2007-10-03
菅直人「民主党」代表代行に独占インタビュー(下) 「1年以内に解散・総選挙へ追い込む!」
『オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。
主題:菅直人「民主党」代表代行に独占インタビュー(下)
副題:「1年以内に解散・総選挙へ追い込む!」
民主党は年金一元化を提案する
――舛添要一・厚生労働大臣に期待が集まっていますが、舛添大臣を菅さんはどう評価していますか?
菅:私は個人的に割と親しいので、彼には頑張ってもらいたいと思っています。ただ、彼が本当に厚生労働省をコントロールして、役人に本来やるべきことをやらせることができるかどうか、それはまだこれから見ないと分かりませんね。
厚生労働相を私が務めた経験から申し上げれば、なまじいことではありませんよ。社会保険庁の職員のボーナス一部の自主返納を前の大臣はやろうとしましたが、変な話でしたね。やるんなら社保庁職員を法律に基づいてちゃんと処分しろという話ですよ。たとえば、1万人の職員の給料を1年間、1割カットするとかすればいいんですよ。それを自主返上というわけの分からないことをする。
処分すべきものは処分し、仕事をさせるべきところはきちんと仕事をさせるか、舛添さんがどこまでメリハリのあることをやれるか未だ見えてこない。まだ、言っているだけの段階です。
――年金に対する不信は拭えませんが、民主党は年金制度をどのように改革するつもりですか。
菅:2003年総選挙のマニフェストでも04年参院選でも、今夏の参院選のマニフェストでも提案していますが、国民年金を含むすべての年金の一元化を実行します。そして、年金制度を2階建てにして、1階の基礎部分については税で賄い、最低保障年金を実現します。2階の部分は所得に応じて払って、払った金額に応じて給付する。
それにあわせて、年金を含め社会保険料の徴収を税金と一緒にして「歳入庁」が行う。社会保険庁を解体して、歳入庁にするわけです。これはドイツ方式で、この方が効率がいい。もともと、社会保険料の基礎データはほとんどの場合、収入でしょう。給料いくらだから年金をいくら払いなさい、健康保険料をいくら払いなさいというわけですね。元データは一緒なわけです。計算式が税と社会保険料で違うだけで、コンピューターにかけて合致させればいいだけの話ですから、国税の方がしっかりしている。
テロ特措法とイラク戦争
――民主党はテロ特措法の延長に反対していますが、インド洋での給油活動を続けている海上自衛隊は徹底すべきだと考えますか。
菅:9.11テロに対する反撃としてアメリカがアフガニスタン戦争を始めて、それを支援するために海上自衛隊が給油活動をしているわけですけれど、少なくとも戦後6年経ったわけですね。やはり、きちんとした見直しが必要です。どういう原理で海外に自衛隊を出すのか出さないのかについて、海外派遣は国連決議があった場合であり、かつ、憲法が許容する範囲内でのみ認められることを民主党は原則にしています。そういった観点から自衛隊の活動を見直し、その原理に合わないことについては、やめるべきだという考えです。
さらに言えば、イラクで活動する米軍の空母キティーホークに自衛隊が相当の給油をしていたのではないか、もともとの法律の範囲を逸脱した行為があったのではないかという指摘があるわけですね。そういうことについて政府は情報開示しなければならない。場合によっては国会に真実を隠した活動を行っていた可能性がある。事実だとしたら、本質的にシビリアン・コントロールに反しており、大問題です。
――イラク戦争終結から4年経ってもイラクは内戦のような状況ですね。開戦の理由としてあげられた「大量破壊兵器の存在」も「テロリストとのつながり」も、米国ですら今では否定していますね。当時、イラク戦争に賛成した小泉純一郎氏を始めとする時の政府の面々に、菅さんは何と言ってやりたいですか。
菅:アフガニスタンについていうとタリバンをやっつけたと当初は言われましたが、現在はタリバンが国内で勢力を拡げつつある。「テロとの戦い」という言葉が使われますが、これは国と国との戦いとは違うわけですね。国と国が戦う場合、その国の意志決定があり、税金で戦うわけですけど、テロというのは個人の意志と色んなルートからの資金で戦うから、本質的な問題はテロの意志をなくせるかどうかであって、軍事的に叩けば叩くほど意志がなくなるのではなく、逆にそれに怨みを持つ反米感情が高まり、テロが増えていくという悪循環にアフガニスタンもイラクも陥っています。
私は当時から「おかしいんじゃないの?」と言ったのに、イラク戦争には「大量破壊兵器が存在する」という間違った前提で日本は戦争に加担しました。当時の首相である小泉さんに「あなたの判断は間違っていたんじゃないの?」と何回も国会で追求したのに、詭弁(きべん)をろうして自己弁明しています。
解散・総選挙への秘策
――解散・総選挙に追い込むため、民主党はどのように攻勢をかけていくつもりですか?
菅:マニフェストに掲げた公約を具体的に法案にしていく。一方で、税金の無駄遣いを糾していく。その結果、政府のやろうとしていることと、我々のやろうとしていることは、かなり違うから、どこかでぶつかってくるでしょう。その段階で国民に信を問う。
あるいは、我々がどうしても賛成できない法案については、予算関連であっても賛成できませんから、参議院で成立しなければ予算関連法案もなかなか簡単には通らない。1年以内で解散・総選挙に持っていきたいと思っています。
――民主党が圧勝した今夏の参院選で得たのと同じ得票数を総選挙で得たとしても、自民党・公明党が組めばかろうじて過半数を得るという結果が出ています。この結果をどう御覧になっていますか?
菅:あるデータによれば民主党が圧勝するというものもあります。あんまり細かく予測しても仕方がないので、小選挙区というのは1かゼロかの選挙ですから、政権を奪取するために300ある選挙区のうち半数以上で勝つように力をつけていくことが大切です。
あと、投票率をもっと高めていくように努力していきたいですね。つまり、投票率が低いと公明党の影響力が増します。公明党支持者が日本国民の1割だとしても、投票率が5割だったら、支持者がほぼ全員投票する公明党が2割のウエートを持ってしまう。100人のうち10人が公明党支持者でも、50人しか投票しない場合、公明党は2割の票をとるわけですね。投票率をあげることによって、自民・公明の連携を結果として弱めていく必要があります。
次期総選挙では必ず民主党が政権を奪取します。ご期待ください。