2012-12-29

有事に脆弱な安部政権、発足

国防軍の創設、「竹島の日」式典に参加……。

選挙前と首相就任後で発言のトーンは変わったとはいえ、勇ましい発言とは裏腹に、これほどまでに、有事に際して脆弱な首相はかつていなかったろう。前代未聞の平和ボケ宰相、それが安部晋三・首相だと、ハネムーン期間に口にするのは畏れ多いかも知れぬ。

が、あえていう。安倍政権の弱点は、国防だ、ということを……。

キューバ危機に際して、戦争勃発か?!という事態の中で、J.F.ケネディ大統領は三日三晩、不眠不休で職務を遂行し、戦争を回避した。

ユーゴ紛争の折、NATO軍を指揮したウェスリー=クラーク将軍は一日2~3時間の睡眠ですました。

フランス共和国では大統領が健康診断書を公開するのが慣例になっている。危機に耐えうる強靱な体力を持っているか……を明らかにする為だ。

そう、有事にあたって、リーダーに求められるのは第一に、体力だ。

2004年米国大統領選の折、ジョン=ケリー民主党候補(現・国務長官)は外交に長けているだけあって、
「大統領はタフ・ネゴシエーターでならないといけない。私は北朝鮮の核開発を回避する為に単独交渉する」

と公約した。

ナショナリズムを鼓舞するかのような強い言葉とは裏腹に、安部晋三・首相のネックは体調にあるようだ。

尖閣諸島が議論される時に、フォークランド紛争を私は想起する。
昨日に明らかになったことだが、鉄の宰相・サッチャーは、アルゼンチンが同島に侵攻するのを二日前に知ったという。サッチャーは戦時内閣を組織した。その内閣から財務大臣が外された。足枷になるのは財務省&財務相だと熟知していたからだ。

さて、隣国を挑発するかのような発言を首相が続けることによって、有事になる事態も想定されうる。たとえば、中華人民共和国が尖閣諸島を侵略することなどだ。

大東亜戦争において、松岡洋右・外務相は国際連盟を離脱する演説をたけだけしく行なったことによって、歓喜によって国民に迎えられた。しかし、戦争の結果は知られている通りで、ある。

安部首相はsourverniste(国家主権至上主義者)であるには違いない。
しかし、内政を鼓舞する為の言動・行動によって、近隣諸国との関係が悪化することは大いにあり得る。自分がまい種で、有事に至ることも……。

そこで、私は疑念に思う。
三日三晩寝ずに、或いは、一日2~3時間の睡眠で耐えうる体力を安部晋三・首相が持っているかだ。

同首相は参院選2007で完敗しても、続投を表明し、内閣改造を行って重厚な新内閣を組閣し、両院において所信表明演説を行った。その判断は間違いではない。しかし、所信表明演説のわずか2日後に、辞任表明した。

安部氏には斯様な前科がある。

が、故にいう。安部首相は有事になったとたん、“腹痛”を理由に辞めかねない脆弱な宰相である、と。

ケリー国務長官は兵役を回避できたのにベトナム戦争に自ら従軍して英雄となった。クラーク将軍もまた、ベトナム戦争で戦い、負傷している。ジョン=マケイン上院議員もそうだ。法國愛国政党『国民戦線』のジャン=マリー=ルペン名誉党首は三度、戦争を闘っている。

小沢一郎・衆院議員のように息子が自衛官になったわけでもなく、ボンボンとして育ち、パパの急死で突如、議員になった兵役も従軍経験もなきぼっちゃん宰相を、自称・保守が持て囃すのは摩訶不思議な事態である。