2009-05-01

お部屋1835/「草の根」が中村克を擁護する理由

橋本玉泉さんは記者会見に行ったのですね。金にならないことを地道にやり続けるのはさすがです。

『最後のパレード』盗用騒ぎについてブログなどで触れているライターが少ないのは、前回書いたこと以外に、「出版社に対する遠慮」もありそうです。こういう「遠慮」「配慮」についてはまた項を改めて書く予定ですが、橋本さんは、サンクチュアリ出版のような出版社で仕事をする気はさらさらないでしょう。こういう気概のある書き手がいかに少ないかってことです。

ちなみに私がこの出版社を批判するのは、「こんな出版社とは仕事をしない」という信念があるのでなく、なんも考えてないだけです。

ところで、昨日驚いたのは、「草の根」が中村克擁護を始めたことです。この内容についてはなた5963さんにおまかせするとして、この展開は予想外でした。普通に考えれば、擁護する余地もメリットもないです。また、「草の根」は義理を感じるような連中ではなく、救いを求められたところで無視し続けるであろうとばかり思ってました。

しかし、ここで私が考慮していなかったのは東村山ローカルの事情です。「50万部のベストセラーを出した人」は、選挙での利用価値が十分にあります。千を超える数字を動かすことができるでしょう。この程度の数字があれば当選できるのが市議会選挙です。東村山市議に当選するには2千票も必要ないのです。中村克さんが立候補したら当選しかねない。それが東村山市。

どこの地域でも数字は同様ですが、東村山市民は政治意識が非常に低いと言わざるを得ない。

ここまで「草の根」がやってきたことを見れば、「なんでこんな人に東村山市民は投票するんだ」と疑問を抱かないではいられないわけですが、現に投票する人たちがいて、現に彼らは現在市議をやっています。最近になってこの問題に興味を抱いた方も多いでしょうから、改めて説明しておきます。

どこの地域でも何も考えずに投票する人たちはいるわけですが、とくに東村山では、地縁血縁が強く、組織票も強く、そこに属さない人たちは地元意識が低いという特性があります。「草の根」は東村山は創価学会に支配されているかのようなキャンペーンをやっているわけですが、数字で見る限り、そんな事実はありません。

これについては、「1659/東村山市に存在する問題」「1661/続・東村山に存在する問題 」「1777/東村山市の何が問題か 1 」「1778/東村山市の何が問題か 2 」「1791/東村山市の何が問題か 3」「1798/東村山市の何が問題か 4」あたりを参照してください。

この特性の中で、「草の根」を支持しているのは、情報をもっていない老人たち、既存政党に批判的でありながら地元のことをよく知らない外部からの流入組、かつて朝木明代を支持していた人々、「反創価」というだけで正義だと思い込む人々たちです。地元意識の低い外部からの流入組は、投票に行かない人たちも多いでしょうが、選挙だけは行くという人は、候補者の名前もよくわからない中で、投票日になって「この人は頑張っているように見える」という人に投票してしまいます。

市議であり続けるには、広い支持を得る必要はなく、これらの層だけを相手にしておけばいい。

ところが、このままだと、次の選挙で、矢野穂積は落選しかねない。セクハラ捏造事件から始まる一連の動きで彼らの実態を知った人も多いでしょうし、右翼と共闘し、その右翼グループが商店を襲撃したことで、「草の根」のリベラルポーズの化けの皮が剥がれたということもありましょう。

「草の根」はその穴埋めを「盗作作家」に託したわけです。このあとの展開次第では、本は回収され、サンクチュアリ出版は倒産し、中村克さんは「盗作で出版社を潰した男」として語り継がれるわけですが、こんなことには触れずに、「50万部のベストセラーで日本中を泣かせた大作家が地元東村山から誕生。その人は我々の仲間です」と言い続ければいい。

今なお『最後のパレード』を書店は売り続け、何事もなかったように「涙が止まらなかった」とブログに書く人たちがいて、なんの疑いもなく本を買う人たち、あるいは盗作であると知りながら買う人たちがこれだけいるのですから、「草の根」の計算はおそらく正しい。

「創価学会と闘っています」というポーズをしておけば投票する人たち、「朝木明代は殺されたのです」と言っておけば投票する人たちと同じように、「50万部の大ベストセラーの大人気作家が応援してくれてます」と言えば投票する人たちだけを「草の根」は見ています。「こいつら、創価学会と闘ってねえだろ」「朝木明代は自殺だろ」「中村克は稀代のパクリ野郎じゃねえか」と判断できる人たちは最初から相手にしなくていい。地縁血縁で投票する人たち、政党で投票する人たち、組合などの事情で投票する人たちも相手にしなくていい。

なにしろ、彼らの最大の仕事は票を食い合う佐藤市議や薄井市議を貶めることです。あとはポーズとして「反創価」の看板を掲げて、同情票をとるために朝木明代の名前を骨の髄まで利用し、無党派層のリベラル派を取り込むためにアムネスティや市川房枝の名前をも利用してきたわけです。

同様に、中村克も使える人材だと見抜いたってことでしょう。残念ながら、それに対抗できる動きを市民が作れていないのが現実です。今回のことを契機に、声を上げる市民がちょっとでも出てきてくれればいいんですけど、東村山市民にあまり期待はできないです。

このエントリへの反応

  1. 最新情報です。江東区東陽町(別に、この町に何の恨みもないのですが、「とうよう」と打ったら「盗用」に変換されてしまった!)の地下鉄駅前にある某大手書店チェーンの「先週のベストセラー」の堂々第1位に「最後のパレード」が堂々ランクイン。5月1日11時30分現在。 奥付をみると、麗々しく「第10刷 2009年4月30日」。おい、社告で謝罪しておいて、まだ増刷しているのか! 勿論、この業界の慣習で「先日付け」で印刷日が記載されることは知っていますが、それにしても(後々の名誉毀損裁判で)証拠物件として採用されるようなブツを取次店に平気で卸すこの出版社、ただものではないですね!

