2007-02-21
フランスの大学生寮はジェンダーレス
松沢呉一さんが「欲望のためのジェンダーレス教育を!」という文章を書いています。論旨を一文でまとめると、トイレや着替えなどが男女共用で何が悪いんじゃ!ということだと思います。松沢さんの文章を読み、フランスの学生寮の生活を思い出しました。
私がフランスに滞在したのは、2004年7月3日~2006年3月25日までです。フランスに行って最初の3週間は、フランス北部の都市・リールの大学生寮で過ごしました。リール政治学院の夏期選抜セミナーに参加するための滞在でした。初めにカルチャー・ショックを覚えたのは、トイレやシャワーが男女共用、同じフロアに男女が交じって生活するという学生寮のあり方でした。トイレは一つの部屋に小便用といわゆる洋式トイレがあり、そこを男女が共用しました。小便用トイレで用をすましているときに、女性が入ってくると恥ずかしさを多少感じたことをいまでも覚えております。バスタオルをまいて女性が廊下を歩く姿は頻繁に見かけられ、遭遇するたびに驚いたものです。
リールで暮らした後はトゥールで6週間過ごし、2004年9月にパリ生活を始め、10月から国際大学都市にあるアヴィセンヌ館の寮で一年、生活しました。そこの寮は10階だてで各フロアに男女が共同で生活します。シャワールームが2つ、洋式トイレが3つついているスペースがあり、そこも男女共用でした。私がシャワーを浴びているときに、隣で女性がシャワーを浴びている……ということはごく当たり前のことでした(女性用のシャンプーの匂いが漂ってきますので、隣で女性がシャワー浴びていると分かります)。
といっても、フランスにも男女別々のトイレもあります。映画館のトイレや駅の有料トイレは男女別々です。国際大学都市のレストランがある建物のトイレは男女別々です。一方で、路上にある有料個室トイレは男女共用です。私が通っていたフランス国立パリ第九大学DAUPHINEが入っている校舎のトイレは、1階は男女共用、他のフロアは男女別々だったように記憶します。
学生寮の話に戻りますと、フランスもかつては男子学生用の寮、女子学生用の寮という風に分けられていました。学生運動が労働者にも飛び火してゼネラル・ストライキにまで発展したフランス版全共闘・パリ五月革命(1968年)の発端は、学生寮を男女共同にしようという運動でした。既存のジェンダー概念を壊していこうというのが、パリ五月革命の原点にあります。
いまでは公立の大学生寮は男女が同じ建物の中で共同生活しています。
こんなジェンダーレス大学生寮になじめない日本人女性が多いそうです。国際大学都市には各国の学生寮があるのですが、日本館のみ男女のスペースを分けています。日本人女性に配慮してのことらしいです。
日本館に住んでいた者ですが、「男女のスペースを分けている」というのはこれ、トイレの話ですよね?居住部分は分かれていませんでしたが…。