2013-07-19

お部屋2521/暴力と警備の関係——しばき隊の「暴力性」3 [追記ありあり]

※このシリーズは1回目を読んでおかないと、警備警察がどうしてそう動くのかがわかりにくいと思いますので、読んでない方はそちらを先にお読みください。
 
 
警察が「お散歩」の警備を強化したのは危険回避のためですけど、ザイトクからすれば、警察はしばき隊とともにザイトクの侵入を防ぐ形になります。この辺から少しずつ、ザイトクは警察不審を強めていったのだと思われます。

警備警察はどっちの味方でもなくて、ただただトラブルを回避するのが仕事です。最小限のコストで最大限危険を回避するというのが警備警察の行動原理です。このコストは金ということではなく、いかに少ない手間や人員で済ませるかという意味。

私も長らく誤解していて、この一連のカウンター行動の中で、機動隊員に教えてもらったのですが、機動隊が出動しても新たな経費はかかりません。ガソリン代くらい。都道府県境を越えるなど、特別の事情がないと、手当は出ません。したがって、何人出動してもいいわけですけど、人員に限界がありますから、最小限の人員で済ませたい。

実際には警察の警備はしばしば過剰になって、最小限にはとても見えない。これは日本人全体に言えることですけど、リスク評価の計算式が高く見積もられるようになっているので、日本の警察は何かにつけ過剰になる。その高いリスク評価の上で、最小限のコストで済ませる。ここは一朝一夕には変わりようがないので、それを前提に先を読む。

その警備警察にとっても、もっともコストがかからないのは、ザイトクに「お散歩」をさせないことです。そもそも違法性が高いわけですし、電話一本入れるだけですから、手間もかからない。

それにしても、どうしてそうもあっさり、しばき隊は「お散歩」阻止に成功したのか。長らく警察は放置してきたのに。さらには、デモのコース変更、デモの中止まで持ち込めたのか。しばき隊が暴力的だからです。暴力的なしばき隊と、アホのザイトクを鉢合わせにすると、必ずトラブる。よって警備警察としてはそれを避けなければならない。ここは警備警察の習性です。

「差別問題対策協議会」だの「母と子の差別反対ネットワーク」だのといった紳士淑女の団体が警察に申し入れたところで、たったの1日2日で、ザイトクを新大久保に入れないために警察が防衛戦を張るなんてことはあり得なかったし、1ヶ月かそこらで、中止を指導することもなかったでしょう。そういう団体の中身がしばき隊のようなチンピラ集団だったら別として。

つまり、暴力的に思わせれば思わせるほど、警察は警備を強化し、結果、「お散歩」阻止のため、しばき隊に協力することになるという関係になっているわけです。

そのネーミング、サイトの写真、言葉の乱暴さによって、多くの人がしばき隊を計算通りに誤解してくれました。

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これは怖い。子どもが泣く。

警察にとってもしばき隊は謎の集団です。メンバーが何人いるのかもわからない。左翼団体でも右翼団体でもないですから、ノーマークです。

私もよく警察に探りを入れられました。

「しばき隊は何人くらいいるんですかね」
「知らん」

本当に知りません。野間易通以外は誰も正確なことを知らないのです。

「松沢さんはしばき隊の副隊長ですか」
「いやいや、ワシはフリーのしばき隊」

フリーだったら、しばき隊とちゃいますがな。一時、私が副隊長だのと説が出ていたのは本当みたいです。

しばき隊ではないと理解してもらうのにも、ずいぶん時間がかかりました。警察は部や課を越えると情報の伝達が悪いため、公安がわかっても、警備はわかっていない。警備がわかっていても、特務はわかっていない(特務は機動隊付きの情報担当)。本部(警視庁)がわかっても、所轄はわかっていない。新宿署がわかっても、浅草署はわかっていない。

最近は男組も出てきているので、いよいよワケがわかっていないと思います。私だって、どこがどうなっているのか、ワケがわからん。さっきTwitterで知ったのですが、男組の上部団体「差別を許さない市民の会」の会長は東京さば子さんなのか。知らなかった。もうどうでもええわ。

警察がこういう状態だったことにつけ込んで、野間易通は「もしザイトクを新大久保に入れたら、うちの若いモンが何するかわからんでぇ。新大久保は血の海や」とかなんとか、あることないこと警察に吹き込んでいたと言われています。本当かどうかわからなくても、警察はリスク評価が高いので、どんどん過剰になっていく。

