2007-08-14
ブッシュ・サルコジ両首脳が関係修復を演出 シラク前政権とはムード一変
『日刊ベリタ』に【ブッシュ・サルコジ両首脳が関係修復を演出 シラク前政権とはムード一変】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。
米ニューハンプシャー州の湖畔で長期バカンスをしているフランスのサルコジ仏大統領が11日、メーン州ケネバンクポートでブッシュ大統領と会談した。同地には、父親のブッシュ元大統領の別荘があり、父親のブッシュ元大統領も会談に加わった。サルコジ大統領は、イラク戦争に強硬に反対し、反米姿勢を貫いたシラク前大統領と打って変わり、親米路線を打ち出していることで知られる。フランスの日刊紙フィガロも11日付で米仏両国が、シラク前政権下での関係悪化の修復を目指していると報じた。
現地からの報道では、ブッシュ大統領は、イラク政策で双方に一定の合意があったと指摘。これに対し、サルコジ大統領は、すべての点で合意があったわけではないと述べ、イラク政策に対しては米国に全面的に歩調を合わせるわけではないことを示唆した。
ケネバンクポートは大西洋に面した高級リゾート地で、ブッシュ一族に「盟友」と認められた者だけが来客として招待される。5月に就任したばかりのサルコジ氏は早くもブッシュ氏から「盟友」と認められたようだ。
一方、フランスの日刊紙フィガロは11日、電子版で「米仏両国はシラク・ドビルパン時代の頁をめくりたがっている」と題する記事を掲載した。
シラク前大統領はイラク戦争反対を貫いたことで、国民の間ではその姿勢を評価する声が大きい。当時外相だったドビルパン首相も、国連安保理で米国を相手に一歩も譲らず、イラク戦争の開戦に抗う演説をしたことで知られる。
しかし、イラク戦争に反対したことにより、米仏関係は冷え切り、両国間首脳の交流はめっきり少なくなった。ところが、親米派サルコジ氏が5月に大統領に就任したことにより、両国は一気に親密な関係になろうとしている。
サルコジ氏は昨年9月、ルモンド紙のインタビューに応じ、イラク戦争開戦前にシラク大統領が安保理で「拒否権」をちらつかせ、開戦に抵抗したことを「無駄な行為だった」と批判し、その理由を「米国に屈辱の感情を持たせてしまった」と述べ、「仏米関係の建て直し」を説いた。サルコジ氏は大統領選の勝利演説でも米国を「親友」と繰り返し、持ち上げた。
サルコジ氏は、今回の会談後の会見の中で、「アメリカとフランスは家族だ」と、両国が運命共同体であることを強調した。ライス米国務長官が今年7月にパリを訪問した際、会談したクシュネル仏外相は「イラクにおいて米国のために我々は何ができるだろうか」とイラク政策でフランスが米国に協力する余地があることを示唆している。
「反米」というイメージが強いフランスはサルコジ大統領によって「親米」に転換しようとしている。しかし、フランス国民の間には、根強い反米感情が残っており、サルコジ氏の親米路線をどこまで貫くか未知数な点もある。