  2. >1人の議員が辞職しました(薄井市議のHPより)
    >http://usuimasayoshi.blog98.fc2.com/blog-entry-645.html

    東村山の市議が1名辞職だそうです。
    矢野の事だから喜んでいるのではないでしょうか。
    これによって、佐藤市議や薄井市議への攻撃、中村への擁護などの戦略が変わるかもしれないですね。
    今後の展開を見守りたいです。

  3. Yasusanさま

    回収を発表したのは今日のことなので、ギリギリまでは出荷していたのでしょう。書店としても、今日いっぱいは売っている店がありそうです。返本するより売れた方がいいので。

    でぶやさま

    何があったんですかね。薄井市議は、市外の人間にもわかるようにちゃんと書いて欲しいな。野田数市議のサイトはリニューアルオープン予定になってますね。
    http://www.kazusa-noda.com/
    見栄えはいいけど、中身がまったくないサイトだったので、全然信用できなかったです。

  4. 確かに市外の人には辞職理由がわかりにくいですね。
    すみませんでした。
    野田市議の辞職は、都議選に出馬するためのものです。

  5. なるほど、そういうことか。あの人はおそらく浮動票もつかんでいるので、矢野さんは喜んでいるでしょうね。

  6. 草の根による中村克選挙活用はありえそうですね。

    中村氏の過日(東村山4丁目時代)の窮地には、市民攻撃のきっかけとして利用しておいて、草の根は擁護コメントはついに出しませんでしたからね。
    裏では何かしてやったのかもしれませんが。

    あの時に無関係を貫いておきながら、本当に無関係なこの期に助け船を出すあたり、狙いはやっぱり「票」でしょう。

  7. 恐らく無理矢理なこじ付けで盗用問題すらも創価の陰謀と言い張るんじゃないかなあ……。ギャグみたいだけどアイツらはそこまでやりますよ。

    で、すでに矢野自身は創価に対して直接どうこう言えない状況だから、一次ソースを瀬戸や中村のような鉄砲玉に任せるわけですよ。

    そして矢野自身は「こういう説があります」と二次のふりをして伝える。

    こうして新たな東村山創価陰謀説のできあがり。全部キレイな輪になって一蓮托生。

  8. 東村山市内に住んでいるものですが、「誰」が草の根を支持しているのか?
    票を食い合う佐藤・薄井両市議を攻撃するのは分かるが(以前は、旧社民連の木内氏や生活者ネットの議員をさりげなく攻撃していた記憶があります)、なぜ、創価・公明を執拗に攻撃するのか?謎だったのですが、松沢さんの考察を読んで、やっと理解できました。

    彼らにとっては、「ムラ議会」は「ムラ議会」のままであるほうが都合が良く、自分たちだけが唯一の「改革者」でなければならないのでしょうね。

  9. とんまるきさま

    中村克の主張が完全に「草の根」とリンクしてきているので、おそらく矢野がテキトーなことを吹き込んでいるんでしょう。こうなれば、もう中村克は「草の根」のパシリとして一生生きるしかないし、「草の根」はとことん利用していくでしょう。こういう計算は長けてますから。

    荒井さま

    どこまでどう利用してくるのかわからんですけど、なんでもいりですからね、ヤツらは。創価学会の陰謀と言い出してくれると、彼らの妄想ぶりがはっきりして、こっちとしてはやりやすいですが、「集団ストーカー被害者」やその類似品である瀬戸一派が吹き上がってウザいことになるかも。

    はっちゃんさま

    「ムラ議会だから、草の根は議員になれている」という指摘は私以外にも何人か指摘してます。あとは、市民がなんらかの動きをすることだけです。それ以外に解決がないのです。頼みますよ、ホントに。市外のワシらがこうもやっているんですから。

  10. 松沢さま

    お返事ありがとうございます。

    ホント市民としては、お恥ずかしい限りです…。
    薄井氏の件をきっかけに、松沢さんやみなさんのご努力で、草の根の正体が白日の下にさらされたのは、本当に感謝しています。(市内に住んでいながら、知らないこともたくさんありました)

    一有権者としては、薄井氏や佐藤氏を支持していますが、自分でも何かできることを考えてみたいと思います。

  11. はっちゃんさま

    「問題あり」とわかりつつ「朝木明代に世話になった」ということで投票してきた層や、特に深く考えずに、なんとなく頑張っているように見えて投票してきた層は、一昨年からのさまざまな騒ぎで「草の根」に投票しなくなるのではなかろうか。東村山にとって「草の根」の存在はマイナスでしかないと見えやすくなったはずですから。あとは、さらに中村克さんに活躍していただいて、新聞やテレビで取りあげられるのを待つだけ。

    「集団ストーカー被害者」タイプの人たちは最後の最後までどうしようもないので無視していいとして、事実に気づかせる必要があるのは、テレビや新聞さえロクに見ない人たちですね。老人層ってことです。そこに伝えていくベタな作業が足りない。選挙で言う地上戦です。これは地元の人たちしかできないでしょう。

  12. [...] つまり、矢野穂積が中村克を弁護し続けているのは、まだ利用価値があると思っているためです。これについては、「1835/「草の根」が中村克を擁護する理由」を参照のこと。 [...]