んだこともあり、日本語を流ちょうに話す。フランス人の報道陣に混じって、国民戦線の集会を私が取材していたら彼はいきなり私のところに着て、

「どこの国から着たのか?」

とフランス語で尋ね、「日本からです」と私が答えると、
「ようこそ、フランスにいらっしゃいました」
と日本語で答え、その後、日本語で話し続けた。

フランスのみならず欧州の極右には、「白人純血主義」が根強い。ゴールニシュさんのように東洋の女性をめとり家庭を営むことなど、純血を重んじる極右にとっては邪道に思えるかも知れない。しかし、ルペン国民戦線・党首が引退したならば、彼が同党の代表になる。

このブログで何度か論述したが、極右が「人種差別」「好戦的」かというと、必ずしもそうではない。「自国文化の優位性」「人種差別」は支持者の間では根強いので「極右=差別的」という図式はとりあえずよしとしても、「極右=好戦」というのは全く事実と反する。国民戦線は、フランスの体制が賛成したコソボ空爆にも第一次イラク戦争(通称・湾岸戦争)にも反対の立場をとった。もちろん、アフガン戦争にも第二次イラク戦争にも反対した。米国の9.11テロのあとにすぐさま、「広島・長崎の原爆もテロである」「米国・英国の経済封鎖によって、イラクの子ども達が100万人以上、殺された。これもテロだ。米国テロのみを絶対視するわけにはいかない」旨の冷静な声明を出したのも、国民戦線である。そして、怨念によって戦争に進むことに対しても、強い懸念を示した。

フランスにおいては、極右とは「反戦」陣営に属する。