2006-12-08

講演のレジュメ『虹色の社会』

明日のシンポジウムで配る私のレジュメを公開します。

報告『虹色の社会 ~フランス同性愛事情』

【1】同性愛者を取り巻く環境
・同性愛者をとりまく環境はその社会の成熟度を示すリトマス試験紙になる。成熟した社会では同性愛者の権利が擁護され、全体主義の国では同性愛者は抑圧・排除される。
・フランスではゲイ雑誌『Têtu』(テテュ)が駅や街頭のキヨスクで一般紙と並んで堂々と販売されている。同誌の広告ポスターも公共の場ででかでかと掲示される。
・フランスの首都パリの市長・ベルトラン=ドラノエさんは男性同性愛者(ゲイ)。1998年、社会党の上院議員だった時にテレビ番組でカミング・アウト。2001年4月、市長に当選。支持率は2005年7月時点で65%と高水準(IPSOS調査)
・異性カップル・同性カップルが結べる準結婚制度パクス(PACS)が1999年に成立。同性カップルの権利が法的に保障される。パクス成立の背景にはエイズがある。
・2004年、ベーグル市の市長で『緑の党』下院議員を兼務する「行動する環境派」ノエル=マメール氏が立ち会いの下、男性同氏のカップルが結婚。フランスで大騒動。

【2】同性愛者と世論
・①『同性カップルの結婚合法化』に賛成が62%、反対37%(2006年11月)。
・②アメリカでは賛成が25%、反対が66%。共和党支持者では80%が反対(2004年)。
・③「もし自分の子どもが同性愛者だったら……」とフランスの成人1000人に尋ねた。「ショックだ」と答えた人が9%、「どうってことはない」と答えた人が32%、「気にはなるけど当人のしたいようにさせておく」と答えた人が51%(2006年)。
・④極右政党支持者の71%が「同性愛という生き方は受け入れられる」と回答(2006年)。

【3】ポストモダン右翼
・デンマークとオランダでは同性愛者の人権や寛容な社会を重視する。だから、同性愛や自由を認めないイスラム系移民は排斥すべきだという「人権派極右」が台頭。
・オランダ:ゲイの右翼政治家・ピム=フォルタインが高い人気。2002年、暗殺。
・デンマーク:移民排斥の国民党。同党下院議員にはレズビアンがいる。

【4】2007年大統領選挙&下院議員選挙
・フランスは2007年、大統領選挙&下院議員選挙。政権奪回を目指す野党第一党・社会党は大統領候補に人気女性政治家・セゴレーヌ=ロワイヤルさんを擁立。
・ロワイヤル候補は30年間、社会党党首と事実婚関係。二人には4人の子どもがいる。
・ロワイヤルさんは「同性カップルの結婚を合法化する」と明言。