しかし、実のところ、さほどのハッタリは必要がありませんでした。ここは野間易通の誤算なのですが、しばき隊にやってきた人たちの中には、本当の乱暴者が多数いたためです。元暴走族、元不良、元パンクス、現パンクス、元武闘派右翼などなど。なんでこういう人たちが集まったのか。これもしばき隊効果です。これについてはまたそのうち。

しばき隊の戦略が正しかったことを実感したことがあります。3月3日、浅草で日侵会のデモがありました。


より大きな地図で 浅草しばき を表示

デモコースは省略しますが、赤い目印が解散地点。

野間易通はi ZooM i Rockersのライブがあったため、この日はしばき隊のメンバーが数人出ていただけでした。雷門近くでの罵倒を終えて、浅草寺境内を抜けて、解散場所の公園入口に向かいました。

「ちょっと見に行こう」という程度だったんですけど、この交差点で、しばき隊ののいほいが再度罵倒を開始して警察に取り押さえられ、同じくしばき隊の山口祐二郎がこれに続き、私も事情を理解して罵倒を開始しました。カウンター側は10人程度はいて、その中で暴れていたのは、ほぼこの三人だけだったんですけど、警察は我々を向こう側に渡らせないように、隊列を組みました。

浅草署もすでにしばき隊情報をつかんでましたから、移動の際も、制服警官が私らの動きを見張ってはいましたが、いきなりの行動でしたから、警察は相当混乱しつつ、こちらの思惑通りに動いてくれました。

桜井誠ことヘイト豚は、アホですから、公園からこちら側に出てきて警察にとめられてました。もちろん、最初から警察にとめられることを前提としたハッタリです。あれをやればやるほど警察の防衛線は強固になるだけですけど、そこまでは頭が働かない。

たぶんザイトクは我々が警察に押さえられていると見ていたでしょうけど、ワシらは計画通りに、警察によって防衛ラインを作らせました。

このライン内ではのいほいが警官を相手に「いかにあいつらが卑劣であるのか」を講義。

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みんな、ちゃんと聴いてますでしょ。この頃はまだ話題になってませんでしたから、彼らとしても、ザイトクが何者であるのかは興味があったんだと思います。

この写真は交差点の西南側の歩道です。当初警察はここにカウンターを押し込めようとしていたため、私は北側、つまり写真の左側から抜けようとして止められ、以降はそちらにラインが伸び、この道は完全に封鎖される形になります。地図の青線です。

このラインの西側は浅草寺です。ほっとくと、ヤツらはこの道を渡ってきて、そのまま焼肉屋街に向かう可能性があったのですが、このラインができたため、また、公園出口側も封鎖されたため、こちら側に出ることができず、裏から集団下校しました。

たったの三人が騒ぐだけで警察は鉄壁の警備をして、ザイトクの動きを抑えこむ。浅草署もしばき隊の情報は得ていて、しかも、この時は、防衛省に火炎瓶を投げた山口祐二郎もいましたから、警察はあそこまでの警備に入ったんだと思います。ホントにしばき隊は人材が豊富です。なかなかこれだけのメンツは揃うまい。

しばき隊が出動さえすれば、新大久保に限らず、彼らは「お散歩」はもうできないだろうと確信しました。(まだまだ続く)
 
追記:Facebookに野間易通が書き込んだところによると、東京で初めて「集団下校」が実施されたのはこの時のよう。ただし、大阪ではその前からなされていた可能性あり。警察が「お散歩」中止を在特会に指導したのは3月に入ってからだと思っていたのですが、2月中にはなされていたかもしれない。

追記2:3羽の雀さんのツイートによると、集団で駅まで移動し、それを自ら「集団下校」と表現したのはこの浅草が最初のよう。ここには書いていないのですが、この時は「お散歩」阻止のために、解散後もしばらくの間、浅草の飲食店街を警備し続け、デモ参加者の一部が食事をするために浅草に立ち寄っただけだったと思われます。そのことから、すでに警察から「お散歩をやめよ」との指導があったのではないかと推測でき、確認できた範囲で浅草で食事のために残ったのは、在特会や日侵会の主流メンバーではなく、情報が伝わっていなかった可能性もあり。「お散歩」がなかったのは、たんにこちらを恐れていたためかもしれないですが。しかし、これも3羽の雀さんによると、1月の段階で、警察からそのような指導がなされながら、桜井は無視。「しばき隊」登場以降、より強い指導があり、堀切が桜井を説得して、正式には3月31日のデモから、正式に「お散歩」中止が発表されたという流れだと推測できます。