2012-12-22

お部屋2478/風営法改正の問題点 6/論点整理

話の途中でありますが、ここまでの論点を整理します。

「風営法からダンスを外す。この結果、住宅街にクラブができても、小学校の横にクラブができても、中高生が制服のまま学校の帰りに踊るために立ち寄っても問題なし」という考え方は一貫性があります。受け入れられるかどうかは別にして。ここまでのコメント欄を見ていただければおわかりのように、NOONの金光さんはこの考えかと思います。

Let’sDANCE法律家の会もそうなのだと思っていたのですが、この間のDOMMUNEを観た限りでは、「別法規によってケアできればよく、できない部分は新たに規制すればいい」という考えかと思います。「営業地域についてはこれから考えなければならない」旨を語っていたと思うので、彼らもまた野放しでいいとは思っていないことがわかる。

たとえば「クラブはドラッグの温床になっているので、風営法で厳しい条件を課せられるのは当然だ」という意見に対しては、「ドラッグの温床になっている事実なんてあるのか」と根拠を求めるとともに「麻薬取締法や大麻取締法などの別法規が存在しているのだから、そちらで取り締まればよく、それでは取り締まれないのであれば、法に不備があるか、警察の捜査能力に欠陥があるのであって、それによって風俗営業が不当に締め付けられるべきではない」と反論することが一応可能です。事実、私もそう言ってきています。

しかし、「新規で」法の規制を求めるのであれば、新たにクラブに対する定義付けが必要になり、「ダンスという要件を使わずにクラブを定義付けることが可能なのか」という疑問が生ずるわけです。ここで定義づけられなければ、飲み屋全体、深夜酒類提供飲食店全体を締め付けることになって、「クラブのために、なんで他業種に皺寄せがいくんだ」ということになりましょうし、「だったら、風営法のままでいいのでは?」ということにもなる。

「ダンスの定義があいまいだ」というのであれば、他の条例でも一緒。もしそちらでクラブをあいまいではない文言で定義づけられるのであれば、「風営法自体を改正して、あいまいでなくすれば?」ということになってしまいます。

Let’sDANCE法律家の会に対しては現在この疑問を私は抱いているわけですが、これは具体的な提案が出てから見ていくとします。

その実現性や整合性を置くとして、風営法改正の考えは以下のようにまとめられましょう。

1)風営法の中に留まって、条件を緩和する。

2)ダンスを外してクラブは風俗営業ではなくなる。

3)風営法を撤廃する。

3はマック赤坂に任せて、ここでは無視します。1も2もさらに細かく分けられて、前回出てきた「ダンスを外して酒によってクラブを規制する」という方法も広くは1に含まれましょう。

私はどれがいいのか決めかねていたわけですが、2の利点はほとんどなくなっていると思うので、現在は1を支持。

2を支持する人たちは、以下の二派に分かれようかと思います。

A)風営法による規制が外れても支障はない。現在ある別法規によってケアすればよく、それを超える支障があってもこの社会は容認すべきである。

B)支障が生じ得るため、それについてはなんらかの対策が必要。
 イ)条例などの改正、あるいは新たな条例などの制定
 ロ)業界団体を設置して、業界内部で抑制していく

Aは風営法からダンスを外すだけで、あとは何もしない(これ自体、簡単なことではなく、ダンスの代わりになる要件によって号を再編せざるを得ないと思われ、結局他業種への影響は避けられないのではないか。これについてはもっとあとでやります)。

対してBは支障が生ずることを前提に対策をとるという考えで、他の方法もあるのかもしれないですが、強制力のある方法はこの二種しか思い浮かびません。

おそらく金光さんはAを支持、Let’sDANCE法律家の会はBを支持かと思います。

で、私も金光さんのようにクラブ関係者やクラバーたちはAを支持している人たちが多いのかと思っていたわけです。しかし、どうもそうではないようです。

磯部涼君が「先送りしてきた問題が先送りできなくなってきた」とよく言ってます。だから、「風営法改正」ということに遂になってきたのですが、「風営法を改正しろ。中身はよく知らん」「議論が必要だ。でも、私は議論はしない」とまたまた具体的な議論を先送りしてはいかんのではないか。

どの改正が適切であるかを考え、自分はどれを支持するのかを意思表示して、議論をしていった方がいいと思います。じゃないと改正なんて無理っすよ。

まだまだ続きます。