2007-05-20
仏下院選控え左派政党の合従連衡進む 世論調査では右派、左派が接戦
『日刊ベリタ』に【仏下院選控え左派政党の合従連衡進む 世論調査では右派、左派が接戦】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。
【リード】
6月10日と17日に行われるフランス下院選挙(577議席)を控え各党は、総力を挙げて追い込みを図っている。各種世論調査によると、右派のニコラ=サルコジ新大統領の与党「国民運動連合」の圧勝が予想されている。このため、一部で左派政党の共闘が進んでいる。
【本文】
共闘が成立したのは、社会党と、同党の創立者ジャンピエール=シュヴェーヌマン氏が2003年に結成した左派政党「共和国市民運動」、それに「左翼急進党」の3党。
シュヴェーヌマン氏は2002年4月のフランス大統領選挙第1回で151万8528票(5・33%)を獲得し、善戦した。しかし、同年6月の下院議員選挙では現職7議席がすべて落選し、今回は議席復活を狙う。
1901年に結成された由緒ある「左翼急進党」は現在、下院に8議席有する。両党共にフランス全土に組織をもっており、今春の大統領選挙では社会党のセゴレーヌ=ロワイヤル候補を支持した。今回は、社会党を支援する代わりにいくつかの選挙区で両党は社会党から支援を受ける。
大統領選に続いて共闘が完全に破綻したのは、「反新自由主義・反グローバリズム」を掲げて共に運動を担ってきた極左政党「革命的共産主義者同盟」、「フランス共産党」、極左政党「労働者の戦い」の3党だ。今春大統領選挙で3党はそれぞれ独自候補を擁立した。
革命的共産主義者同盟のオリヴィエ=ブザンスノ氏が獲得した149万8581票(4・08%)が最高で、次に同党史上最低の得票数となった「フランス共産党」のマリー=ジョージ=ブュッフェ党首の70万7268票(1・93%)、極左政党「労働者の闘い」アルレット=ラギエ48万7857票(1・33%)が続く。
革命的共産主義者同盟は13日、500以上の選挙区で候補者を擁立すると発表した。大量擁立をブザンスノ党首は「サルコジ氏に対するレジスタンだ」と述べた。
フランス共産党は10日にラジオ局「RTL」の番組にブュッフェ党首が出演し、518人の候補を擁立すると宣言した。
労働者の戦いは17日に記者会見を開き、560の選挙に候補者を立てると発表した。
下院の選挙制度は小選挙区制で、第1回投票で過半数に達する候補がいない場合、登録有権者数の12・5%以上を得票した候補者が決選投票へと進出する権利を得る。
第1回投票が終わると1週間で、各党の選挙協力が模索され、早急に成立する場合がある。2002年6月の下院選で社会党が共産党との提携を成立させた。その際、一部地域は決選投票に進出する権利を得た共産党の候補が社会党の候補を支援するため、候補者を取り下げるということが起き、逆のケースもあった。
今回、注目されるのは、社会党と中道新党「民主連合」の共闘問題だ。フランソワ=バイル党首は大統領選の決選投票でロワイヤル氏へ投票したと述べるなど、社会党に接近している。
世論会社イフォップが10日、11日に有権者965人を対象にした世論報道によれば、決選投票で両党は提携すべきという回答が59%にも達し、共産党や緑の党など左派と社会党は、提携すべきという意見(35%)を大きく上回った。
イフォップの最新の調査では、下院選で「右派の勝利を望む」と回答したフランス人が49%、「左派の勝利を望む」と回答したフランス人が49%と拮抗している。
写真脚注(上):オリヴィエ=ブザンスノ「革命的共産主義者同盟」党首(及川健二・撮影)
写真脚注(中):マリー=ジョージ=ビュッフェ「フランス共産党」党首(及川健二・撮影)
写真脚注(下):アルレット=ラギエ「労働者の闘い」党首(及川健二・撮影)