2005-09-17

息子、ちょっぴり成長

昨日、仕事の件で少し話があり、カフェ・アインシュタインでヴィム・ヴェンダース監督と会いました。でも今、2人だけで会っても、耳があまりよくないので話になりません。普段は友だちに頼むのですが、今回は微妙で複雑な話だったので、第三者を入れることがよろしくない雰囲気があり、それでいろいろ考えた結果、息子を連れて行くことにしたのです。

はっきり言って、息子は14歳ですし、常識的に考えれば、ちと無理がありますね。相手は巨匠のヴェンダース監督!でもまぁ、誰もいないよりはずっといいと思って、とにかく3人で会ったのでした。ドイツ語の表現で、4つの目で話し合おう、と言っていた監督ですが、もちろん前もって息子と行くことはメールしておいたのですけれど、「6つの目で話し合うのでもいいですか?」と聞いたら、笑って「もちろんだよ、頼もしい少年よ、頼むよ。」って気さくに答えてくれました。監督はまだお食事を済ませていなかったので、一緒にランチをしようって言ってくださったのだけれど、私達はすっかりジャパニーズで(笑)、1時に待ち合わせだったので、食事を済ませていました。正確に言うと、息子だけ。私は全く何も食べず、青汁しか飲んでいませんでした。息子も私も食事をお断りしたら、「淑子、せっかくだから何か食べない?飲み物だけでいいの?」と言うので、「大切な話し合い、これこそ今の私には一番のご馳走なの。」とかわしました。セーフ!大きく頷く監督(笑)。そして1時間半にわたる話し合いを終えました。ちゃんと通訳してくれた息子ですが、途中で私がとっても大変で、頑張って仕事をしている様子を見ていて、すごく何かを感じたようで、彼はいきなり黙りこくって涙を目に一杯ためていたのでした。びっくりする監督と私。「どうしたの?」と日本語で聞いたら、息子は静かに袖で涙を拭って、「だって、お母さんはすごく頑張っていて、こんなに大変で、かわいそうだ!」と言いました。・・・息子の目には、私が仕事のことで必死になって監督と話しているのが、母親が頑張っていると映ったのですね。「あらら、どうやら彼は、私が日々この件ですごく仕事しているのを知っているので、ついつい泣いてしまったみたい。」と笑顔で言ったら、感心した顔で監督は再び頷きました。監督は、息子が16歳くらいだと思ったようです。生徒会長に立候補して敗れたことも(笑)、面白がってくれました。(大胆なアジアの8年坊主って感じでしょうかね?)

話に結論は出ませんでしたけれど、良い方向に進んだと思います。9月中に答えが出るだろうということで、終了しました。その後、監督からメールが来て、息子のことをそれはそれは褒めてくださり、びっくり!「淑子の息子に会えてよかった、知り合えて嬉しいよ。彼は僕に強い印象を与えたよ。感心した。母親をしっかりフォローしていて、本当によかった。良い息子を持って幸せだね、君は誇りに思わないと。」と書いてくださり、この一連の思春期による、とんでもないトラブルを思い出しながら、「ああ、神様、悪いこともめいっぱいありますが、良いこともこんなふうにあるものなのですね、ありがとうございます。」と天に感謝したのでした・・・笑。

じ〜んとなっている母である私が、帰りの電車の中で「ありがとうね、助かったわ。」と涙声で言うと、息子は嬉しそうに、「あ、そう?俺そんなによかった?ヴェンダースっていい人だねぇ。ところでさ、今日は友だちの家に遊びに行って、そのまま泊まるから。」・・・・・マーロン宅・・・・マックスも泊まる・・・。そうですか・・・・ちょっぴり成長した息子ですが、日々の生活はなかなか変わりませんね・・・汗。